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生活に使えるMBA理論~蜘蛛の糸~(7) お金の値段 金利の話

生活に使えるMBA理論~蜘蛛の糸~(6) お金の話|Aggrieved Duckling (note.com)

お金の役割は3つあります。

① 価値の尺度 モノの価値をお金に置き換える=値段。② 価値の交換 その尺度が共有されると(売り手の値段と買い手の値段が一致すると)交換できる(売買ができる)。

③ 価値の保存 持っている価値を今は何とも交換したくない。将来必要になるまで取っておきたい(=蓄財)

ここら辺から難しくなってきます。なるべく数学は使わないで説明するようにしますw

ではお金の値段の単位はなんでしょうか?

円?ドル?ユーロ?ボンド?バーツ?

それはお金そのものです。

ヒントは③

① 価値の尺度、② 価値の交換の媒体、③ 価値の保存

価値を保存できることによって、現在のモノと未来のモノの価値を同等に① 測り、② 交換 できるようになります。
これを「お金の時間的価値」time value of moneyと言います。


私たちがこのお金自身の価値を何で測っているかというと....

そう、金利です。
従ってお金の値段の単位は%ということになります。


1万円札を箪笥に保管しておくと1年後も1万円札のまま残っています。しかし、これで価値が完全に保存されているかというとそうとは限りません。今日1万円で買えるものが、1年後も1万円で買えるとは限りません。

これをインフレーションといいます。
インフレ率が5%だとすると、1万円のものは1年後に1万500円になります。

だから、お金も5%増えてくれないと、完全な③ 価値の保存はできないということになります。
そのためには、箪笥にしまっておくのではなくて銀行預金や投資をすればいいわけです。

今の価値のことを「現在価値」present value = PV
将来の価値のことを「未来価値」future value = FV

といいます。

金融理論の根源にある思想は、「複製」replicateです。レプリカと同じ語源です。違う時点のモノを比較するということを投資に当て嵌めて考えてみましょう。

儲けたいという気持ちはわかりますが、それをちょっと微分してみると
投資した金額PV = 回収するときの金額FV は最低限欲しいと思うんじゃないですか?

PV = FV

となるような金利のことを割引率(discount rate)といいます。

1万円の債券投資は1年後には1万500円になって「必ず」返ってくるというとき、

PV10,000 * 1.05 = FV10,500

ですから、金利は5%です。

言い換えると

FV10,500 / 1.05 = PV10,000

ですよね。5%を割引率とも言います。金利と同じことです。

投資商品は、一定期間ごとに決められた利息がもらえて、期限(満期)に投資した元本の名目額(100万円投資したら100万円が戻ってくる)が返ってくる(償還)有期限の「債券」と、
一定期限ごと事前には決まっていない額の配当がもらえて、元本が戻ってくる期限のない無期限の「株式」などがあります。

1
「だから債券は利息の額が投資の儲けである」

....と考えるのは間違いです。(会計上は儲けと認識しますけど、概念的には違うってことです)

PV = FVなわけですから、予め決められた利息と予め決められた償還額の合計(将来のキャッシュフロー(お金の流れ))=FV

は、PVと同じです。
価値を時間移動させたに過ぎません。タイムワープです。

2
「債券は予め将来受け取る金額が決まっているから安全で、株式は将来受け取る金額が予め決まっていないので危険だ」

....と考えるのは合ってます。

???『ではどっちに投資しますか?』???

と考えるのが投資の選択です。

「ねぇねぇ、どれを買ったら儲かるの?」と証券会社の人に聞くのが投資の選択ではありませんとまでは言いませんが、実に表面的なことであって、そもそも価格を決めるのがどういう変数であって、その変数はどのようなときにどう動くのかを理解せずに投資するのはギャンブルと同じだと思います。

債券は安全確定(一応、今の段階では)であるから、価格(= PV)はFVのままでもいいですよね。
じゃぁ株式はというと、だっていくら払ってもらえるかわかんないんだもん(リスクがある)、安くなきゃ買わないでしょ?

じゃぁ債券と比べてどれくらい安かったら買いますか?(re: リスク・リターン(見返り)のトレードオフ(交換条件))

って話になりますよね。

そして、どうやって「安く」を表現しましょうか?

その方法が、割引率を高めるという形で市場では表されます。割引率が上がることによって、現在価値は下がるわけです。

というお話の詳しい説明を次回します。

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