チェルシー×クリスタルパレス プレミアリーグ 第1節 2021.8.14
こんにちは!へーこです。
ついにプレミアリーグの新シーズンが開幕しました。昨シーズンの前半戦はランパード政権の下、豪華な補強を敢行したにもかかわらず下位に低迷。そこからトゥヘルに監督交代をして一気にチャンピオンズリーグの優勝まで果たし、リーグ戦も3位フィニッシュをしたチェルシー。今シーズンこそ4年ぶりの優勝が期待される中でどのようなシーズンになっていくのでしょうか。
それでは早速、試合を振り返っていきましょう。
スタメン
チェルシーは昨シーズンからお馴染みの343。昨シーズンから大きなメンバー変更は見られなかったが注目はRHVのチャロバー。アカデミー育ちで昨季までフランスのロリアンでプレーし、開幕戦でいきなりスタメンに抜擢された。対するクリスタルパレスは442を選択。クリスタルパレスは今シーズンからヴィエラが監督に就任し積極的に補強を行った。CBのグエヒはチェルシーのアカデミー育ちで今シーズンからパレスに加入した選手である。
チェルシーのボール保持時①
◆チェルシーの攻撃の大枠
この試合でクリスタルパレスは典型的な442のブロックを組む守備を行ってきた。対してトゥヘルチェルシーはコンパクトで守備で安定感を発揮するシステムとして有名なこの442の崩し方のお手本を見せてくれた。
この試合で見せてくれた442の崩し方には大きく2つのステップがある。逆算的に説明していこう。
まず、このやり方の大きな目的はサイドの深い位置で数的優位を作り出すことである。この数的優位とはWBが高い位置でボールを持つ時間を作り出すことも意味する。チェルシーの両WBはどちらも質の高いクロスを備えている。
ではこのサイドの深い位置で数的優位を生み出すにはどうすればいいのか、、、というところで重要なのが中盤の4枚と2トップの間で発生するスペースから配給をするということである。
正確に言うとこの位置からボールを供給をする必要がかならずしもあるわけではないのだが、重要なのは相手のブロックを十分に収縮させた上でWB の選手にボールを配給するということである。より高い位置でボールの配給を行うことによって相手をサイドに揺さぶりやすくなる。(このことは昨季のサウサンプトン戦の記事でも言及した。)
要するにこの位置からボールを供給すると相手を十分に引き付けてWBに時間を与えやすくなるということだ。
◆クリスタルパレスのブロック守備
前述したとおり、クリスタルパレスは442のブロックを組む守備を行ってきたのだが左右で少し違う構造になっていたためその点に言及をしておく。
まず、大きく異なったのは、両SHの役割だ。
RSHのアィエウは初めの時点では内側に絞ってブロックに参加するのだが、WBのアロンソにボールが出た時点でアロンソを抑えに出ていく。
その一方で、LSHのシュラップはブロックに参加はするもののRHVチャロバーにボールが入ったとしてもWBへのパスコースを消す程度のことしかせず、WBにボールが入っても戻ることはしていなかった。代わりにWBを抑えに行くのはLSBのミッチェル。そして、ハーフスペースのケアはCHのマッカーサーが担い、シュラップは前残りになっていた。
そして、2トップは3バックに対して奪いに行くことはせず牽制をする程度。2CHを抑えるのは2CHだが、こちらも奪いに行くほどの強度ではなく前を向かせなければOKというテンションだった。
チェルシーのボール保持時②ビルドアップを成立させたデティール
◆HVによる持ち上がりとコバチッチによるサポート
前述したようにサイドの深い位置で数的を創出するためには2CFを超えた高い位置から配給を行う必要があるのだが、それが必ずしも初期位置としてそこにいるCHというわけではない。上図のようにHVが高い位置までボールを運んでそのエリアに侵入するというパターンもある。というかむしろそっちのほうが基本的には多い。そのサポートとしてリュディガーが高い位置に進出する際にコバチッチが低い位置に降りてザハ相手に数的優位を作って攻撃を進めていく。この試合を通じてCBによる持ち運びの重要性について再認識できた。また、効果的な持ち運びになっているかどうかは大外のレーンの選手をフリーにできているかどうかで見極めることができる。
◆クリスタルパレスの弱点を突いたジョルジーニョ
前述したようにクリスタルパレスのCHマッカーサーはジョルジーニョの監視とハーフスペースのケアという二つのタスクを担っていた。このことに加えLSHのシュラップは縦パスのコースを切り切れていなかったり、チャロバーへの牽制も緩かったりした。そのため、左サイドではチェルシーは容易に深い位置に侵入することができ、マッカーサーのハーフスペースのケアが間に合わない瞬間が何度かあった。そして、このことにいち早く気づいたのがジョルジーニョだった。前半では彼自身はボールをワンタッチで落としマッカーサーを釣ったうえで、チャロバーに素早くアスピリクエタに展開するようにコーチングをすることでマウントがライン間でフリーになれる時間を生み出すシーンが見られた。
正直なところ、この試合LSHのシュラップの守備への貢献度が低すぎたため早い時間で勝負が決したように思える。パレスとしては彼をサイドに置いて守備の穴を作ってしまったのが大きな敗因の一つだったと思う。実際にシュラップは後半からCFに置かれその後ベンチに下げられた。
クリスタルパレスのボール保持時
大半の時間でチェルシーがボールを保持していたのでほとんどこのシーンはありませんでしたけど一応書いておきます。
クリスタルパレスにはボールを持った時のプランはあまりないように見えた。従ってパレスの攻撃はチェルシーがどこを抑えてくるかというところからなされていた。
一方チェルシーは343の形から少し変形し、真ん中の選手を徹底的に抑えるようにしていた。具体的には2CBにはヴェルナー、プリシッチが、2CHにはマウント、コバチッチがマンツーマンで抑える。余ったジョルジーニョはライン間のケアを担当していた。
ということで空いてくるのはSB。クリスタルパレスは空いてくるSBがチェルシーの3バックの脇にボールを蹴りこみそこを起点に攻撃をしたかったよ宇に見えた。
数的優位の意味とは
この試合でトゥヘルチェルシーは442のブロック守備の崩し方のお手本を見せてくれた。そこから個人的に見えてきたものがある。それは数的優位の意味である。
この試合のリュディガー、コバチッチを見ていて感じたのは数的優位とは誰に対して作り出すのかを明確にするのが重要なのである。彼らは必ず誰か一人に対して数的優位を作り出しその選手の判断の迷いを生むことによってボールを前に進めていた。具体的にはCFザハに対してコバチッチとリュディガー、RSHアィエウに対してリュディガーとアロンソのようにだ。よく数字で取り上げられるのは3バックvs2CFで3vs2というものだが、実際に起きているのは2CFのどちらかに対して3バックのうちの2人が数的優位を作り出し1vs2という現象である。
この部分が作れていなければ仮に3vs2の数的優位であったとしても数的優位を生かすことはできていない。どのような枚数であれ、最終的には誰か一人の個人に対して数的優位を作ることが重要であると感じた。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
↓Twitterのリンクです。フォローよろしくお願いします。
試合結果
プレミアリーグ 第1節 2021.8.14
チェルシー×クリスタルパレス
3-0
得点者 アロンソ、プリシッチ、チャロバー
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?