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vol.9 うねる前髪に射す光【あえてそのまま入れてみた プチトマトのおにぎり】

毎年この時期は、髪の毛のうねり具合で「あぁ、もうすぐ梅雨だな」と感じます。

とにかくここからの数カ月は、自分の体の一部であるはずの髪の毛に、とことん好き放題される期間。もう起きた瞬間からバリバリの反抗期で手に負えません。

雨の日でもサラ、ストンとしている髪に憧れて、コンプレックスに支配される年代もいくつか越えてきました。そして大人になるにつれ、「はいはい。今は暴れたいときなんだよね」と、ありがたくもない悟りを開いてきたのです。

先日訪れた美容院でも、大きな鏡に映る自分の姿に「ほら。もう毎日、前髪のうねりにお手上げですよ」と自虐気味のわたし。これってくせ毛民にとってはさして珍しいことではないようで、「ですよねー」と理解を示してくださるスタイリストさん。

ちなみに過去の数々の失敗から、わたしの頭の形とストレートパーマは相性がよくないことも知っています。しゃーねぇ、今年も忍耐(という名のあきらめ)で乗り切るか……。さらさら抵抗する気もなく、「あぁー今日のご飯どうしよっかなー」と考え始めていたところに、スタイリストさんがぽつり。


「今はあえてクルンと巻いた前髪が可愛いんですよ」


……なぬ?


何気なく入ってきた言葉に、わたしの脳は高速処理をはじめます。途中、ハセキョーのカーリーな前髪も頭をよぎりながら、「あえて…巻くのか……」と。

そんなわたしの様子を察し、華麗な手さばきで“アレンジしやすい”前髪に整えてくださったスタイリストさん。「前髪をクルンと…あえて……」、まだぼんやり考えているわたしをよそに、彼女の丁寧かつスピーディな施術が繰り広げられました。

それからというもの、毎朝アイロンで前髪をクルンさせることに凝っているのは言うまでもありません。ハセキョーの前髪とは似ても似つかない仕上がりですが、梅雨は耐える時期とばかり思っていたわたしに、かすかな希望の光が見えてきたのです。


自分以外の人の思考に触れることって大切だなと思いました。くせ毛歴の長いわたしですが、あえて前髪をクルンとさせようだなんてひらめきもしなかった。

自分の考えにこだわりすぎずに、柔軟に。そんな風にして、少しずつ世界を広げていけたらよいな、と。


今年の梅雨は去年までよりもほんのちょっと、うねる毛髪に寄り添いたいと思います。

(なかなか手強いですけどね)


- ONIGIRI recipe -

これから気温が上昇してくる時期には、サッパリとしたメニューが嬉しい。爽やかな風味が楽しめる「三島のかおり」にプチトマトを合わせたら、初夏にぴったりな一品の完成です。


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