ATTA
2023年は久しぶり20年ぶり?ぐらいにロックがおもしろい年でした(あくまで私にとっては…です)。
ビートルズが新曲を出し、ローリング・ストーンズが凄く完成度の高い新しいアルバムを出しましたから、それだけでも充分な訳ですが、それだけじゃなく、私にとってはU2の『ソングス・オブ・サレンダー』に始まり、ピーター・ガブリエルさんの『i/o』で締め括られたこれ以上のない至福の1年でした。
今年出た新作の中で、もし無人島に3枚しか持って行けないという条件を突き付けられたら、まずピーター・ガブリエルさんの21年ぶりの新作『i/o』、ローリング・ストーンズの18年ぶりの新作『ハックニー・ダイヤモンズ』、そしてシガー・ロスの10年ぶりの新作『ATTA』です。
皆さん、待たせ過ぎです。
U2は純粋な新作ではなかったので…2024年か2025年に出るであろう新作に期待です。
そこで、本日の“こずや”のBGMは、シガー・ロスの2013年の『KVEIKUR(クウェイカー)』以来10年ぶりの新作『ATTA(アッタ)』です。
“私たちはいつも気候変動、ドゥーム・スクロール(悪いニュースを見て落ち込んでしまっているにも関わらず、そのニュースを見続けようとしてしまうスマホに支配された現代人特有の行為のこと)、地獄行きについていつも考えているんだ。
このアルバムを作る時、世界は少し暗い感じがした。
でも、もしかしたら希望があるかもしれない。
闇があれば、光があるんだ。”
これはバンドを牽引するヨンシーさんのお言葉です。
シガー・ロスはアイスランドのバンドです。
Sigur Rósは、アイスランド語で“勝利”や“薔薇”という意味があるそうです。
私はモグリではありますが、一応、福祉と呼ばれる業界に属している身なので、北欧への憧れはかなり強いです。
現代の日本人はスマホとにらめっこの状態の人が多い…それはずっと下を向いて生活しているということでもあると思います。
電車や地下鉄の中とかはみんなスマホ見て下向いているので葬式みたくなってますし、歩いていても走っていても自転車乗っている時も車の運転中もスマホばかり見ている人が増えました…危ないですよ。
まぁ、長い間、希望も感じられないしクソみたいな状況が続いている国なので、下を向いていたいと思うのもわかるのですが、シガー・ロスの作品は夜空を眺めながら、星を見つめながら聴いていたい音楽です。
オーロラも見えちゃいそうになります。
シガー・ロスの音楽を聴くことで、上を…又は前を向いて生きていけるように導いてくれます。
進む道を間違っているかな…と自信を無くしている時にシガー・ロスの音楽を聴くと不思議と正しいと思える方向に修正できます。
それでいてアイスランド語とヴォンレンスカ(ヨンシーさんの独自の言葉)の混合がとても心地良い…。
世界中を見ても争いばかりで恐怖を感じる状況になってきています。
その中で、この平和な風景が見えるような錯覚を呼び起こす美しい音楽を聴く感じ…。
これはベトナム戦争の真っ只中でルイ・アームストロングさんの「この素晴らしき世界(What a wonderful world)」やジョン・レノンさんの「イマジン(Imagine)」を聴いていた感覚に似ているのかなと思います。
『ATTA』は、バンドのセルフ・プロデュースで、アイスランドのレイキャヴィックのSundlaugin スタジオでレコーディングされ、ストリングス部分はロンドンのアビーロード・スタジオでロバート・エイムズさんが指揮する32人編成のロンドン・コンテンポラリー・オーケストラによって録音されました。
シガー・ロスの現メンバーは、1994年の結成時から在籍している2人…ヨンシー・ビルギッソンさんがボーカル、ギター、キーボード、ハーモニカで、ゲオルグ・ホルムさんがベース、グロッケンシュピールを担当し、1998年から在籍しているキャータン・スヴェインソンさんがキーボード、ピアノ、オルガン、ギター、フルート、ティン・ホイッスル、オーボエ、バンジョーを担当しています。
2018年にドラマーのオーリー・ディラソンさんが脱退し、2012年にバンドを脱退していたマルチ・インストゥルメンタリストのキャータン・スヴェインソンさんが復帰して3人になってからの初めての作品です。
01.Glod
02.Blodberg
03.Skel
04.Klettur
05.Mor
06.Andra
07.Gold
08.Ylur
09.Fall
10. 8
とにかく美しいの一言で、いつになく開放感も感じるのですが、ヨンシーさんによると、ストリングスの音はとても広がりがあるけど、外よりも内に向いたサウンドとのことです。
シガー・ロスは、1997年に『Von(希望)』でデビューして、キャータンさんが参加して最初の作品である1999年の『Agaetis Byrjun (良き船出)』で世界的な成功を収めたわけですが、当時は衝撃的でした。
レディオヘッドのお気に入りのバンドということで聴いてみたわけですが、レディオヘッドが翌年に発表したロック史的に見ても革命的な名盤とされている『キッドA』よりも遥かに強い衝撃を受けました。
それは今も変わらず持続しています。
2002年になってドラマーがオーリー・デュラソンさんに代わって作られた『( )』がバンドにとって最大のヒット作品になりました。
まぁ、ここまで素晴らしい音楽になるとヒットとかはどうでも良くなってきちゃうのですが…。
存在しているだけで嬉しいわけです。
その後、『Takk...(ありがとう)』、『Með suð í eyrum við spilum endalaust(残響)』、『Valtari(遠い鼓動)』、『Kveikur』と出す作品は全て名盤です。
ヨンシーさんの2枚のソロ作もまた素晴らしいです。
そして新作『ATTA』です。
アイスランドに行ってみたいと改めて思いました。
聴けばわかります…あぁ~ステキ♪
皆様、2023年もお疲れさまでした。
良いお年をお迎えください。
ひとりひとりの最善の行動が世界をより良くするということで、2024年が今年より良くなることを想像して新しい年を迎え創造することにします。
それでは2024年に…。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?