スタートアップの支援者に。製造業人事ぶっちさんがフリーランスになるまで
今回インタビューしたのは、フリーランスでバックオフィス業務をされているぶっちさん。人事として、長年企業で勤務していたぶっちさんがなぜフリーランスになったのか、バックオフィス業務のやりがいとは何か伺いました。
スタートアップの労務に興味
ーーまずは簡単に、自己紹介をお願いします。
長年、製造メーカーの人事として働いていました。現在はフリーランスとして、バックオフィスの支援業務を行っています。仕事の内容としては採用代行が多いのですが、それ以外にもスタートアップの労務や経理の面から支援しています。
在宅の仕事を紹介する会社と契約しており、そこで業務委託として働いています。また、個人としても2社と契約し、バックオフィス業務を支援しています。
ーー採用代行と労務関係のお仕事の比率はどのくらいでしょうか?
最近は採用と労務関係半々ですね。採用業務の方が需要が高いのですが、私としては労務の仕事が好きなので、今後は労務の仕事を増やしていければなと思っています。
ーー労務関係を増やしていきたい理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?
スタートアップってどうしてもバックオフィスが後回しになってしまうことが多いように思います。
私の場合、長年労務に携わってきたので、これまでの経験を活かしてバックオフィスのオペレーションの構築など支援できたらと思っています。
せっかく良い仕事や良いプロダクトを作っているのに、バックオフィス業務に手が回らず、結果、コンプライアンス違反を起こしてしまったり、取引先からの信用を失ってしまったりしたら残念ですから。
ーーたしかに……バックオフィス業務って重要ですね。
スタートアップで良い仕事をやっているところを応援したい気持ちが強く、自分が関わった会社が成長していくのを見届けられたら幸せだと思っています。
例えば、IPOを目指す場合、人事労務分野に関してのコンプライアンスの審査がとても厳しいそうです。もちろん、IPOに関わらず労務コンプライアンスを徹底することはとても重要なことだと感じています。
特にスタートアップの立ち上げ時は、人員の余裕がなく、会社の代表がバックオフィス業務を行うことがほとんどかと思います。
労務や経理業務では法令順守の観点からも専門的な知識が必要なので、そのような手の届かないところを自分の知識を活かして、柔軟にサポートしていきたいです。
ーー経営者の方からすると頼もしい存在ですね!
経営者の方には本来の事業活動に注力していただきたいと思っています。事務作業が得意でない方もいらっしゃるだろうし、そこに経営者のリソースを割くのはとてももったいないと思います。
かといって人を雇うのも簡単ではありませんよね。だから、社労士さんとの連携も含めてサポートしていくことに需要があるのではと感じています。
マルチタスクが身についた製造業人事の経験
ーー前職の会社は約11年いらっしゃったと思うのですが、入社はどのように決めましたか?
製造業の会社に採用されましたが、そのときは就職氷河期で全然内定が出なくて。内定が出たのが4年生の2月だったので、そこにいくしかありませんでした。
新卒の就活って自分のやりたいことをいろいろ考えて活動すると思うんですけど、それが氷河期で覆されてしまって。与えられた場所で働くしか選択肢がない状況でした。
だから特に何かやりたいと思って入ったわけではなくて、入れてくれるところに入ろうという気持ちで入社しましたね。本社が東京にあって工場が地方にある会社でしたが、最初は工場で約3年総務・人事関係を担当していました。
結局それも与えられた仕事をひたすらこなしていく日々で。でも、やっていくうちに総務人事の仕事に面白味を感じられるようになって楽しくなり、従業員の方に「ありがとう」と言ってもらえるのをモチベーションに仕事を続けていました。
ーー楽しいと思い始めたきっかけはありますか?
仕事で「なんでこんなことやらなきゃいけないの?」みたいなことがあったり、なぜか上司の尻拭いをしないといけないことがあったりで、正直言うと嫌になった時期もありました。
ある日、管理職の教育研修に立ち会って自分も後ろの方でずっと講習を聞いていた機会がありました。そのとき管理職の心構えの話のなかで自責と他責の話を聞きました。
その話を聞いたときに「なるほど!」と目覚めて、人や環境のせいにしないで、やれることを自分でやっていこうというスイッチが入ったんですよね。今までそういう話を1回も話を聞いたことがなく、とても新鮮で衝撃的でした。
それからは、担当が決まっていない仕事や誰もやらない仕事を私がやらなきゃ誰がやるという意気込みでバリバリこなしていきました。
こまめに製造現場にも足を運んで雑談しているうちにキーマンを把握できてきて、頼みたいことがあれば〇〇さんに話を通しておこうというような根回しを学びました。
そうすることで社内ネットワークができて、仕事がしやすくなり頑張っていたとき、本社への異動の辞令が出ました。
本社では、通常の人事の仕事もしつつ、特命事項に関する調査や説明資料の作成などを行っていました。あまり残業したくなかったので、定時間内に効率よくこなすことに一生懸命でした。
ーーどうやってモチベーションを保っていましたか?
はっきりしたものはないんですけど、自分が必要とされていたり、自分のやるべき仕事があることがモチベーションになっていました。仕事を任されると嬉しいですし、しっかりやらなきゃという責任感がモチベーションに繋がりました。
ーーすごいですね……!そんなやりがいをもって働かれていた会社を退職された背景をお伺いしてもよろしいでしょうか?
退職する1年くらい前に結婚をしました。最初は仕事と家庭の両立を頑張っていましたが、すごくきつくて。あと、子どもがほしかったので不妊治療をしていました。
不妊治療って、病院にいくと「じゃあ、また明日きてください。」と言われるので、仕事を調整するのが大変ですし、自分の気持ち的にも休みをとるのがしんどくて。
不妊治療の焦りもありますし、仕事の焦りもあって、そんななかで流産してしまったことをきっかけに、不妊治療に本腰を入れようと決意し、退職しました。
上司と自分だけという、ほぼワンオペ状態で仕事をしていたので、退職するときは引き継ぎがとても大変でした(笑)。
ーーほかにも人がいらっしゃると思っていました……。マルチタスク苦手なのでこなしていたのがすごいです。
逆にいろいろやりすぎていたなと。新卒採用や中途採用、教育、給与関連、人事、広報と、本当に何でもやっていました。
マルチタスクをこなしていたおかげで仕事の幅が広がり、今につながっているので、大変だったけど、今になっては良い経験だったと思っています。
会社員からフリーランスへ
ーー現在はフリーランスとして働かれていますが、なぜフリーランスになったのでしょうか?
最初は子どもが寝ているときに出来る仕事はないかなと探していたときに、採用代行の仕事が見つかり、それがきっかけで在宅フリーランスとしてのキャリアをスタートしました。
次第に任される案件が少しずつ増えていき、今は子どもを長時間預けられるようになったのでほぼフルで仕事をしています。
ーー最初の案件はどうやって探しましたか?
ネットで、在宅でできる仕事を検索しまくりました。「在宅でできる仕事」というと、詐欺のような怪しい仕事も多く、口コミを調べて怪しくないか、変な会社じゃないかとか本当にたくさん検索して、ここなら安心だと思ったところに登録しました。
口コミ自体、正しいかを判断するのは難しいですが、ホームページをみてちゃんとしてそうだったのと、1週間に1日から可と書かれていたので、とりあえず登録だけでもしようと。
そこで案件を請けつつ、別の同じような会社に登録したり、Twitter経由で仕事をいただいたりして今に至ります。
ーー会社員からフリーランスに働き方を変えていかがでしたか?
フリーランスのいいところは、自分で仕事が選べるところが1番大きいですね。あとは在宅で仕事ができるところ。業務委託だと納期が決まっていて、稼働時間はいつでも良いという仕事も多いですし、やりたい仕事や挑戦したい仕事に柔軟に取り組めるのが魅力ですね。
会社員は安定はしていますが、業務時間など縛りがあります。フリーランスは安定していないけど、仕事を請ける請けないは自分で決められるので、子どもが小さいうちはフリーランスで働くほうが小回りがきいていいのかなと感じます。
ーーそういえば先日Twitterでフリーランスのためのコミュニティをつくったと呟いたのを拝見したのですが、どんなコミュニティなんですか?
はい、ついこの間コミュニティを立ち上げまして。フリーランスは人と人とのつながりも重要だったりするので、ゆるくつながって、いろんな人の話が聞けたら楽しいなと思い、勢いで立ち上げました。
人と人のつながりから仕事が生まれることもありますし、始まったばかりのコミュニティではありますが、いずれはフリーランスでチームを作って活動していけたら最高だなと思っています。
今後について
ーー最後に、今後の目標を教えて下さい!
すこし重複しますが、まずは小さいスタートアップに事務支援や採用支援で入り、会社の規模が大きくなったら社内でうまく運用できるように、人の採用含めて支援していけたらいいなと思っています。
ーー応援しております。本日はありがとうございました!
今回ぶっちさんの話を伺い、バックオフィス業務の大切さや働き方を変えてもやりがいをもってはたらくことができると学びました。「なにが自分にとって大事か」を判断軸に整理すると自分にとってよりよいキャリアが見つけられるのかもしれませんね。
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