見出し画像

「療育センター」ってどんな場所?

小児、発達領域での仕事を志した際に検討される就職先の一つに「療育センター」があります。


今回の記事では療育センターにまつわる制度や実際どんな施設なのかについてを解説していきます。

①「療育センター」という制度はない?


いきなりですが、「療育センター」の定義や定められている制度というものは実はありません。


つまり、法律等で明記されているわけではないのが療育センターです。


しかし、子どもの発達支援の現場への就職を考えた際に耳にしますし、インターネットで検索をすると多くの施設がヒットします。


では、まずそもそも「療育」という言葉について考えていきましょう。

療育とは「治療の場」と「教育の場・生活の場」を一体化した施設の支援における概念としての始まりがあります。


現代では「療育」の概念も広がっており、明確な定義はないように感じますが、もともとは医療と福祉双方からの支援、支援を受ける施設として「療育」の概念が広がったのではないでしょうか


では、現在の療育センターにおける支援はどのようなことが行われているのでしょうか。

以下に筆者がGoogleの検索エンジンを使い、「療育センター」でヒットした上位10件の関東地方(東京、神奈川、埼玉)にある施設の「診療科」と「福祉サービス」についてまとめています。

画像1

画像2

グラフからも見れる通り、多くの療育センターに「小児科」や「児童発達支援事業」がある一方で、センターごと違う診療科、サービスが設置されているところもあることがわかります。

つまり、同じ「療育センター」といっても違いがあり、様々な形でお子さんに必要な支援を行っている場所であることがわかります。

②「児童発達支援」と「児童発達支援センター」の違い」

さて、ここまで「療育センター」についてみてきましたが、表の中にもう1つセンターの名前がつくサービスがありました。

それが「児童発達支援センター」です。

表には「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業」の2つがあります。

この2つの違いはなんでしょうか。

児童発達支援ガイドラインには以下のように書かれています。

児童発達支援センター等は、主に未就学の障害のある子ども又はその可能性のある子どもに対し、個々の障害の状態及び発達の過程・特性等に応じた発達上の課題を達成させていくための本人への発達支援を行うほか、子どもの発達の基盤となる家族への支援に努めなければならない。また、地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進するため、保育所、認定こども園、幼稚園、小学校、特別支援学校(主に幼稚部及び小学部)等(以下「保育所等」という。)と連携を図りながら支援を行うとともに、専門的な知識・経験に基づき、保育所等の後方支援に努めなければならない。

この文章は「児童発達支援センター」「児童発達支援」双方について書かれており、双方ともに未就学のお子さんを対象に本人、家族、地域への支援を行う事業であることが明記されています。

ここまではどちらの事業も同じように書かれていますが以下に「児童発達支援センター」の役割として書かれている文章を引用します。

特に、児童発達支援センターは、地域における中核的な支援機関として、保育所等訪問支援や障害児相談支援、地域生活支援事業における巡回支援専門員整備や障害児等療育支援事業等を実施することにより、地域の保育所等に対し、専門的な知識・技術に基づく支援を行うよう努めなければならない。

この文章を見るとより地域の中でのインクルージョンの推進、支援のまとめ役、支援者の支援といった役割を担っていく必要のある施設が「児童発達支援センター」であることがわかります。

しかし、児童福祉法や指定基準では、こうした役割・機能が規定されておらず、必ずしも実施されているわけではなく、令和元年時点では35%ほどしか市区町村に1か所以上設置できているところがないなどまだ課題が残っている現状と言われています。

③就職の際のポイント

ここまで見てきた通り「センター」とつく施設には地域の中核施設としての役割が期待されていることがわかります。

実際に療育センターのサイトを見ている中でも地域の支援者への講習会事業や巡回支援などを行っている施設も多くみられました。

一方で現状では、例えば保育所等訪問支援や相談支援事業を行っているのは必ずしもセンターだけでなく、地域の民間施設などでも行われています。

今後より「センター」としての役割が明確になっていくことがあるかもしれませんが、現状就活する際には一口で「療育センター」と括らずに各施設の行っている事業や支援についてみておくと良いかもしれません。

最後までご覧いただきありがとうございました。

【参考・引用文献】
①厚生労働省:児童発達支援ガイドライン
②厚生労働省:障害児通所支援の在り方に関する検討会


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?