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ピアノソナタ『悲愴』のフレーズ構造分析

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ベートーヴェン、ピアノソナタ第8番『悲愴』のフレーズ構造、第1楽章その3(mm.51–88)

ベートーヴェン、ピアノソナタ第8番『悲愴』のフレーズ構造、第1楽章その3(mm.51–88)

(この記事の分析は音楽のフレーズ構造の4つのパターンに書いた考え方に基づいて行われています。)

(小節をm.1などと省略して示します。複数をまとめて示す場合はmm.1–4という風に表記します。)

mm.51–66

mm.51-55

mm.51から、いわゆる第2主題が始まります。

この第2主題は、次の譜例のように、まず4小節で1つの基本的なグループをなしています。ただし、最後はウラを取る形

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ベートーヴェン、ピアノソナタ第8番『悲愴』のフレーズ構造、第1楽章その2(mm.11–50)

ベートーヴェン、ピアノソナタ第8番『悲愴』のフレーズ構造、第1楽章その2(mm.11–50)

(この記事の分析は音楽のフレーズ構造の4つのパターンに書いた考え方に基づいて行われています。)

(小節番号をm.1などと略して示します。範囲を示す時はmm.1–4などと略して表記します。)

Allegro molto e con brio

mm.11–26

m.11からm.18までの8小節は大雑把に1つの大きな2拍子とみなすことができます。

m.19の最初のC音は、ウラを取る形の最後の音

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ベートーヴェン、ピアノソナタ第8番『悲愴』のフレーズ構造、第1楽章その1(mm.1–10)

ベートーヴェン、ピアノソナタ第8番『悲愴』のフレーズ構造、第1楽章その1(mm.1–10)

この分析の基礎になってる考え方は↓のページにまとめてあります。

第1-2小節まずは冒頭の主題を聴いてみましょう。

この主題は、次の図に示したように、2つの2分音符からなる2拍子を骨組みとしています。

拍子記号のCは一般には4/4拍子と解釈されていますが、4拍子は構造的には2拍子の一種ですから今は区別する必要はありません。
(※ベートーヴェンは速い曲ではアラヴレーヴェを、遅い曲ではCを、そして

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ベートーヴェン、ピアノソナタ第8番『悲愴』のフレーズ構造、その0(基本構造編)

ベートーヴェン、ピアノソナタ第8番『悲愴』のフレーズ構造、その0(基本構造編)

その1ではまず悲愴ソナタの譜例を使ってフレーズ構造の基本パターンを説明します。
↓のページにも基本的なことをまとめてありますので参考にして下さい。

フレーズの基本構造の概説標準形

まず基本になるのは私が「標準形」と呼ぶ形です。これは要するに小節にピッタリ一致するようなフレーズ構造です。

ただし、2小節で1つの大きな小節と考えたり、逆に小節の半分を1つの小節と同じように考える、といったことが必

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