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本の虫が完成するまで/私の読書遍歴 4~8歳編(下)

2023年1月29日(日)

「私の読書遍歴 4~8歳編(上)」でも書いた通り、4歳~8歳まで私はボストンに住んでおり、現地の子どもたちが通っている学校に通っていた。

肌の色や目の色が異なるクラスメイトと同じ言葉を理解できるようになると、
比較的に親日の地域だったこともあり、すぐにクラスの一員として受け入れられた。

言葉を理解したことで、子どもたちの定番の遊戯である「ごっこ遊び」に混ぜてもらえるようになった。

私のクラスでは2つのごっこ遊びが流行していた。
ひとつは J・R・R・トールキンの『指輪物語』が原作になっている映画「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings)のごっこ遊びである。

私は引っ込み思案だったので、剣に見立てた木の枝を振り回すチャンバラごっこには魅力を感じなかったので、あまり参加をしなかった。

ふたつ目はJ・K・ローリングの『ハリー・ポッター』(Harry Potter)シリーズのごっこ遊びである。

本シリーズの1作目である『ハリー・ポッターと賢者の石』(原題: Harry Potter and the Philosopher's Stone)が映画化された直後のタイミングで渡米をしたので、クラス内の盛り上がりは大きなものであった。

私も例にもれず J・K・ローリングが創り出した魔法ワールドの虜になった。

休み時間になると、校庭に落ちてる木の枝を杖に見立て振りながら、暗記していた魔法の呪文なんかを唱えたりして遊んだ。

家に帰ると、映画版のVHSをテープは擦り切れるほど視聴し、ページに手垢が染み込むほど分厚い書籍を読み込んだ。

なぜ、ここまで『ハリーポッター』に熱中していたのだろうか。
もちろん周りで流行っていたからというのもひとつの理由だろう。

ただ、今振り返るとはっきりとした理由がある気がするのだ。

本作の主人公であるハリーは、生まれながらにして魔法使いだった。

両親は既に他界しており、ハリーは意地悪な叔父叔母に引き取られて育った。

意地悪な叔父叔母は魔法の概念を知っていたのにも関わらず、ハリーにそのことを話すことはなかった。

しかし彼は11歳を目前にしたタイミングで魔法の存在や、両親の死の真相を知ることになる。

ハリーはこれまで生きていた常識が通用しない世界と直面したのである。

その設定を日本からボストンに移り、異国(=異世界)での生活を余儀なくされた自分に重ねていたのであろう。(つづく)

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