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素敵なクリエイターさんたちのノートをまとめています。
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2019年12月の記事一覧

記憶のなかの、ふるさとの風景

吸い込まれるような広い空。季節ごとに違う表情を見せる一面の田んぼ。 「ふるさとの風景」という題を見て思い浮かべたのは、そういう、なつかしく、慕わしいふるさとの面影だ。 でも、わたしがこれから書こうとしているのは、ある日消えてしまった町のことだ。そういう「ふるさと」があることも書いておきたい。 わたしは、東北の地方都市で育った。生まれたのは両親の出身地の三陸海岸で、親の転勤でその都市へ移り住んだ。引っ越したのがまだ小さかったから、海沿いに住んでいたころの記憶はほとんどない。

モーリス・ラヴェル博物館へ行った

去年の冬、ラヴェルの家に行ってきました。 フランスの作曲家モーリス・ラヴェルの晩年の家、通称「ヴェルヴェデール」は、パリ郊外のモンフォール・ラムリという町にあります。 この家はラヴェルが住んでいた当時のままの姿で、「モーリス・ラヴェル博物館」として残されています。 初めてのフランス旅行。ラヴェル博物館に行くことは、中学生の頃からラヴェルの作品が大好きだった私の長年の夢でした。 しかしこのラヴェル博物館、調べれば調べるほど情報が錯綜している。 つい最近まで閉館していたと

ルーヴル美術館から学ぶ

≪ パリ滞在記・その13 ≫    〜Musée Louvre ルーヴル美術館・④ 〜 今回のパリ滞在中、2日間ルーヴル美術館にいました。 2回目の訪問時には、おにぎりと飲み物を忍ばせて「絵画部門だけでも全て回り切ろう!」と本気でした。少し離れた場所にあるアフリカ美術コーナーの入り口前のソファ、誰もいなかったのでこっそりおにぎりを食べました💦 しかし時間・体力・気力の限界により、結局思うように回れなかったことはすでに書いたとおりです。 ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ティ

メディチ家のマリー様

≪ パリ滞在記・その11 ≫    〜Musée Louvre ルーヴル美術館・② 〜 前回、『モナ・リザ』が「ルーベンスの間」にあって衝撃を受けたと書きましたが、「ルーベンスの間」に『モナ・リザ』があってショックだったというのが正解かも知れません。 ルーヴル美術館で「必ず見たい絵」はたくさんあるのですが、その一つがルーベンス作『マリー・ド・メディシスの生涯』だったからです。 ここで、ルーベンスが描いた『マリー・ド・メディシスの生涯』について。 マリー・ド・メディシ

落ち着かない『モナリザ』

≪ パリ滞在記・その10 ≫    〜Musée Louvre ルーヴル美術館・① 〜 別世界にある憧れのルーヴル美術館。ここに来ることができるとは、夢にも思っていませんでした。 セーヌ川 越しに見えるルーヴル美術館に向かって「ルーヴル!ルーヴル!」と叫んでいました。本当です。 二日間をかけて美術館の中を歩いて歩いて、そして歩いてきました。 しかし 目当てにしていたコーナーに行って ゆっくり時間をかけるどころか、全く足を運べないコーナーも沢山ありました。 パリ市内はど

光の中で

≪ パリ滞在記・その9 ≫    〜Musée de l’Orangerie オランジュリー美術館 〜 オランジュリー美術館に行ってきました! 改装のため、多くの作品が横浜美術館に行っていることを知っていたので、休館覚悟で向かうと、モネ「睡蓮」の2部屋は公開していました。ラッキー🤞 200点以上の「睡蓮」を描いたモネ。日本の美術館にも多くの「睡蓮」があります。また、大型企画展の作品として「睡蓮」が来日していることもあります。私もこれまで何点かの「睡蓮」を 時を異にして

“光こそは神の愛”

≪ パリ滞在記・その8 ≫    〜Sainte-Chapelle サント・シャペル教会 〜  今回の旅行中、思わず大声をあげそうになったり、訳もわからず涙が出そうになったことが何度もありました。実際に涙を流したことはないのですが、今回は…。  パリのシテ島にあるステンドグラスが美しい教会、サント・シャペルです。  “建築技術の発展によって、開口部を広く設けることが可能となり、大きな窓を色ガラスで装飾するステンドグラスが発展した” というまさに説明通りのゴシック建築

ウィーンの休日 #1 〜素敵な紳士たちが通う大人気のカフェで朝食を〜

オーストリアのウィーン。 ほんとうに素晴らしい街でした! 少しずつですが、 訪れた素敵なスポットを紹介していきますね。 まず、初日に足を運んだのは 『Cafe Central(カフェ・ツェントラル)』。 https://www.cafecentral.wien 素敵な店内!!! 朝8時にお店に着いたときには すでに常連らしき紳士の方々がぽつぽつといらしていて 新聞を読んだり、朝食を召し上がったりしていました。 (↑私は真剣にメニュー選びを。笑) 選んだのはこちら。

フランス美術館史の主役

≪ パリ滞在記・その7 ≫   〜Musée du Luxembourg  リュクサンブール美術館〜 1️⃣リュクサンブール公園(Jardin du Luxembourg)  少し早起きして、アパルトマン近くの公園を散歩してきました。 ここは、ルイ13世の母であり、かのルーベンスに連作を描くよう命じたその人、マリー・ド・メディシスが1612年に宮殿の庭園として造らせたリュクサンブール公園。  25haもある広大な庭は手入れが行き届いており、緑地帯あり、噴水あり、子供の

古墳時代からパリの街を見守る教会

≪ パリ滞在記・その6 ≫    〜Église St-Germain des Prés サン・ジェルマン・デ・プレ教会 〜  パリ到着の翌日、有名なカフェ・ドゥ・マゴのテラス席に座って文豪になったつもりでご満悦のお上りさん(←私です)。ふと、すぐ横に建っている教会が、駅名や地名になっているサン・ジェルマン・デ・プレ教会であると知りました。 「いつか行こうね」と、その5日後、やっと行くことができました。  パリで現存する最古の教会。建立は6世紀と聞いてもピンときません

ゆく年くる年、何を読む?早川書房2019海外文芸総ざらい

年の瀬が迫ってまいりました。みなさん、年末年始の読書の予定はお決まりですか? 「読みたい本がほかにもたくさんあるから長すぎず、でも読み応えのあるものを読みたい」「海外文学を読みはじめたいけど長すぎると心が折れる」「時間があるから長篇の世界にじっくり浸りたい」などなどあらゆる要望に応えるべく、2019年に早川書房が刊行した海外文芸を、ページ数と独断と偏見でライト級、ミドル級、ヘヴィー級の3階級に分類しました。各作品、担当編集の激推しおすすめコメントつきです! ライト級 『ビ

ドミニカ共和国での感想2019

ドミニカ共和国267日目。 今年の4月からドミニカ共和国で青年海外協力隊の省エネ隊員として活動をしている。もう8ヶ月も経ったのかとも、まだ1年以上もあるのかとも思う。 着いた当初は、スペイン語がある程度できて、もっと色々うまくできると思っていた。そうはうまくいかなかった。 到着して最初の3−4ヶ月はスペイン語を中心に生活がまわっていた。 色々コミュニティーケーションを取りたくて話しかけても、相手の言っている事がわからないと申し訳無くなるし、言葉がわからない自分が嫌にな

Tesso,Usi,Tora,U……

 上司が女性秘書に「日本の○※×☆△@□#」と何か話している。  彼のスペイン語は訛りが強いのか、単に活舌が悪いのか、私にとっては聞き取り辛い。だが、今回はきっちり聞き取るまでもなく、会話の内容がおよそ推測できた。  きっと、JICA事務所からのクリスマスと新年を迎えるにあたっての挨拶メールについて話しているのだろう。先ほど私のアドレス宛にも、一斉送信で送られてきた。  メールには後輩隊員がデザインした来年の干支、ネズミの画像が添付されており、スペイン語で「Feliz Nav

しろいけむり

ため息のかたちを知るために 烟草を吸うんだ と彼は言った 今なら盛大に言ってやる。 「格好いい」とそのとき思ったわたしは大馬鹿野郎だ。そんなミュージシャンみたいな台詞を、舞台でもなんでもない、現実にある喫茶店で吐く男は碌なもんじゃない。 わたしのいう「碌な男」は自分でお金を稼いでいて、住むところは自分の責任で管理できて、人にちゃんと「ありがとう」を言える男性を指す。 掲げた三つの条件のどれか一つでも当てはまれば、「好きな人」に昇格できる無意識の制度は、23まで続いた