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綾辻行人『十角館の殺人』

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 Pixivで投稿してきた小説以外の文章を、
 noteに移して行きます。

(文字数:約1700文字)


 私が推理小説やミステリを書く事は、

 アガサ・クリスティ作
 『そして誰もいなくなった』を、
 読み終えた時点で諦めてしまったんだ。

 謎解きとか探偵の活躍振りといったものは、
 申し訳無いが一旦脇に置いて、

 純粋に、
 文章マニアが、
 ただ文章としての美しさを求めた場合に、


  そして誰もいなくなった。


 ってタイトルと一文はも~うぅ完璧!

 これ以上にそしてこれ以外に有り得ない。
 この一文が読めたらもう満足それで良い。
 原稿用紙にこの一文を書けた瞬間の、
 クリスティ先生の充実感がひしひし伝わる。


 私にとっての最高傑作が、
 既に存在してしまっている以上、
 もはや私が書く必要が無い!

 推理小説においてはな。
 他ジャンルはまだ書き続けるつもりでいる。


 というわけで、
 私自身は『そして誰もいなくなった』に、
 最大限の敬意を払っております。

 もちろん綾辻先生も本作を、
 敬意を払った上で書いておられる。

 作中人物の意見が、
 作者と同一であるかのように思われるのは、
 私も書く身として困っているところであり、

 まして推理小説においては犯人と、
 同一なはずもないのだから、
 読者諸賢にはぜひとも御理解頂きたい。

あらすじ:
  九州は大分県の無人島、
  角島(つのじま)の十角館に、
  ミステリ研究会に所属する大学生の7名が、
  一週間の予定で合宿する。

  近場でミステリ気分を味わいつつ、
  会誌用の作品を執筆する……、
  それだけの旅行だったはずが、
  一人また一人と連続殺人に巻き込まれて行く。


 1987年発表で、
 ミステリファンには今更何を言うとんじゃレベルに、
 基本の名作だが、

 私は初めて読むんだ。


 そりゃ面白かったですよ。
 トータルで9時間、
 うち7時間は一日かけて読みハマりましたよ。
 途中でやめる事が出来ませんでしたよ。
 「たった一行が世界を変えた」って帯の文句は、
 伊達じゃないですよ。ええ。


 ……犯人450ページ中の200ページ目あたりで、
 分かっちゃったけどね!


 すみません。
 まったくもって邪道です。
 トリックとか動機とかは置いといて、

 小説家として私だったら、
 コイツが犯人だと面白い!

 そしたらほら、そうだよねっ!
 こうなるよねっ!
 やっぱりねぇ~~~♪

 って感じで犯人を、
 描写していくさじ加減がたまらない!
 当然ながら巧い!
 分かって読んでいるとシビレるほどに巧い!

 綾辻先生デビュー作執筆時は26歳、
 お見事!


 しかしながらこれは作中人物(犯人とは限らない)の、
 言動に対してなんだが、

 294ページ、じゃかましわい。
 414ページ、じゃかましわい!
 441ページ、じゃかましわいっ!
 ……と3回思った。


 おのれにそこまでを思う筋合いは無いぞ!
 お気持ちは分かります。
 理屈じゃない事も理解します。
 せやけども、

 ……お前を守ろうとしてくれてたんやないか!

 私本名○○くんだけは嫌いになられへん!
 ってか彼の本名を○○にした、
 綾辻先生当時の感覚にも脱帽!
 実に○○っぽい!

 お互いを推理小説作家名のあだ名で呼び合うって、
 マニア的な気取った雰囲気が鼻につく、
 じゃないよね?

 名字って地元的な家系的な印象が絡み付いて、
 キャラクターとかイメージ像とかが、
 固まり過ぎちゃうよねっ!

 おそらく九州の人間は○○という名字に、
 よっぽど嫌いな個人でもいない限り、
 どうも憎み切れない感じがある。


 あと九州の呑み会は呑めない者にとっての地獄です。
 大分県は分からないけど、
 故郷では87年どころか現在でも似たようなものであろう。

 大学生の新年会が三次会まであるて、
 アホーーーーーーーー!

 関西でも時に愛情表現ちゃうぞ。
 より明確にするために漢字で言うぞ。
 阿呆!!


 後で一時間半かけてもうひと通り読み返してみたが、
 やっぱり巧いな。
 決定的なワードがちょいちょい含まれているんだが、
 初読時にはそこまで気付けないんだ。

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