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Project monoNoFuT -#005 舞蝶-

概要

プロジェクトモノノフサムライパンクスに登場するオリジナルサイボーグ「舞蝶」の紹介です。

目次

第一章 ★
第二章
第三
第四章

NFT

〜舞蝶(あげは)〜

Metaデータ

名前: 舞蝶(あげは)
CyborgType: EDO-SP005F-CC
Weapon: Vibro Plasma Blade
Close Combat: S+
Ranged Combat: D
Agility: S
Cyber: C
Toughness: D
Company: MoonBit

紹介文

格闘戦特化型サイボーグで、最低限の電脳防壁以外パラメータを近接戦闘とスピードに全振りしています。
「ついてこれるかしら?」
業界トップクラスの強さを誇る彼女ですが、義体の設定がピーキーすぎてメンテナンス泣かせと言われています。

背景

 舞蝶(あげは)は、母親、3つ下の妹琴葉の3人で幼少を過ごしました。
 父親は舞蝶が小学校低学年頃から行方知れず。
 台湾で暗号資産関連の事業を立ち上げると言って出て行ったきり全く連絡が取れなくなっていました。
 母親は元来気丈で明るかったため、父親がいなくても舞蝶と琴葉は寂しくありませんでした。ただ、金銭的には大分苦しく母親は夜遅くまで仕事をして毎日クタクタになって帰ってきていました。
 舞蝶はなんとか母親の負担を軽くしようと、家事や妹の面倒を一生懸命手伝います。
 特に妹は溺愛しており、何をするにしても常に一緒に行動して甲斐甲斐しく世話をしていました。

 高校3年生になった舞蝶は成績も良く、奨学金で大学に入る事ができると学校から知らせがありました。舞蝶の希望は暗号資産経済学部。
 母親と琴葉は我が事のように喜んでくれました。
 舞蝶の高校生最後の夏休み、今まで一切贅沢をしなかった3人ですが、舞蝶のお祝いにと旅行に出かけます。
 とは言っても余りお金はかけられないので、古い日本の面影がまだある田舎の旅館に泊まろうということになりました。
 旅館に訪れると、丁度その晩夏祭りがあるとのこと。
 母親は温泉でゆっくりしたいと駄々をこねたので、舞蝶と琴葉だけで浴衣を借りて意気揚々と出かけます。
 今まで経験した事のない祭りの音。
 絢爛豪華な山車。
 様々な出店。
 花火の音。
 琴葉は少ない小遣いで蝶の模様の入った髪飾りを2つ買って片方を舞蝶にプレゼントしてくれました。
 早速自分に付けると、恥ずかしがる舞蝶にも無理矢理付けました。
「お姉ちゃん可愛い!いつもありがとう!大学おめでとう!」
 舞蝶にとって人生で一番幸せなひとときでした。

 大学に入って一人暮らしを始め、勉強とバイトにようやく慣れてきた頃のある日。
 SNS上でNFTを用いた人身売買がされているという噂が立ちます。
 元々はアイドル等のNFTが発端で、NFTのもつ「所有権」という特徴がエスカレートしたもののようでした。
 ダークウェブ上のマーケットプレイスで高額NFTとして販売されており、オークションを通して超富裕層や反社会的組織間でやり取りをされている様でした。
 数千万から数十億円で成立し、売却された人物の意思は関係なく、攫われて奴隷として扱われたり、臓器の密売などで使い捨てされていると記事には記載されていました。

「お姉ちゃん助けて!」
 ある日突然琴葉からメッセージが送られてきて、添付されていた写真を見て舞蝶は驚愕します。
 それはいNFTマーケットプレイスのスクリーンショット。
 急いで撮ったのか誰かから送信されてきた画像なのか、ぶれた画像ではあったものの、琴葉の写真と共に記載されていたNFTの値段は1000万円…
 既に競り落とされた後の画面のようでした。
 コメントには台湾語で「借金の支払い用日本人奴隷」と記載されていました。
 出品者名は台湾で行方知れずになっていた父親の名前が。
 落札者は不明。

 舞蝶はすぐに警察に電話をかけ、自らも実家に戻ります。
 がーー。 
 ドアは、明らかに人外ーーおそらくサイボーグによるものーーによってぶち破られ、アパート内は暗く静まり返っていました。
 震えながらアパート内に侵入する舞蝶。
 微かなうめき声が琴葉の部屋から聞こえました。
 ぐちゃぐちゃに荒らされた部屋の片隅で、母親が血の海に横たわっていました。
 琴葉の姿は無し。
 直後警察と救急隊が駆け付けてきました。

 その後数日間舞蝶の記憶は曖昧です。
 警察に事情聴取されたり、病院で母親の容態を聞いたりした事だけおぼろげに覚えています。
 断片的に、父親の臓器であろうものが台湾の闇市で見つかったとも。

 襲撃から2週間、母親は未だ目覚めず、琴葉の行方はまるで掴めませんでした。
 ある雨の日の夕暮れ、ふと気がつくと、舞蝶はMoonBitの本社前に立っていました。
 人身売買NFTは超大手暗号資産取引所、FloatingBitが関係しているーー
 中規模暗号資産取引所MoonBitのDaoに所属してコミュニティー運用のバイトをしていた舞蝶はそのような情報を得ていました。
 ニュースでも最近FloatingBitは社員(サイボーグ)数を増やしており、NFT業績も好調と言われていました。

 大学を休学し、MoonBitの社員となった舞蝶は全身義体化を行います。
 厳しい訓練の期間中警察との連携を強めて得た情報と、ようやく話せるようになった際の母親の証言を合わせると、とりあえず琴葉の死体や臓器は見つかっていない事、襲撃に来たサイボーグは2人で、周辺の目撃情報や痕跡からやはりFloatingBit社のものではないかということがわかりました。
 琴葉は少なくとも生きているーー
 確たる証拠はありません。
 ただ、舞蝶はそれにすがるしかありませんでした。
 そうでもしないと彼女の心が崩壊してしまう可能性があったから。

 何も進展のないまま3ヶ月経ちます。
 その間、舞蝶はサイボーグとして開花。
 銃火器やハッキングの訓練があまり得意でなかった彼女は近接戦闘を好みます。
 それを高める為に素早さと近接武器の取扱いに特化した調整を行なっているのですが、ピーキー過ぎて同僚の先輩である月兎からは「クレイジー」と呆れられるほど。

 そんなある日、いつもお世話になっている婦警から舞蝶に一報が入ります。
「舞蝶ちゃん落ち着いて聞いてね、いい?」
 震える声でそう切り出した婦警。

 琴葉の心臓NFTが現物で見つかったーー

次章(第二章)→


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