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東北初の和紅茶工場完成 「キタハ」石巻で一貫生産 茶葉加工の一大拠点目指す

 東北地方初の和紅茶製造工場「kitahanone(キタハノネ)」が石巻市桃生町樫崎に完成し、5日に落成式が開かれた。建設したのは、石巻産の和紅茶kitaha(キタハ)を販売する(有)ファーム・ソレイユ東北(日野雅晴社長)=石巻市旭町=。これまで県外製造していた工程を石巻で行うことで、高品質とブランド力をさらに高めていく。近く本格稼働し、秋には販売を始める見通し。地域活性化や茶産業を盛り上げる取り組みであり、県内外の茶園などから注目を集めている。

■品質高めブランド強化

 同社は平成15年に設立。お茶のあさひ園(昭和47年創業)から、食品全般と飲料の卸しや小売業を事業とする有限会社として誕生。これに伴い、あさひ園は同社の店舗事業部となった。

 国産紅茶の第一人者である静岡県静岡市の村松二六さんの協力を受け、同社は平成29年に和紅茶「キタハ」を開発。約400年の歴史を持つ「桃生鹿島茶園」の茶葉を使った紅茶は、G20大阪サミット(令和元年)の夕食メニューの一つとして選ばれるなど、日本人好みの優しい味わいが高く評価されている。

 今回整備された「キタハノネ」は、敷地面積860平方メートル、延べ床面積129平方メートルの木造平屋建て。茶葉の乾燥から発酵、火入れや選別などを一貫して行える。これまで製造は静岡市で行っていたが、茶葉の移送で一部の品質が落ちるなど課題もあった。

 地元に生産工場ができることで茶葉の品質を維持したまま加工できる利点があり、年間の生産量も2トンとこれまでの倍となる。さらに県内の富谷茶や河北茶など委託生産も予定し、将来的には東北各地の茶葉を加工する一大拠点を目指していく。

東北地方初の和紅茶製造工場

 落成式で、日野社長は「創業から今年でちょうど50年。新しいスタートであり、全国に和紅茶の魅力を発信する拠点となってほしい」とあいさつ。来賓で出席した齋藤正美市長も「紅茶は幸せと癒やしの時間を与えてくれる。日本、世界に羽ばたいてほしい」と期待した。

名称は「キタハノネ」と発表された

 キタハノネは9日から稼働し、桃生鹿島茶園の茶葉を使って今月いっぱいは紅茶作りを行う。茶葉の味が落ち着き、市場にでるまでは約3カ月かかるとされ、旭町の店舗やいしのまき元気いちば、仙台駅内の土産店などでは10月から販売されるという。11月からはウーロン茶の製造を試験的に始め、ブランドの可能性を探っていく。

 同社の日野朱夏開発室長は「茶葉の栽培から製造まで、全て『メイドイン石巻』の紅茶を作るのが目標だった。石巻はいまだに震災のイメージを持たれているが、それだけではない地域の新しい魅力として和紅茶が広がってくれれば」と期待を込めていた。【渡邊裕紀】





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