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<vol.9>薄味の手作り宅配ごはんを考えてたどり着いたこと

舌がピリピリせず、薄味で栄養のあるおかずってなんだろう…。
自分が携わってきた料理書をペラペラめくりながら思いを馳せる日々。

高齢者が好むおかずで、やわらかくて消化にもいいもので
薄味で飽きずに食べてくれるものはなんなのか…?

やはり思いついたのは和食です。そして、うま味を感じられる「だし」。
薄味というキーワードから、減塩食を思い出しました。

薄味のおかず=減塩食と捉えてみると、自分の中でもしっくりきました。
ただし、減塩食は味が薄いので、おいしくないと感じてしまいがちです。


減塩食をおいしく食べるコツからヒントを得る

一般的に減塩食をおいしく食べるコツとして紹介されているのは

①わさびやしょうが、唐辛子、山椒、カレー粉などの薬味や
 香辛料を使って味にメリハリをつける。
②レモンやゆず、酢などを利用して酸味を効かせる。
③ごま油やオリーブオイルなど油脂を使ってコクを出す。
④だしを効かせてうま味を感じさせる。

参考文献:おいしい・かんたん・作りおき高血圧・減塩レシピ(ナツメ社)

というところかと思います。
①~④を舌痛症の母に当てはめてみると、
①と②は舌がビリビリするのでNGです。
ということは、母に合う方法は③と④のみ。
舌痛症でなければ、①や②も上手に生かすことができますから
満足のできるおかずが作れますよね。

母の場合は、やはり、だしを効かせるところからだな、、、と思い、
だしを効かせて満足できるおかずを探してみることにします。


料理本を参考に、だしの取り方をふりかえる

私が独立して一人で料理書の編集・制作のお仕事を始めたとき、
最初に関わった1冊目が
日本料理の名店「分とく山」の野﨑洋光先生の料理本
「おいしい・かんたん和食大好き!定番の和食110レシピ(成美堂出版)」
でした。

この本はすでに絶版になってしまったのですが
収録されているレシピが本当に素晴らしくて、いまだに愛用しています。
ペラペラめくってみると、その中には、おいしい基本のだしの取り方も!!

私も料理書を作っている人間として、いつもだしを取るのがあたりまえ!
と言ってみたいものですが、仕事と子育てを両立している中では、
なかなかできそうでできないんですよね~。
いつもは適当にしていますが、宅配ごはんを送るようになってからは、
この本を参考に、自分なりにアレンジしながら、
おいしいだしを取るようになりました。


弱火にかけてじっくりと。昆布のうまみを抽出するようなイメージで。

まずは、昆布から。全くいい昆布ではないのですが、
いつも使っているだし昆布を使用します。
水1.5リットルに対して昆布10cm角1枚を入れ、弱火にかけます。


本来は沸騰する直前に昆布を取り出しますが、
安い昆布なので笑、沸騰した後に取り出しています。

沸騰してきたら昆布を取り出し、100mlぐらいの差水をします。
これで90℃ぐらいになります。


目安は鰹節が底に沈む状態になるまで。

ここに鰹節25~30gを加えます。そのまま2分おきます。


手つきのザルがあるとこすのもラクラク!

2分経ったら、だしをこして完成です!
汁物はもちろん、煮物のだしに最高です。


このお仕事をきっかけに購入しただしポット。ちょっとだけ使いたいときにものすごく便利。

こちらは野﨑先生がプロデュースしているだしポット。
昆布と鰹節を入れてお湯を注ぐだけなのに、
びっくりするほどおいしいだしが取れます。
お茶漬けや煮物のだしにも手軽に使えて便利です。

だしを丁寧に取る時間は、とても大切なひととき

やはり、きちんと取っただしはおいしいですね。
私は日本人…!とDNAが喜んでいるのを感じます笑。
普段のごはんは手を抜きまくりますが、
遠くに住んでいる親に送るおかずは、
なぜかちゃんと作ってあげたいと思うのが不思議です。

ある意味、自分の怠惰な食生活を見直すきっかけとしても、
とても大切なひとときだな、と感じることができました。

そんなこんなで、遠くに住んでいる母への手作り宅配ごはんは、
だしをきちんと取った薄味の和のおかずにすることに決定しました。

あたりまえと言えばあたりまえなのですが、
ちゃんとだしをとることを改めてやってみることは、
すごく意味のあることだなと思いました。

このだし汁は、キャベツと豚肉の煮浸しと肉じゃがに使ったのですが、
ごく薄味にしてもとってもおいしかったです。
母も喜んでくれました。


これまでのお話、『手作り宅配ごはん①』、『手作り宅配ごはん②』の記事もどうぞ。

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