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「皆の行動につながれば」 ウクライナ支援公演 5年ぶり三國さん一人芝居

 石巻市の女優、三國裕子さん(71)のウクライナ支援チャリティー公演が26日、マルホンまきあーとテラスで行われ、2回の公演で約300人が観劇。家族が住む石巻市にウクライナから避難してきたイリナさん(62)、リディアさん(86)は客席で涙ながらに舞台を見つめた。「1日も早い戦争終結を」「戦争は絶対にダメ」とのメッセージに、会場は一体感に包まれた。チケットの売り上げと募金箱に寄せられた寄付金などは、日本ウクライナ友好協会を通じて現地に送られる。【本庄雅之】

「戦争ダメ」避難者涙で観劇

 公演は、1部が三國さんの一人芝居。夫の三國文明さん(71)が書き下ろした「戦場の祈り」「凧(たこ)になったお母さん」(野坂昭如さん原作)で、戦火で苦しむ母親の姿を熱演した。

 5年ぶりの一人芝居に三國さんは「体力的に厳しかった」と振り返るも、盛大な拍手に大きな手ごたえを感じた。「戦争はいけないんだというメッセージがしっかり伝わったと思う。皆さんの何かの行動につながればいいな」と汗を拭った。

「凧(たこ)になったお母さん」を熱演した三國さん

 2部では、日和が丘に住むヴィタリイさん(43)を頼ってチェルニヒウから避難してきた母イリナさん、祖母リディアさんらがステージでトークした。

 イリナさんは「午前4時ごろ突然隣の人がきて、戦争が始まったと教えられた」と2月24日の状況を説明。三國さんの芝居の中でサイレンの音が鳴った時は「空襲警報を思い出してつらかった」と明かした。現在、日本語学校に通っており「私は石巻に住んでいます」と日本語で話すと拍手に包まれた。

心境を語ったイリナさん(左から3人目)

 通訳の高橋旺礼南さん(37)は、平成15年にウクライナから来日して石巻に住んでいたが、震災後は仙台市に移住。母のカテリーナさん(73)がハルキウから避難してきた。ステージに並んだカテリーナさんは「戦争の前の状態に戻ってほしい」と切実な願いを訴えた。最後は日本の唱歌「ふるさと」、ウクライナの歌「紅いカリーナは草原に」を歌って参加者が心を一つにした。

 三國さんの知人で鳥取県境港市から駆け付けた小倉恵子さん(65)は「観客の皆さんが三國さんやウクライナの人をすごく応援している姿が見え、石巻の熱を感じた」という。芝原勇さん(76)=石巻市広渕=は「演技が真に迫って素晴らしかった。私たちは何の力にもなれないけど、平和を守っていく大切さを教えられた」と話していた。

 なお、寄付総額は後日発表する予定。


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