旧門脇小4月3日から公開 震災遺構整備が完了 教訓伝え防災学ぶ拠点
石巻市は25日、東日本大震災の被害と教訓を伝え、防災を学ぶ震災遺構として整備した旧門脇小学校を、4月3日午前9時から一般公開すると発表した。
整備では津波火災の痕跡を残す3階建て本校舎の一部を保存。来館者は内部に入れないが、裏側に設置された観察棟から見ることができる。また、既存の特別教室、屋内運動場を展示館に改修。写真や映像、模型、被災の現物を用い、門脇小と周辺地域の被災前後、津波からの避難行動を伝えるほか、3千人以上が犠牲となった市内の被害と復旧復興などを紹介する。
開館時間は午前9時-午後5時(最終入館4時)。休館日は近くの石巻南浜津波復興祈念公園の津波伝承館と同じ月曜日になる。ただし、震災の月命日に当たる毎月11日と6月12日(みやぎ県民防災の日)、9月1日(防災の日)、11月5日(津波防災の日)は月曜でも特別開館し、翌日を休館とする。
入館料は大人600円、高校生300円、小中学生200円で、20人以上の団体は1人当たり各100円引きとなる。また、市議会で議案審議中だが、大人1500円、高校生750円、小中学生500円の年間パスポートも用意する。
3月30日は関係者による開館式を行い、黙とうを捧げた上でテープカットする。指定管理者として、一般社団法人の石巻震災伝承の会と石巻観光協会によるグループが管理していく。【熊谷利勝】
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津波火災の痕跡まざまざと
震災遺構門脇小で内覧会 防災学ぶ展示館も充実
石巻市は27日、東日本大震災で被災し、防災を学ぶ震災遺構として整備した旧門脇小学校を4月3日から一般公開するのを前に、報道機関向けに内覧会を開いた。本校舎は被災地では唯一、津波火災の痕跡を残す遺構であり、既存の特別教室棟、屋内運動場を改修した展示館と合わせ、市内の被害状況と教訓を伝える。過去に何度も津波が来ていたことを明らかにする展示もあり、有料入館施設として充実した内容となっていた。
公開後の一般見学者とほぼ同じ順路での内覧となり、屋内運動場で受け付け後、本校舎東側に移動。1.8メートルの高さまで来た津波でかき回された1階から焼けただれた2、3階へと、外部通路から内部を見学した。3階では石巻南浜津波復興祈念公園などがある海側が眺められた。
外部通路と特別教室棟の3階同士をつなぐ通路から展示館となり、入口には震災を自分事としてとらえてもらうための言葉と絵が並ぶ。その先では、模型や思い出の品などで震災前の門脇小を紹介している。
そこから続く展示では、震災の発生を被災した時計で表現。当時学校にいた児童の避難ルートも図で表した。ほかに本校舎の解体部分から、焼けて骨組みだけになった児童の机などを移設した部屋があるほか、屋外に突き出した場所では、校舎に避難した住民が2枚の教壇を山側に渡して火災を逃れたことをパネルで説明している。
特別教室棟2階は市内の被害状況を伝える展示が主。ラジオ石巻の震災当時の放送で地震発生や津波襲来時の緊迫した状況を知らせる。「石巻平野と巨大津波」の展示では、床の地図と壁面に飾った地層のはぎ取り標本から、過去に何度も津波があったことを伝えている。
屋内運動場では間取りの異なる2つのプレハブ仮設住宅を復元し、被災した車両展示も展示。復興支援の感謝を伝える展示もあった。
市震災伝承推進室の水澤秀晃室長は「迅速な避難と平常時の訓練、意識付けの重要さ、さらに垂直避難が正解でない場合も起こりることも伝えたい。これからの未来の命を守る場所にしていきたい」と話した。
報道関係者に先立って住民向けの内覧会もあり、33人が参加。被災地では住宅地にある唯一の遺構であり、整備を巡ってはさまざまな議論があった。地元のかどのわき町内会の本間英一会長(72)は「津波と火災の複合被害の様子が分かり、期待していた以上の内容だった。せっかく整備したのだから、他の伝承施設と共にコースを設定するなど多くの人が訪れるようにしてほしい」と望んだ。【熊谷利勝】
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