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[本紹介]漂泊心をくすぐる『深夜特急』沢木耕太郎

先週末、久々に旅行にいきました。

何も決めず、友達の車についてドライブしながら

ただひたすら海岸沿いを北に向かう。

あ〜こう言うの久しぶりだなぁと

嬉しくなりました。

BGMは奥田民生さんの『股旅』

懐かしい歌を聞きながら、旅気分をあげます。

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『深夜特急』との出会い

皆さんはどんな旅が好きですか?

温泉・グルメ・放浪・名所を巡る

私は昔からフリースタイルなのが好きです。

人混みが苦手なのでマイナーな寂れた町や自然などが好みです。

学生の頃から、「西を目指そう!」と友達とドライブに出たりする

友達は親にどこに行くのか聞かれて「西日本に行ってきます」みたいな。

そんな旅のスタイルになったのは

自由奔放な性格もありますが、

やはり沢木耕太郎氏の『深夜特急』への憧れもあったと思います。

”インドのデリーからロンドンまで乗合バスで行く”という主題で1970年代「私」の1年以上の旅を描いたものです。

デリーに着くまでストップオーバーで香港から東南アジアで半年近くを過ごしているので旅はそこから始まります。

”ほんのちょっぴり本音を吐けば、人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、真実を極めることもなく、記録を作るためのものでもなく、血湧き肉躍る冒険大活劇でもなく、まるでなんの意味もなく、誰にも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうにないことを、やりたかったのだ。” (本文引用:深夜特急1)

兄に薦められて高校生の時に初めて読み

「めっちゃかっこいい〜!」としびれました。

日本のバックパッカーの先駆けです。

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旅の楽しみ

ネットもグーグルマップもない時代。

沢木氏はのちの対談で、

”どこへ行くにも地図を持っていかないし、ガイドブックの類もほとんど読まない。空港でも駅でも、到着したら街の中央にはどう言ったらいいのかを誰かに聞いて、そこへ行く。そうすると何か起きるじゃないですか。その”何か”に導かれるようにして泊まるところが決まってくる。”(『[対談]出発の年齢』より引用)

予備知識がないほうが楽しめて、自由であればあるほどハプニングが面白い。

それって共感できると思います。

旅の思い出って、名所やら有名な何かより

ハプニングや出会った人や些細な助けや優しさだったり。名所でも何も知らずにたまたま出くわした場所だったり。

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漂泊への憧れ

旅は、微妙なバランスの不安定と開放感からなるとも言えます。

例えばパックツアーだと安定感がありますが、その分開放感や自由を感じることは少ないですが、

自由気ままな旅は、予測不能で不安定です。でもその分開放感や自由を感じることができますよね。

どちらが良いとかではなく、これは好みの問題だと思います。

ただ、

私たちの根底に眠る

安定社会、生産社会からドロップアウトしたいという欲望” (『[対談]旅を生き、旅を書く』より引用)

は大小あれど多くの人が持っているのではないでしょうか?

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旅は人生

沢木氏はこの1年の旅を17年間に渡って書かれています。

私は『深夜特急1ー香港・マカオー』が旅の熱気があり一番好きです。

旅の始まりの、拙さや、好奇心が多いのが特徴で、旅の幼年期や青年期

人生と比例するように旅の終盤は、「旅論」の色が濃くなり、それと同時に疲労と喪失感を感じます。

長い旅になると、開放感になれ、好奇心は磨耗し、いつしか疲労していく。

一握りの人が体験するこういった危うい旅を私はおそらくしないと思います。

けれどとても憧れて、「旅」の本を手に取ってしまいます。

沢木氏との対談で高田宏氏はこのように表現されていました。

”文学作品としての「漂泊」は多くの人のガス抜きのための装置として必要だと思いますね。”
(『[対談]旅を生き、旅を書く』より引用)

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最後に

今は近場でも思うように旅に出れない時だから、

漂泊心をくすぐる

本で心の旅を楽しむのも一興かと

長編ですが『深夜特急』の紹介でした。

noteでも多くの人が旅について書かれていて、それを読むのが大好きです。

お勧めがあれば教えてください。

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note大学読書部の『読書コンテスト2021春』に応募しています。

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素敵な罫線はちょむらんさんの作品です。

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