皇居にて想う「豊かさ」
色々な準備や手続きをしながら、合間に社会科見学を続けている。
こんなに近くにあるのに初めて来たなあ、こんなとこあったんだなあ、と思う場所が、東京には沢山ある。
そういうわけで、一度行ってみたかった皇居参観に行ってみた。
皇居の周りは何度も歩いたことがあるが、中に入るのは初めてだ。参観は無料だが、現在は感染症防止の観点から、予約制になっている。しかしこの季節は、暑い。
どんなに素晴らしいものを見ても、
「うわー、こんな厳重な警備…ああ暑い。あ、ここから入るんだー、暑い。警備員さんも大変そうー暑いもんね。あ、ここが入り口かー写真撮ろ、あー暑いー」と、どんな思考の間にも「ただ暑い」というバグ?ノイズ?が入り込んでしまう。ガイドの方も「はっきりいって夏はおすすめしません」と言い切っていたほど。
でも、「四季折々、いろいろな表情が楽しめますので、懲りずにまたいらしてください」とも言っていたのが印象に残った。
平日の午前中だったが、50人以上は参加者がいたのではないかと思う。海外から来て、中国語スタッフの説明を別に受けている方もいた。
「豊かな生活」=「リッチな生活」=タワーマンションに住んでー、高級車に乗ってー、というような生活を安易に想像していた私。けれど、先日の迎賓館参観に続いて皇居を見ていた時、ふと思ったのだ。ガイドさんが、「あちらで鳥の観察などができます」というようなひと言をいったときに。
「豊かな生活」というのは、つきつめれば自然を不自由なく愛でられることではないのか?と。
私の実家は海と山に囲まれた自然豊かな場所・・つまりとても田舎で、これを書いているさなかでもセミがミーンミーンミーンミーンと・・それこそ蝉時雨、という言葉通りにエンドレスで鳴いている。
でも、自然があれば豊かか?っていうと、私の意図するところはそうではない。
田舎で暮らせばイタチやフナ虫や害虫とも戦わなくてはいけないし、交通も不便だし。自然災害の心配だってある。雪国であれば、雪かきもしなければならない。南のほうなら、台風に備えなければならない。自然とは厳しいものだ。そのなかで暮らすのは、一概に自由とは言いきれない。
ただ、それが自分の目に映る範囲で、プロに管理され、ちょうどよく楽しめる環境ならどうだろう?常に庭師さんや木のお医者さんがみてくれる庭園。都会の中にあれば、利便性とも両立できる。自分で何もしなくても、きれいな池や、木や、生き物を愛でることができて、教えを請えば解決してくれる人がいる。
「自然って、いいわねえ」「緑がある生活って素敵」花瓶の水さえ代えなくても、そう言える環境。
タワーマンションの高層階で、観葉植物やペットを育てながらコーヒーを飲む生活が、現代人の多くが目指す「豊かな生活」なのかな・・・とぼんやり思っていた私は、いや、それはもしかしたら違うのかもしれない、と感じた。そもそも「リッチな生活(お金のかかっている生活)」=「豊かな生活」とは言いきれないだろう。
家族と過ごしたり自分だけの時間を持ったり・・・その多くは、お金を払ったからって一瞬で手に入るとは言い難い部分にあるように思う。そして、自然もまた、ままならないものだから、それをできるだけ管理しよう、どうにかしよう、って思うとお金がたくさんかかる。しかも半永久的に。維持費というやつですね。そう、木は剪定しても、また伸びるしね・・!
そして昔から様々なお城や宮殿には庭がある。人間は自然を愛でたい。
迎賓館や皇居は高層ビルの一室にない。幼稚園や保育園がビルの中にあってもいいけど、お庭があったほうがなんか楽しそう。全部、そういうところから来ているのではないか。
そんなことを黙々と考えながら、汗だくで皇居を歩いていたのでした。
近くには、きれいな造りのスターバックス二重橋店もあり、こちらで休憩したり、余韻にひたるのもおすすめです(笑)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
※訪問の際は、必ずオフィシャルな情報をご確認ください。
宮内庁参観案内:施設情報:皇居 (kunaicho.go.jp)
【訪れた場所】
皇居
アクセス:地下鉄大手町駅から徒歩10分ほど
(他、二重橋駅、東京駅からもアクセス可)
【所要時間】
ツアーガイドがあり、1時間ほど。
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