目に涙 巣立ちの卒業式 好文館高校 マスク個人判断も全員着用
石巻地方で1日、公立高校の卒業式が開かれた。式を通してのマスク着用を巡り、県教委は「外すことを基本とするが、強制はしない」と文部科学省の方針を踏まえて通知。個人の意思を尊重した形であり、コロナ禍で学校行事の中止や縮小などさまざまな制約を受ける中、3年間の高校生活を終えた卒業生はマスクの有無にとらわれず、自分らしく学びやを巣立った。
石巻好文館高校(加賀谷亮校長・生徒564人)もマスク着用は個人の判断を尊重。4年ぶりに式での人数制限を解除して在校生もそろって出席し、保護者も堂々とした姿で臨む我が子の学生服姿を目に焼き付けた。
卒業生176人が入場、整列後、加賀谷校長が一人一人に卒業証書を手渡した。卒業生は全員がいつも通りにマスクを着用。登壇時は個人の判断で着脱できたが、外した人はいなかった。式辞で加賀谷校長は「コロナ禍で高校生活が2カ月遅れになるなど制約もあったが、3年間で多くの足跡を残してくれた。向上心を忘れず、脚下照顧(きゃっかしょうこ)の歩みで新しい時代を切り開いてほしい」と期待した。
在校生送辞で、生徒会長の加来礼佳さんは「先輩方が発展させ、磨いてきた好文館高校の伝統をしっかりと引き継いでいきたい」。答辞で前生徒会長の中村寿宏さんは壇上でマスクを外し、「悩むことがあっても友人が支えてくれた。先生の指導や家族の変わらぬ愛情には感謝しきれない。これからも『甲斐ある人』となるよう努力していく」と力強く語った。
今年は3年ぶりに吹奏楽部の演奏が復活し、国歌や校歌斉唱も声出しができた。また、式後は卒業生から恩師への感謝の言葉を贈るサプライズもあった。
式に参列した保護者の相澤信也さん(52)は「本当はマスクを外した学生生活を過ごさせたかったが、息子もこうした生活にすぐ慣れ、楽しく3年間を過ごせたようだ」と話していた。
答辞を述べた中村さんは「これまでずっとマスクを着けてきた高校生活だったので、代表として最後の言葉はマスクをとってやりたかった。達成感とともに、先生や友達と会えなくなるさびしさも残った」と語った。
【渡邊裕紀、泉野帆薫】
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