マガジンのカバー画像

石巻日日新聞

1,779
石巻市・東松島市・女川町の話題を掲載している夕刊紙「石巻日日新聞」のnote版マガジンです。とっておきの地域情報と過去記事などのアーカイブ。無料と有料記事があります。ぜひぜひフォ…
運営しているクリエイター

2021年9月の記事一覧

「地域の養殖業と陸上養殖」 ③対応 奮闘する漁業就業者

 若い世代が水産業に挑戦する取り組みにより、漁業協同組合では世代交代だけではなく、他地域から移住した若者が組合員になるケースも見られている。石巻市から委託を受けた一般社団法人フィッシャーマンジャパンが行う「水産業担い手センター事業」により、沿岸部に全国から若者が集まり、漁業者の門をたたく。その数は約40人。中には正組合員となり区画漁業権を取得する例もある。  石巻市雄勝町小島でも、大阪府出身の三浦大輝さん(27)が雄勝湾支所の正組合員となり、新たな一歩を踏み出した。三浦さん

ギネス世界記録に認定 875.47メートル  「世界一長い」石巻魚市場

 東日本大震災で甚大な被害を受け、現地再建した石巻魚市場(石巻市水産物地方卸売市場石巻売場)=同市魚町=が「最も長い魚市場」としてギネス世界記録に認定された。建物の長さは875.47メートル。29日には同市場で式典があり、ギネス世界記録の公式認定員から、市場を開設する石巻市の齋藤正美市長に公式認定証が手渡された。かねてから「東洋一」とうたわれてきた市場が正式に世界一と認められたことは、水産業を基幹とする石巻を国内外に広く発信する起爆剤にもなり得るとし、関係者の期待も高まってい

「地域の養殖業と陸上養殖」 ①課題 事業化に向けたコストダウン鍵

 三陸沖は世界有数の漁場であり、石巻、塩釜、気仙沼、女川の各漁港はいずれも国内でトップクラスの水揚げがある。連日さまざまな水産物が水揚げされ、それを加工する工場も多い。石巻地方の各浜では養殖業も盛んで、ホタテやカキ、ホヤ、ギンザケなどが育てられ、高品質な水産物を全国に届けている。  東日本大震災の津波で石巻地方の沿岸部は大打撃を受け、多くの養殖施設も失った。その後、国内外の支援を受けながら水産関係者が団結し、漁港や魚市場、漁船、養殖施設などが徐々に復旧。出荷までに数年を要す

横綱白鵬引退 感謝と惜しむ声 震災後2市1町訪問 土俵入りに元気もらう

 大相撲の横綱白鵬が引退することが27日、明らかになった。インターネットや多くのメディアで「日本相撲協会に引退届提出」と報じられ、石巻地方でも驚きが広がった。東日本大震災直後には女川町、東松島市、翌年には石巻市を訪れ、多くの人を励ました。史上最多45回の優勝と14年以上頂点に立ち続けた大横綱に被災地で勇気づけられた人々は、感謝の思いを口にした。 女川町を訪れた白鵬(平成23年6月)  「横綱が女川に来てくれて、町民の皆さんは大喜び。気さくに接していただいて感謝している」。

教習所でスケボー練習 石巻第一自動車学校 休校日使い文化後押し

 東京五輪で正式種目となったスケートボード(スケボー)。日本人選手の金メダル獲得も相まって、コロナ禍でも密にならずに楽しめるスポーツとして人気を集めている。石巻市では新しい練習場所として、自動車学校の敷地を使う試みが石巻市泉町の石巻第一自動車学校(齋藤祐司社長)で始まった。19日には東日本スケートボード協会(勝又秀樹代表)の会員らが試走し、路面感触などを確かめた。自動車学校の敷地を活用した練習場所は全国でも珍しいという。  同協会の勝又代表は震災後、被災した同市魚町の倉庫を

女川漁港にサンマ初水揚げ 幸先良く回復の兆し 大型交じりの中型18トン

 女川漁港で27日、今年初となるサンマの水揚げがあった。過去最も遅かった昨年よりも2週間ほど早い9月中の入港となり、女川市場は活気に満ちた。千葉県銚子市の「第37傳丸」(167トン)が約18トンを水揚げ。29日にも入港が予定され、幸先の良いスタートが切れた。  水揚げは午前5時ごろから始まり、サンマは漁船から次々とコンテナに入れられ、市場に運ばれた。魚体は140グラム前後の中型が主体だが、一部には160グラムを超す大型も交じった。全国有数のサンマ水揚げ量を誇る女川漁港でも、

読まれてこそ本も〝本望〟 除籍本提供コーナー常設 東松島市図書館 コロナ禍・リサイクルフェア中止で

 新型コロナは地域の図書館にも影響を及ぼしている。東松島市図書館では、秋の「青空リサイクルブックフェア」が令和元年以降中止となり、貸し出しを終えた除籍図書を希望者に無償提供する機会を逸し、保管庫内に蓄積。市民からの図書の寄付も受付を中止せざるを得ない状況が続いている。同館は玄関前風除室に無料提供コーナーを置き、除籍本と新たな読み手とのマッチングを図ろうと取り組んでいる。【横井康彦】  同館は例年秋の図書館まつりに、除籍本や市民から「面白い作品だったので、他の人にも読んでほし

石巻出身俳優、小松準弥さん 「仮面ライダーリバイス」に出演

「1号」との握手が僕を変えた 原点は石ノ森萬画館の開館日  日本の漫画史に大きな足跡を残した漫画家石ノ森章太郎さん=登米市出身=の代表作「仮面ライダー」の生誕50周年記念作品「仮面ライダーリバイス」(テレビ朝日系、日曜午前9時)に、石巻市出身の俳優、小松準弥さん(27)が起用されている。20年前、石ノ森萬画館の開館イベントで、仮面ライダー1号を演じた藤岡弘さんに握手してもらった少年が長年の夢を果たした。【本庄雅之】

¥100

地域に根差し食文化伝えたい 中国料理「揚子江」店長 今野美穂さん

 石巻市不動町の中国料理「揚子江」の店長今野美穂さん(48)は、東日本大震災の大きな揺れに見舞われた時、中華包丁でサツマイモを切っていた。すぐにスタッフにガスを止める指示を出し、身を隠す以前に従業員や店の安全に全力を尽くした。  その間、たった1組いた客の老夫婦の奥さんがショックで倒れこんだ。「過呼吸症候群では」と直感した今野さんが、膨らませたビニール袋にボールペンで穴を空け、女性の口元に当てて応急処置。落ち着きを取り戻した夫婦は、車で赤井方面の自宅に向かった。  その後

今、私にできることは何か 元・女川町立病院総看護師長 高橋洋子さん

 東日本大震災の発災当時、高橋さんは女川町立病院(現・町地域医療センター)の総看護師長だった。仙台市で開かれる看護部長の会議に参加するため、三陸自動車道を走行中、あの大地震に遭遇した。  「すぐ病院に戻らなくちゃ」。揺れの規模から、多数の負傷者が搬送されるのは予想できた。矢本インターで三陸道を降り、渋滞する幹線道路を避けつつ牧山トンネルを抜け、一旦、自宅のある渡波地区に戻った。  帰宅途中、川の水位が下がっていることに気が付き、津波の襲来を想定した。義父母を近所に預けた後

県内最高齢は東松島の高橋さん 112歳 長寿お祝い 喜びの歌声も披露

 敬老の日の20日、東松島市は県内最高齢者(112歳)となった同市高松在住の高橋きねこさんに長寿を祝う祝詞と記念品を贈った。高橋さんは111歳となった昨年以降、県内最高齢を維持。特別養護老人ホーム矢本華の園で祝詞などの贈呈式があり、渥美巖市長らがさらなる長寿を祈った。  高橋さんは、明治42年7月10日に旧矢本町に生まれた。農業を営んでいた源勝さん(昭和39年没)と結婚し、子ども10人、孫13人、ひ孫14人、やしゃご22人に恵まれた。畑仕事や酪農に精を出し、民謡や踊りもたし

港町元気PJ第2弾 限定酒とつまみを考案 4市の酒蔵、酒屋コラボ

 石巻、塩釜、気仙沼、名取と港を持つ4市の日本酒の蔵元、酒屋がコラボした「港町元気プロジェクト(PJ)」第2弾が始まった。  新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、県内全ての飲食店に酒類の提供自粛が要請された緊急事態宣言が明けた13日から、閉塞感を破ろうと企画された。7月に実施した第1弾では、県内7つの有名銘柄の酒に色違いのオリジナルラベルを張り、こだわりグラスをつけて販売したところ2400本が完売する人気ぶりだった。 店頭にプロジェクトのコーナーを作った四釜社長  

女川町38・9%で県内6位 65歳以上の高齢化率 石巻市21位、東松島市26位

 県の令和3年高齢者人口調査(3月末)によると、人口に占める65歳以上の割合である高齢化率は、石巻地方では女川町が最も高く、38.9%となっていた。年々上昇していた割合は前年と同じに抑えられ、35市町村の順位は1つ下がって6位となった。石巻市は33.6%の21位、東松島市は29.7%の26位で、数値は上昇したものの順位に変動がなかった。  高齢者人口は県が毎年、3月末時点の各市町村の住民基本台帳を基に調査。県の総人口は227万3909人で前年から0.4%減少したが、65歳以

歌詞で紡ぐ地域の未来 ラッパー「楽団ひとり」 渡部敏哉さん

 高校時代から音楽の楽しさに目覚め、言葉で韻(いん)を踏んでいく「ラップ」にのめり込んできた。これまで数々の楽曲を手掛け、石巻への思いなどを込めてきた。東日本大震災で大きく変化してきた地域を見つめながら、きょうもペンを走らせ、記憶をつなぎながら文字とメロディの世界に深く潜っていく。  渡部さんは東松島市赤井出身。高校時代に音楽の楽しさに触れ、卒業後も働きながら、特に「ラップ」というジャンルに興味を持ち独学で曲の作り方を学んできた。当時は参考にする書籍がほとんどなく、少ない資