たぶん、一生忘れないであろう、あるクリスマスの話②
2018年12月25日。
朝から仕事に行って、子どもを迎えに行って、家に帰って、気づいたら1日が終わっている、そんなバタバタした日々を送っていた頃のクリスマスの日。
この日は平日だった。
朝からプレゼントを見つけてルンルン気分な娘を幼稚園に送り届け、職場に向かう。午前中の業務をこなす。
ここまでは、いつも通りだった。
12時が過ぎて、昼食の時間がやってくる。職場は学校なので、昼食はいつも子どもたちと一緒においしい給食を(時にはおかわりまでして)食べていた。
ちなみにこの日のメニューは、ご飯、年越しの煮物、いわしの何か、みかん、牛乳。24日のクリスマスメニューの次の日は、いつもこれと決まっている。だから嫌でも忘れない。
異変を感じたのは、配膳が終わって、食べ始めようとしたとき。
いつもならこの時間、はらぺこあおむし並みにはらぺこなのに、全然お腹空いてないし、何も食べたくない。私の隣に座っている男の子が「先生~、◎★×□●☆※?」と話しかけてくるけれど、何も頭に入ってこない。とにもかくにも、気持ち悪い!!
もう、給食を前に、ただ下を向いてぼーっとすることしかできなかった。このまま食べずに給食が終わるのを待つ?いや、子どもの前で全残しするのか?いろんな囁きが、頭の中でぐるぐるしている。でも、教室中を漂う給食の匂いが、キツい……………。
そんな中、ついに担任の先生と目が合った。(私は担任とは別の、補助の人)今だ!!と思い、おもむろにおぼんを持ち上げ、先生のところへ行く。「ちょっと、職員室に行ってきます!!!」
なんとか職員室への逃亡が成功。給食は、申し訳ないなと思いつつ、結局一口も食べないまま残してしまった。
その後は、気持ち悪さを残したまま、どうにかこうにか残りの数時間を乗り切って、急いで娘を迎えに行って、死に物狂いで家に帰った。
もう、何でもいいから早く横になりたい!!
ただその一心で。
そして、やっとの思いで家に着いた。ああ、やっと寝れる。。。と安心したのも束の間、私は見てはいけないものを発見してしまった。
布団に横たわってぐったりしている夫。
嘘であってほしいと思ったけれど、思い当たることが一つあった。数日前、娘も調子が悪く、胃腸炎かなと疑っていたのだ。でも、思ったより早く回復して食欲もすぐに戻ったので、「あれはなんだったんだ?」と話していたところだった。
ああ、あれが移ったんだ。。。と確信。
とりあえず、娘はEテレ様と録画したアンパンマン様(たぶん)とサンタさんにもらったおもちゃ様にお世話になり、私たちは横になる。でも、そんなに間は持たなくて、次第に連呼祭りが始まる。
「おなかすいた!おなかすいた!ごはんはー?」
幼稚園で一日中たっぷり遊んだ子どもは、はらぺこあおむし以上にはらぺこだ。でも、二人とも、作る気力も体力も何もない。無理。完全に、お手上げ状態。
すると夫が、「Kさんにおにぎりを作って持ってきてもらおう」と言った。Kさんは、我が家がいつも超お世話になっている自治会長さんだ。こんなお願いをしてもいいものか…………と思ったけれど、夫の行動は早い。既にひ弱な声で電話していた。
しばらくすると、Kさんがやって来た。夫が玄関で受けとったのは、素敵な木の箱。その中には、見るからにおいしそうなおにぎりとおかずがたくさん入っていた。
やっとご飯にありつけた娘は、おいしそうにおにぎりを頬張った。クリスマスの日の、ひとりぼっちの食卓。申し訳ないなと思ったけれど、空腹MAXな娘には、あまり関係ないようだった。
翌日、寝たらほぼ回復した私は、残ったおにぎりを食べた。これがもう、めちゃくちゃおいしかった。
本当に、この件に関しては感謝してもしきれない。遠くの親戚より近くの他人。まさにこれ。ここは何もない山奥だけれど、どうしようもない夫婦を救ってくれる、優しい人がいる。
ちなみにKさんは、FacebookもインスタもTwitterもnoteも使いこなしていて、何よりすごいのが、毎日何かしらの絵や文を上げていること。それを見るのが、私の毎日の楽しみになっている。山奥の小さな集落に住んでいる私たちが、ネットを通して繋がっているって、なんか面白い。
絵も文も本当に素敵なのでぜひ一度noteを見てほしい。(ちなみに、今日の写真の絵も作品の一つ。お気に入り。)
最後に。
胃腸炎、子育て家庭、要注意。
忘れられないクリスマスシリーズ第一段はこちら。