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県勢初の200メートル優勝 石巻出身・佐藤美里選手(常盤木学園) 震災10年 古里に吉報

 福井県でのインターハイ陸上競技(7月28日―8月1日)に出場した石巻市出身で、常盤木学園3年の佐藤美里選手が女子200メートルで優勝を手にした。同種目制覇は宮城県勢初の快挙であり、リレー種目でも入賞するなど躍動した。東日本大震災発災時は門脇小学校1年で自宅が流失するなど被災した佐藤選手。「地域に勇気と笑顔を届けられるよう、さらに上を目指す」と意気込んだ。

 佐藤選手が陸上と出会ったのは石巻中学校時代。習い事のモダンバレエ以外にスポーツ経験はなく、顧問に勧められたのがきっかけ。「通学で坂を毎日歩いていたので、脚力は常に鍛えられていたのかな」と話す。才能が開花し、3年時は全国に出場。「優勝できる選手になりたい」と高校は陸上競技の名門、常盤木学園に進んだ。

 今年のインターハイ県予選は100メートル、200メートル、4×100メートルリレー(4継)、4×400メートルリレー(マイル)の4種目で全て優勝し、出場権を獲得。特に200メートルは24秒08の県高校記録を持ち、今季高校ランキング1位となるなど全国が注目する選手に育った。

インターハイ陸上女子200メートル 優勝者 佐藤美里さん (6)

優勝のトロフィーと賞状を手にする佐藤選手

 迎えたインターハイは2日目の100メートルが4位、3日目の4継は7位といずれも入賞したが、目標のメダルには届かなかった。

 悔しさを残しつつ臨んだ4日目の200メートルは予選、準決勝と勝ち抜き、決勝は追い風参考(2.2メートル)ながら上位5人が23秒台を記録する激戦。佐藤選手は終盤にどんどん加速し、後続を0.1秒差で振り切る23秒71の1着でゴールした。

 電光掲示板にタイムと順位が表示され、優勝が分かった瞬間、今まで共に頑張った仲間や支えてくれた顧問の顔が頭に浮かび、涙があふれた。「4継の悔しさを晴らすという仲間との約束を果たせた喜びと、ほっとした気持ちから来る涙」と振り返った。

 最終日のマイルではアンカーを務め、終盤の競り合いを制して3位。出場全種目入賞という有終の美を飾った。

 佐藤選手は震災の津波で門脇地区にあった自宅が流失。日和山に避難し、家族全員無事だったが、クラスメートが犠牲になる悲しみを味わった。「震災から10年という年に古里に良い報告ができるのはうれしい。石巻の皆に元気を届けたくてここまで頑張ることができた」と語った。

 憧れは、稲井中出身のスプリンターでインカレ(全日本学生選手権)でも輝きを放つ筑波大2年の三浦由奈選手(柴田高卒)。国体予選などで戦う機会も多く「同じ石巻出身ということで、レースのたびに優しく声をかけてくれる」と喜ぶ。

 「由奈先輩のようにインカレで活躍できる選手になりたい。まずは今月末に開かれるリレーのミニ国体や日本選手権などで自己記録を更新し、高校の競技生活を締めくくりたい」と目標を立てた。【山口紘史】


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