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ロールスロイス真言宗

  現在pixivにて書きまくっている小説の中で、
  (注:pixivの偏光小説一覧に飛びます。)
  浮かんだ疑問を配偶者に相談したところ、
  運転しながらもわりと真剣に考えてくれたわけだ。



信仰とは何ぞや

  浮かんだ疑問と言うのはつまり、

  「信仰を持っていない人間が、
   仏教でもキリスト教でもヒンドゥーでもいいが、
   何かしらの宗教に触れた際に、

   その中で『心を込めろ』とか、
   『信仰心を示せ』などと求められた場合に、
   どうやり過ごせば良いか。

   実際に私は信仰心を持っていない気がするし、
   私が見たところ貴方も持っていない気がする。
   しかし高野山に通っている我々は、
   普段から一体どうやり過ごしているのか」

  配偶者は結構しっかりめに悩んだのだが、
  それと言うのも、
  「信仰の定義が難しい」からだと言う。

  今の自分たちのイメージをまとめると、
  「頼る」とか「見返りを求める」とか、
  「現世利益」的な感覚で、
  そうしたものは確かに自分たちには無い。

  その代わりに何があるかと聞かれたら、
  「感謝」の一言に尽きるよねと。
  寺だろうが神社だろうが自分たちは、
  「いつもありがとうございます」しか、
  本殿や内陣に申し上げていないよね。

  ここまでは共通認識でよろしいと。


  「と言うより話しながら気になったんだけど、
   『本当の信仰』って見返りを求めないのかな?」
  そう言われると「おや?」と私も首を傾げた。

  「仮に見返りを一切求めない、
   『本当の信仰』があるとして、
   それは『見返りを求める信仰』と、
   何か優劣があるのかな」

  言われて改めて考えると、
  ただ自分たちには無い感覚なだけであって、
  確かに「優劣がある」とは言い得ない気がしてきた。

  「金が欲しい」にせよ、
  「健康になりたい」にせよ、
  「幸せになりたい」にせよ、
  それらを願う当人たちにとっては切実だ。


信者とは何ぞや

  「誤解を恐れず言うなら僕は真言宗に対して、
   かなりポジティブなイメージを持っているんだけど、
   何でかなって今話しながら考えたら、
   僕にとっての『ブランド』だからなんだよ」

  「ブランド」

  「そう。ルイヴィトンとかシャネルとかと同じ。
   それを選んでいる事が心地良い状態」

  それを聞いて「はぁ!」と、
  配偶者の感覚を理解したように思ったのだが、

  「ダウンタ○ンの松ちゃんや福山雅○や、
   村○春樹と同じか!」
  「そう。そういう事。
   要するに信者って愛だから、
   対象をけなされたら腹が立つの」

  「そうだな。ブランドとは信頼の証だからな。
   車で言うならロールスロイスか」
  「ああ。まさにそんな感じ。
   伝統に裏打ちされた煌びやかさ」
  「ロールスロイス出されちまったら、
   そりゃ黙るしかないもんな」


自分ブランド化計画

  「つまり私は自分をブランドに、
   作り上げなきゃいけないわけだな?」
  「うん。貴方に置き換えるとそうだね」

  「今のところ思いっきり高野山に、
   あやかりまくろうとしているが」
  「そこは構わないと思うよ。
   自走には初速エネルギーがいるからね。
   何か強力なパワーで押し出してもらわないと」

  「私の自前のブランド力が弱いからなぁ」
  「貴方の自前ブランドはマイナーなだけで、
   味わいはとんでもなく力強いから、
   あと二、三回はしがんでみていいと思うんだけどね」

  「たとえ失敗作だと酷評されようが、
   信者であれば一応は買うもんな」
  「そうだね。
   そして実際に失敗だと思っても、
   それはそれで面白がれるよね。
   そのブランド自体が好きなんだから」


勝手に映画化構想

  そこで車内には、
  一応インディーズではあるものの、
  関西では名の知れたボーカリストが所属するバンドの、
  ライブに行った配偶者が、
  その場で買ってきたCD(つまり他では買えない)の、
  メインとなる一曲が流れ始め、

  「ああ。今書いてる話が仮に、
   二時間の映画になるとしたら、
   エンディングテロップと同時にこの曲を流したい」

  「ほほう」
  と配偶者は多少のけぞったものの、
  特に否定はされなかった。

  「かくかくしかじか最終的にこうなるので、
   エンディングでコレが流れたら完璧」
  「なるほど」

  「しかし私は何よりもまず文章好きなので、
   映画を撮りたい欲求も撮る技術も無ければ、
   映画関係者に知り合いもいないので、
   実現方法は今のところ全く分からないのだが、

   いずれそうなるものと思いながら、
   書き進めて書き上げても構わんかなと思って」

  「この場合ボーカリストじゃなくて、
   バンドのリーダーであり作詞者と交渉しなきゃだから、
   相手と相手に応じた敬意には気をつけてね」
  と最終的に真剣に忠告された。

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