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56.教育格差

教育格差は、生まれ育った環境によって受けられる教育に格差が生まれることをいいます。

そして、教育の格差は子どもの時だけではなく、大人になってからも様々な問題を生んでしまいます。
 
本人の能力と関係のない要因で進路が決められてしまう場合があります。

生活に困窮している家庭に生まれ、学校の勉強で良い成績を出し続けたとしても、大学に通うには授業料や入学金など様々な費用が掛かります。

この費用を払えない家庭環境にある場合、“奨学金で返済の義務を背負うなら進学を諦める”という人がいます。

本人は努力してテストで好成績を獲得しても、結局は家庭の経済状況で進路が制限されてしまうということです。
 
経済格差による教育の格差は連鎖する可能性もあります。
 
男性の最終学歴が高校と大学の場合、初任給は4万円以上の差になると言われています。

更に、最終学歴が中学と大学で比較すると生涯年収は7600万円ほどの差が生じると言われています。
 
最終学歴により就職できる会社や初任給、昇給などに差が出ることがあるので、教育の格差は年収を大幅に変える可能性があります。
 
そして、貧困の家庭で育った子どもが大人になり、満足のいく給与が得られないまま結婚…そして子どもが生まれた場合、その子もまた、進学や進路について経済的な制限を受けてしまう可能性があります。
 
このように貧困から来る教育格差は、何世代にも渡って連鎖していく可能性が考えられます。
 
教育格差は、単に受けられる教育に差が生まれるだけでなく、そこから派生して数々の問題を生じさせています。
 
貧困家庭とそうではない家庭では、全体的な進学率や中学校、高校卒業後の就職と中退率などに顕著な差が生まれることが分かっています。
 
貧困の形は、生活保護を受けている家庭、ひとり親の家庭、養護施設で暮らす子どもなど、家庭によって様々です。
 
収入が満足にあるひとり親の家庭であった場合でも、“親を1人にできない”、“家族の生活をより楽にしたい”という理由から、義務教育を終えて働き始める場合があります。
 
しかし、教育を受ける機会を失ってしまうと、結果として低所得の仕事で生活を送ることになり、貧困の連鎖が続いてしまうケースも多く見られます。
 
また、近年は学校の授業だけではなく、塾や習い事など学校以外の教育を受ける機会も増加傾向にあり、その為には入学費や学費、教材費なども必要になります。

貧困層家庭ではそうした費用を捻出することができず、子どもたちは学校外の習い事を諦めて、放課後の時間を1人で過ごすことも増えてしまいます。
 
このように、貧困であることが理由で教育の機会が奪われてしまうということです。
 
OECD(経済開発協力機構)先進国で比較した2019年の国内総生産(GDP)に占める公財政教育支出(初等から高等教育の教育機関に対する支出のうち国や行政が負担するもの)を見ると、すべての先進国の中で日本が37カ国中で36位でした。

その前は最下位でした。
 
この結果から、日本では子どもの教育費を家庭が自己負担でやりくりするという考え方が強く根付いていることがわかります。
 
一方、北欧にあるスウェーデンでは小学校から大学卒業までの学費負担は、ほとんどありません。
 
これは、教育費を税金で賄うという福祉国家的な教育観が影響しています。

“子どもは社会全体で育てる”という考えが強く根付いていると言えます。

日本では教育費の自己負担が一般的とされているからこそ、家庭の経済状況が子どもの教育に大きく影響しています。
 
最後に、経済的な理由から学習塾や習い事に通えない子どもたちの為に行われている支援について見てみます。
 
放課後子供教室は、放課後や週末等に小学校の空いている教室を活用し安全、安心な子どもの活動拠点を設けて、地域の方々の参画を得て、子ども達に勉強やスポーツなどを通じて、交流の機会を作る為に実施されています。

この活動から、子ども達が地域社会の中で健やかに育つ環境作りを推進するものです。

また、放課後子供教室は全ての児童を対象とした活動の場なので、実施日数や時間も様々です。

現在、地方自治体が主体となって行っていて、どのようなプログラムを盛り込むかも検討しています。
 
学童クラブは、共働きなどで日中に家庭に保護者がいない子ども達に生活の場として授業終了後や夏休みなどに実施しています。
 
子どもの時の教育環境が大人になっても大きく影響します。
 
それは少子高齢化の人口減少が進むにつれて、個人レベルの問題ではなく、社会レベル、国レベルの問題になると考えられます。
 
 
 写真はいつの日か…真狩村で撮影したものです。

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