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最大被災地の教訓 後世に 震災遺構門脇小で開館式

 石巻市は30日、東日本大震災の遺構として整備した旧門脇小学校を4月3日から一般公開するのを前に、関係者を集めた開館式を開いた。齋藤正美市長は昨年7月に公開を始めた震災遺構大川小学校と共に、最大被災地の責務として記憶と教訓を後世に伝えていく意志を示した。

 開館式は復元した校門前であり、学識者や市民、観光関係団体の代表者らが出席。黙とうをささげた後、齋藤市長が「一人でも多くの人が訪れ、自身と大切な人の命が守られるよう有事の迅速な避難行動に役立ててほしい」とあいさつした。

 震災伝承ネットワーク協議会長である国交省東北地方整備局の稲田雅裕局長から、震災伝承施設の登録証の交付もあった。青森県から福島県にかけた3・11伝承ロードの一つを構成する。

復元した校門前でテープカットした

 市は2カ所の震災遺構を残しており、児童・教職員84人が犠牲になった大川小は校舎に手を加えず保存し、周辺を慰霊、追悼の場として整備。門脇小は被災地に現存する建物で唯一、津波火災の痕跡を残す本校舎を部分保存し、防災を学ぶ場として特別教室棟と屋内運動場を展示館に改修した。

 津波から助かるにはより高い所への垂直避難が重要だが、門脇小の本校舎では、それが必ずしも正しいとは限らない津波火災の脅威と教訓を伝える。校舎内の立ち入りはできず、外部通路を設けた。

 展示館の特別教室では、門脇小の思い出の品や震災時に校舎にいた児童、駆け込んだ住民の避難ルートを地図で紹介。発災から閉校までのドキュメンタリー映像も上映する。

 また、市内の被害を分野別、地区別に伝えるほか、過去に市内に何度も津波が襲来していたことが分かる地層のはぎ取り標本も展示。屋内運動場では実際に使われたプレハブ応急仮設住宅を復元している。また、門脇町に立てられた「がんばろう!石巻」の初代看板を期間限定で設置。以降は毎年の3月11日に合わせて展示する。

 開館は休館の月曜(祝日の場合は翌日)と年末年始を除く午前9時―午後5時(最終入館4時)。震災の月命日に当たる毎月11日と防災にちなむ6月12日、9月1日、11月5日は月曜でも開館する。入館料は大人600円、高校生300円、小中学生200円で、割安な団体料金や年間パスポートの設定がある。【熊谷利勝】





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