山本文緒「恋愛中毒」

山本文緒「恋愛中毒」を読んだ。

珍しく恋愛小説でも読んでみようという気になって読んだのだが、まるで鉛でも飲み込んだみたいに重くずっしりとのしかかるような読後感。

読んでいる間じゅう絶えず緊張感を強いられ、読み終わったらどっと疲れてしまった。

正直、あまり好きなタイプの話ではなかった。

だけど、決して面白くなかったわけではない。

実際、読み始めたら割と一気に読み終えてしまった。


物語は、主人公・水無月の勤める会社の新人男子が、とあることをきっかけに水無月から過去の話を聞かされるという形ではじまる。

私はてっきり、最初その新人男子が主人公かと思ったので水無月の物語だと知った時点でまず驚かされた。

そして、主人公の水無月。

私は彼女にほとんど共感も感情移入もすることができず、終始「どうしてそうなる!?」と思うことばかりだった。

水無月のほかにも、創路功二郎を取り巻く女性たちみんなに女性の嫌な部分が巧みに描かれていて、こんな恋愛絶対にごめんだなと思わせられる。


もともと好んで恋愛小説を読むほうではなかったけれど、自分が興味のないジャンルや好きではないジャンルの作品を読むことで得られるものもある。

自分は何が好きで何が嫌いか、どんなことに快・不快を感じるのかが改めてわかるようになる。

とはいえ、しょっちゅうこういう苦手なタイプの話を読むのは大変なので、スパイス程度にときどき読むくらいでちょうど良さそう。




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