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原宿発のカウンターカルチャー「KAWAII」がなぜ国や企業の後押しを得るのか_富士山展3.0トークショー(6)

富士山展3.0トークショーの書き起こし、最後には鋭い質問も飛び交った質疑応答をお届けします!

観客1(女性)
原宿を中心にしたカワイイ文化って、女の子たちが売ってるものをそのままじゃなく自分なりにアレンジさせて身につけるっていう、ある意味反政府的な、大企業嫌いな感じで発展してると思います。でも、そういう文化って盛り上がるけれど、経済的が回らなかったり、わかりにくくて世界に出なかったりするところを、増田さんが企業とコラボしたり世界にわかりやすくしたのかなと思うのですが、その相容れない二つをどう共存させているのかがわからなくて。本来反逆的な文化を扱っている増田さんに、どうして企業や国が依頼をするのか、と。

増田セバスチャン
確かに、原理主義的な「KAWAII文化」では共存できないんですけど、でも、これが一回世の中に出ていくと、企業は「カワイイ」って言えば売れる!と勝手にのっかってきちゃうんですよね。

もともと原宿では、みんなが自由に自分なりの表現をして、その中のアイテムのひとつとしてかわいいものが取り込まれていったっていうのがあるんですけど、それが流行ってくると、だんだん弁当もカワイイ、ラーメンもカワイイ、とか出てきて。なんなら、ここ数年はキティちゃんも積極的に乗っかってきてると思ってるんですよ。

そうやって、みんながのってきちゃって、よくわからない企業や役所の人たちも「かわいいものを作ってください」と言ってきたところを逆手にとって広めちゃってる、っていう感じです。でも確かに、原理的なものは相反するものだと思いますね。

観客1(女性)
質を下げないようにしてるから、広がったのでしょうか。

増田セバスチャン
そうですね。あとは、こういう活動を並行してやっているっていうのもあるし、企業と仕事をする時にもちゃんと怒ったりもします。こういう風にしたらブームで終わってしまう。我々は育てていきたいからちゃんとしましょう、というふうに。

KAWAIIってひとことで言ったら?

観客2(男性)
僕は、かわいいってなんだろうって、わからなくて。例えば海外から来た人に、文化としてのKAWAIIってなに?って聞かれたら僕は答えられないんです。かわいいって一言で言えばなんだろうって

増田セバスチャン
海外の人たちがいっている「KAWAII」は、日本語の「かわいい」とは違うんですよね。海外の子達が、日本に興味をもってくると、アニメや映画を見るわけです。そうすると何かと「かわいい、かわいい」っていってる。だいたい、ほめるときとか、感嘆するときにつかうということはわかってくるんです。それで、最初は日本好きな若い子たちが新しい言葉として「KAWAII」を使っていた。大人がわからない言葉として。すごい、みたいな意味合いで。

自分は、KAWAIIっていうのは、自分だけの小宇宙を作ることだと思っています。自分が愛でているものなら何でもいい、他の人から見たら可愛くないこともある。でも、それを可愛いって思い続けるということ。

誰にも邪魔することができない、白でも黒でもカラフルでも本当に何でもよくて。自分だけが大切に思っていいという思想的な意味で「KAWAII」はあるんじゃないかと思います。母性にも近いかも。トップダウンの父性の時代は終わって、色んなことに思いを寄せたりする、お母さん的な気持ちに近いですよね。KAWAIIは母性だっていってもいいのかもしれません。そんなふうに、僕もKAWAIIって何だろう、っていつも考えていますよ。

衝撃を受けたKAWAIIは?

観客3
いままで見てきた中で、こんなKAWAIIがあったのか!というお話があれば聞かせて欲しいです。自分の表現とは違うけど、こんなKAWAII、こんな宇宙があったのかって。

増田セバスチャン
仏像ですね。小さい時、自分は仏像が好きだったんです。みんなが怪獣とか仮面ライダーとか好きだった時に自分は仏像にハマってたんです。仏像の造形も好きだったんですけど、神社仏閣で仏像があるところまでいく道のり、雰囲気、日光の演出とかって、もう完全にディズニラーンド超えてますから。全部計算されている。しかも、風水とかで配置も決まってるんですよね。当時「かわいい」という言葉はわかってなかったけど、すごく感動しました。

施井泰平
一番可愛いお寺は?

増田セバスチャン
京都の東寺はやっぱりすごいですね。実物を見たくて、小学生の時に1人で京都に行ったんです。

施井泰平
え?小学生で?

増田セバスチャン
はい。はは。

施井泰平
なんと。まあ、僕、仏像に似てるって言われますけどね。

会場
(笑)

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(1)日本のアートは2011年を境に変わってしまった
(2)芸術?エンタメ?ファッション?アーティストがぶつかる領域問題
(3)ディスカッションが苦手な日本で、アートが果たすべき役割とは〜あいちトリエンナーレを考える
(4)ブロックチェーンに期待される「アートの民主化」その真の力とは?
(5)70年代のハローキティ、震災後のきゃりーぱみゅぱみゅ。平和への願いがKAWAIIを生み出す
(6)原宿発のカウンターカルチャー「KAWAII」がなぜ国や企業の後押しを得るのか

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