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読まれてこそ本も〝本望〟 除籍本提供コーナー常設 東松島市図書館 コロナ禍・リサイクルフェア中止で

 新型コロナは地域の図書館にも影響を及ぼしている。東松島市図書館では、秋の「青空リサイクルブックフェア」が令和元年以降中止となり、貸し出しを終えた除籍図書を希望者に無償提供する機会を逸し、保管庫内に蓄積。市民からの図書の寄付も受付を中止せざるを得ない状況が続いている。同館は玄関前風除室に無料提供コーナーを置き、除籍本と新たな読み手とのマッチングを図ろうと取り組んでいる。【横井康彦】

 同館は例年秋の図書館まつりに、除籍本や市民から「面白い作品だったので、他の人にも読んでほしい」と寄付された図書約7―8千冊を提供するブックリサイクルを目玉に盛り込んできた。集客率が高く、用意した本の約8割をさばくことができていた。

除籍図書を提供中 (2)

風除室に除籍図書が並ぶ

 一方で人気の高さゆえに、コロナ禍では本選びの際に「密が懸念される」として令和2年度のブックフェアを中止に。今年も感染に収束が見られないとして10月24日開催の図書館まつりは、展示を中心とし、リサイクル本の提供は見送る。

 2年近く提供機会がないことで、除籍図書は現在、一般と児童書に分けて保管している。その数は5200冊を超えており、倉庫の許容量も有限。「市民から図書の寄贈を受けたくても保管場所の確保が難しい」とし、やむなく寄贈受付も中止している。

 除籍図書は類似する新書の入荷に伴う間引き、経年劣化、内容の重複などで貸し出しを終えたケースが大半であり、家庭読みで使う場合は内容も状態も遜色ない。同館は「本としてまだ役目を終えておらず、新たな読み手につなげたい」と無償提供コーナーを置いた。

 開館日ごとに児童書、一般書の箱から無作為に抽出した200冊程度の除籍図書を並べ、希望者に提供する流れ。ジャンルは物語や小説、実用書、スポーツ、絵本などさまざま。持ち帰りに冊数制限はない。

 同館司書の安藤美里さん(33)は「従来のリサイクルイベントは競争率が高く、いち早く本を確保することに神経が行きがちだった。少量ずつ提供することで、タイトルや表紙、内容などをゆっくり吟味しながら本を選ぶことができる」と話していた。

 現在は10月の図書館まつりに向け、本棚の脇に段ボール箱で2つ分を追加。普段よりも多くの除籍図書を選ぶことができ、多い日で100冊ほどの持ち帰りがあるという。安藤さんは「読書の秋に本と一期一会の出会いを楽しんでいただければ」と来館を呼び掛けている。

 なお、図書館まつりでは子どもと大人の塗り絵展示も行う。施設外観と市のマスコットイート&イ~ナをデザインした2種類を用意している。

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