目的のない旅と文と僕vol.4ソロネタリウム

下北沢を後にして、池袋に向かう。池袋サンシャインシティの屋上にプラネタリウムがある。梅雨の空模様を無視して、人工的な美しい星空を見たっていいじゃないか。

行く前に、一応「プラネタリウム  男  ひとり」と検索する。案の定、男でひとりでプラネタリウムに行くのは変ですか?という質問があった。別に変じゃないですよという、当たり前といえば当たり前の返事とともに、僕はこんなことで安心を手に入れた。

プラネタリウムは大学時代に付き合っていた彼女と見たきり見てない。ちょうどこの池袋のプラネタリウムで、カップル用の雲シートではなく、普通のシートを予約していたということで泣かしてしまったという事件があった。喜ばそうと思わせたのに、泣かせてしまうということがあるから、人間は本当に難しい。

ギリギリ16時半からの猫星夜というタイトルのプラネタリウムを見ることにした。ヒーリングタイプといったアロマの香りと一緒にプラネタリウムを楽しむものだった。
アニメーションの猫が星空をガイドしてくれた。アロマはすごくいい香りで360度の満天の星空との掛け算でそれはもう夢心地だった。

「人の数だけ空は違う」

ナレーションが言う。

「それでも同じ空の下、私たちは繋がっているのです」

泣かせた彼女は今、この同じ空の下で美容師として頑張っている。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?