オフィスと熱狂の因数分解。あるいは、アフターコロナの組織論

前回のnoteを読んでくださった皆さん、どうもありがとうございました!
私自身、オフィスのあり方、組織のあり方について、この数年模索しながら生きてきたため、まだ模索中の身でありながら自分の考えを発信するということに実は躊躇がありました。

しかし、このコロナ禍の時代に、少しでも私の考えが皆さんのお力になればと思って勇気を出して発信したところ、多数の反応をいただき本当に嬉しかったです。

今回は、現在テレワークで仕事をされている方がもしかしたら悩まれれいる、テレワークでの社員のモチベーション低下の原因をオフィスの機能というところから考えてみました。
拙い文章ですが、このnoteも少しでもみなさんのお役に立てればと思い、必死で書きましたので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。

1.変わる世界

まず、withコロナやアフターコロナと呼ばれる、今後の世界がどうなっていくかについて考えてみましょう。
現在、都内のオフィス事情は大きく変わってきています。
今までものすごい勢いで伸びていたベンチャー・スタートアップ企業は続々と上場を取りやめており、それに伴ってかオフィスの移転計画をしていた企業も移転を見合わせ、またはコワーキングや今よりも小さいオフィスに縮小移転しています。
これには、コロナを見据えた投資家さんの投資方針の転換やコロナによる営業の悪化などが用意に想像できます。

ただ、悪い理由ばかりではありません。
中には売上が好調にも関わらず、縮小移転を決めている会社が実際に少なくない数あります。
それらのベンチャー・スタートアップ企業は、なぜ縮小移転を決断したのでしょうか。
その答えのヒントは、自粛期間中に半ば強制的に始めざるおえなかった、テレワークにあります。

例えば、ベンチャー・スタートアップ企業の多くはクラウドサーバを利用して、インターネットサービスやスマホアプリを提供しています。
クラウドサーバとは、自社でサーバを持たずにAmazonなどからサーバを借りてインターネット経由で利用できるサービスです。
このサービスを利用すれば、大きなサーバをオフィスに置くことなく、使いたい分だけ課金して性能の良いサーバを利用することができます。
そのため、家にインターネット環境さえ整っていれば、仕事はオフィスに来るのとほぼ同じ環境で行なえます。

また、例えばコールセンター機能を持っている会社でも、IP電話を使うことでオフィスの電話番号を利用したまま、自分の社用スマホに着電できます。
社内とのコミュニケーションはもともとメールではなく、ChatwarkやSlackといった社内SNSツールを使っている企業も多いでしょう。

そういった企業は、もともと覚悟さえ決めてしまえば実は会社に出社する必要がなく、テレワークで仕事が完結していました。
しかし、我々日本人は文化的に面と向かって言葉を交わすことをコミュニケーションの基本と考えていますし、実際大切な考え方だと思います。
そのため、どうしても出社して社内の人と会議し、お客さん先に直接出向き打ち合わせする必要があると考えていました。

それをコロナが変えてしまった
今まで会社に出社し、お客さまと直接会話することが常識だった日本は、zoomなどのテレビ会議システムを使いPCのディスプレイ越しに社内・お客様と顔を合わせる、いわば直接顔を合わせないことが常識であると、日本の常識が移り変わってしまったのです。

その常識が移り変わったことにより、今までクラウドサーバを使うなどして会社に出社する必要が無いのに、出社しないと行けないという常識に縛られていたベンチャー・スタートアップ企業はあることに「気がついてしまいました」。

「あれ?会社に行かなくても仕事できるじゃん」

と。
これに気がついたとき、彼らにとって社員が全員入るオフィスは、ただの固定費の塊となっていまいました。
なぜなら、日常の業務はテレワークで問題なく回り、どうしても社内で会議したいときは、レンタルオフィスを借りれば良い。
お客様に直接会うなんてもってのほかで、よっぽど大切なようが無い限りはテレビ会議するのが常識になってしまったからです。
こうして彼らはwithコロナ、アフターコロナのオフィス不要論に行き着き、オフィスの縮小移転に踏み切っていきました。

2.オフィスを因数分解してみた

ここまで書くとベンチャー企業やスタートアップ企業と言われる先進的な企業だけがそういう働き方をしていて、大企業や普通の企業はコロナが終わっても元の働き方に戻るんでしょ?
と思われるかもしれませんが、実際コロナがどのように収束するのかは誰にもわかりません。
また、今後どのような疫病がこの高度にグローバル化した世界で流行するかわからない。
そうなると、今後のオフィスの選定要件には今まで必須だった選定要件が必須でなくなり、今まで存在しなかった選定要件が生まれてきますが、このお話は別の機会に書きたいと思います。

では、テレワークでのモチベーション低下の理由を、そもそもなぜオフィスが必要だったのかという観点から考えてみたいと思います。

なぜ今までオフィスが必要だったのでしょうか。
まず考えられる点としては、法律的に登記住所が必要であり、またインターネットがない時代はオフィスに全ての書類が保管されているため、オフィスに行かないと仕事ができなかったからという点が考えられます。。
しかし、先程述べた通り、オフィスには行かなくても仕事ができすようになった。
そうなると次に感じることが、SNSで業務連絡や簡単やり取りはできるけど、面と向かってのコミュニケーションがなくなるということです。
多分、テレワークに切り替えてほとんどの人が感じていることが、会社で何気なくする立ち話が如何に大事だったかということでしょう。
そして、机を並べて先輩や上司と働くことによって、あたかも音が空気を通して伝わるように、その企業のカルチャーや熱狂がオフィスというスペースを介して伝播し、熱狂的に働く環境が生まれていた。

そう、オフィスとは、
登記住所や書類等の保管、社員の働くスペースという「物理的な要素」と、
コミュニケーションを円滑にし組織のカルチャーや熱狂を伝播させるという「定性的な要素」でできているということが、上記のようにオフィスの因数分解でわかりました。

オフィスの因数分解とは、「物理的な要素」と「定性的な要素」でできている。

現在はこの内の「物理的な要素」について、サポートしてくれるサービスが数多くあるため、難なくテレワークに移行することができました。
しかし、簡単にテレワークに移行できすぎたため、「定性的な要素」という大切なことを忘れたまま、テレワークを行っている企業が現在増えてしまったように感じられ、またコミュニケーション不足を感じている企業が実際に増えています。

ということは、逆に言えば「定性的な要素」を補完できるサービスがあれば、組織はもともとの情熱を取り戻し、かつオフィスという空間は不要になります。

3.熱狂の因数分解

では、「定性的な要素」とは、どのように補完していくべきなのでしょうか。
次はそれについて考えてみます。

まず、「定性的な要素」とはどのようなものがあるのでしょうか。
たくさん例はあると思いますが、大まかには先程あげた「コミニュケーション」、「カルチャー」、「熱狂」といったところなのかなと思います。

では、これら「定性的な要素」を満たすにはどうすればいいのでしょうか。
みなさん真っ先に思い浮かぶのは、コミュニケーションをたくさん取れるように施策を打つということでしょう。
しかし、本当にコミュニケーションを数多く取れるようにすることが、正なのでしょうか。
世の中には、飲みニケーションという、行きたくない人からしたら地獄のコミュニケーション手法もあります。
また、コミュ障という言葉があるくらい、他者とコミュニケーションを取ることが苦手な方は一定数いらっしゃいます。
そんな方々に、無理くり飲みニケーションさせたらどうなるか、火を見るよりも明らかです。
どうやら、コミュニケーション軸で「定性的な要素」を補完するのは難しそうです。
では、コミュニケーションは一旦おいておいて、カルチャーを考えてみましょう。
組織では、どうしてもその組織の「におい」とも言うべきカルチャーが生まれます。
これは、暗黙の了解だったり、文章に明記されていたりしますが、これを理解させれば「定性的な要素」を満たせるのでしょうか。
おそらくは難しいでしょう。
カルチャーとは一人ひとりが参加して作られていくものであり、満足に定性的なコミュニケーションも取れない状況でカルチャーを無理強いしてしまったら、最悪環境が合わなかったということで、社員が大量に会社をやめてしまう可能性すらあります。

では、熱狂なのか。
熱狂と書くと、少し言葉が強すぎて違和感を覚えるかもしれませんが、私はここに鍵があると思います。

人は、どんなときに熱狂するのか。
例えば、音楽アーティストのライブ。
特定のアーティストの単独ライブに行くということは、日常的にそのアーティストの音楽を聞くくらい、大好きだということでしょう。
そして、ライブではその歌声に酔いしれ、回りの観客と一緒になって音楽に乗ったり涙したりします。

また、スポーツに熱狂する人もいるでしょう。
自分がプレイするときもあれば、観戦することもあるはずです。
自分でプレイしていれば、競技中に夢中になり、終わった後は仲間と感想を語り合い、飲みに行くかもしれません。
観戦がお好きな方であれば、手に汗握って夢中で応援し、試合会場にいれば周りの人と肩を組んで応援歌を合唱するかもしれません。

このように、人は熱狂するものにはお金を払ってでも参加します。
そして他者が自分と同じくらい、同じ対象に熱狂していることに気がついたとき共鳴しあいます。
そして、一人ひとりではそれぞれ個の熱狂だったものが複数の熱狂となっていきます。
(好きな漫画やアニメ、映画の話をするときにこのような状態になる人もいるでしょう)

これを仕事に当てはめると、一人ひとりが自分の仕事に熱狂し、その熱狂をお互いに分かち合うとき、熱狂が共鳴し、熱狂的な組織が生まれることがわかります。

では、どうしたら、一人ひとりが熱狂するのでしょう。
音楽やスポーツなどと違い、仕事とは非常に雑音が多いものです。
様々なクレームやミス、時間的拘束など、日々働いている中でストレスに感じることはたくさんあるでしょう。
しかし、熱狂に共通しているものは、お金を払ってでもそれをしたいということです。

会社の製品を売ることに熱狂すればいいのか。
会計処理に熱狂すればいいのか。
上司のお茶くみに熱狂すればいいのか。
今の自分のタスクに熱狂すればいいのか。

そうではありません。
自分は何のために働いているのか。
自分は何のために生きているのか。
今の仕事をお金を払ってでも、続けたいと思えるか。

そう、働く環境において熱狂を生むものとは、

働く理由、すなわち【ミッション】

なのです。
組織のミッション、そして組織のミッションから落としてきた自分のミッションに熱狂できれば良いのです。
ミッションを持って働き、生きていければ、どこでどんな仕事をどのような方法で行っていても、熱狂できるのです。

組織のミッションとは、その組織の存在理由です。
であれば、製品はそのミッションから生まれたり、取り扱っているはずです。
会計処理だって、組織のミッションを達成するために大切な、自分のミッションから必要となる行為なのであれば、それは熱狂して行えるはずです。
お茶くみだって印刷だって同じです。
自分が行うべきミッションから考えて、やるべき業務なら熱狂して行えるはずです。
そして、どうしても会社のミッションに納得できない場合は、会社を辞めるべきです。

経営層側も、如何に社員が熱狂して働けるかを考えなくてはなりません。
本来はミッションがあって組織が存在するはずなので、逆説的になっていまいますが、
・自分たちの組織のミッションは本当に正しいのか。
・会社は、ミッション通りに運営されているのか。
・短期的な利益や経営層の見栄のため、ミッションを歪めていたり、ミッションに添えない動きをしていないか。
これらを常に考える必要があります。

そして、ミッションとは社員との約束です。
ミッションが企業活動の本質でもある、お客さんを幸せにするという観点から外れていないか。
経営陣がミッション通り行動できているか。
社員は馬鹿じゃありません。
経営陣、リーダーたちの行動をいつも見ています。

社員がサボってしまっていたり、やる気を無くして働いていると感じたら、それは経営陣がミッションにコミットできていない・熱狂的に働けていないからです。

リーダーが熱狂的に働いていれば、仲間は必ずついて来てくれますし、それでも熱狂できない人はもしかしたら組織のミッションに共感できないのかもしれません。
その場合は、速やかにその人が熱狂できるミッションを掲げている会社を、紹介してあげたほうが良いかもしれません。
(人財の仲介手数料もかかりませんし)

このように、企業、組織のミッションをしっかり作り、その組織のミッションとそこから落とせる自分のミッションがしっかり腹落ちしていれば、個人個人が熱狂し、その熱狂を仲間と分かち合うことで共鳴し、熱狂的な組織が作れます。

そうなると、自然とコミュニケーションも自発的に取り始めますし、カルチャーも生まれてきます。
この状況になってから、コミュニケーションを取りやすくする施策などを取り入れないと、せっかくの貴重な人財を取り逃がしてしまいます。

まずは組織のミッションに共感する。
次に個人個人が自分のミッションに心から納得できる。
そうすると、仕事に熱狂が生まれる。
そしてその熱狂が個人から組織に移り、カルチャーやコミニュケーションが生まれる。
それこそが、オフィスに不可欠な「定性的な要素」だったのです。

今までは明確なミッションなどがなくても、会社の何となくの熱意の伝播をオフィスが助けてくれていたかもしれませんが、オフィスが無くなったことにより、社員が熱狂的に働く理由がなくなってしまった。
これが、テレワークによるモチベーションの低下の最大の原因だと思います。

少し長くなってしまいましたが、ぜひ皆さんの企業に明確なミッションがなかったり、何のために働いているのかわからなくなってきたら、可能であれば経営陣に企業のミッションを訪ねてみてください。

そして、自分の人生のミッション(ライフミッション)とその組織のミッション(ワークミッション)が一致しないと、組織のミッションは腹落ちしません。
このライフミッションについても、いずれ記事を書きたいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
読みづらい箇所や文章が下手だなと感じられるところが多々あったと思いますが、最後まで読んでいただき本当に感謝の念しかありません!
自分で読み返しても拙い文章だなと思うのですが、言いたいことは一先ず言えたかなと思います。

組織論と不動産、特にオフィスの企画を考えれば考えるほど、この2つは密接な繋がりがあるなと感じます。
ぜひ、皆さんの中で、この記事を読んで今の組織にミッション的な問題があると感じた方は、ご連絡ください。
まだ私も手探りで進んでいる最中ですが、少しでもみなさんのお役に立てることがあるかもしれません。
ぜひ、みなさんが熱狂して、時間も忘れるくらい働けるような組織を作るお手伝いをさせてください!

そして、仕事で不幸な思いをする人を一人でも減らすことができれば、
仕事で幸せな思いができる人を一人でも増やせれば、こんなに本望な事はありません。
(時間を忘れると言っても、働きすぎは禁物です。仕事は最短で終わらせることも熱狂の大切なポイントです)

高橋周平
E-mail:info@heroscompany.com
twitter:@shuhey_heyhey

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