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明治から続く、老舗工務店のリブランディング

Webディレクター・プランナーの平藤(へいとう)です。新築から、マンションリノベ、店舗内装を手掛け、東京板橋区で明治10年(1877年)より続く株式会社古谷野工務店(以下、古谷野工務店)のリブランディング事例をnoteにまとめました。

歴史と経験に基づいた実装力があり、美意識のあるデザインができる」これが私が古谷野工務店にもった第一印象でした(偉そうですみません・・)。この印象が他の工務店との違いということは調査を重ねるうちに明らかになりました。古谷野工務店の実績写真をみていると整っているので作品思考が強い印象をうけるのですが、設計を担当する古谷野裕一氏からは施主の話を傾聴し、想いをカタチにする、私たちがイメージする工務店像を感じるのも不思議でした。

そんな特徴でもあり、矛盾点をもった「らしさ」を見える化するために私が整理した内容がこちらです。

伝えたいこと:美意識と顧客目線を持ったハイブリッド工務店
美意識の伝え方:実績写真、ロゴデザイン、Webデザイン
顧客目線の伝え方:スタンスを伝えるメッセージ、住まい手との対談記事

それでは、成果物としてアウトプットされたメッセージ、ロゴデザイン、Webデザイン、パンフレットについて順を追って解説します。

スタンスを伝えるメッセージ

ヒアリングを通して、私が感じた古谷野工務店の印象を文章化したのが以下。

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初回の提案で、この文章をお伝えし、共感いただいたことからプロジェクトはスタートしました。当時は、クリエイティブの方向性を確認する目的で文章化しましたが、最終的にはパンフレットやWebサイトにも「私たちの想い」として掲載しています。

メッセージの狙いとしては、冒頭にもお伝えした通り、古谷野工務店の特徴である美意識と顧客目線がハイブリッドに確立していることだと考えていたので、顧客目線部分の上澄みをすくいとるような文章としました。

同時に、施主と建築家との信頼関係を伝えるコンテンツ「住まい手の声」として、対談記事を作成&掲載しました。取材は文章と撮影を担当させていただきましたが、どの住まい手さんも空間に満足している様子が印象深かったです。

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※ 古谷野工務店Web「住まい手の声」より引用

新しさの中に、工務店らしさを感じるロゴデザイン

ロゴデザインは、マルチプルのVIを制作してくれたDESIGNNobiの藤本健太郎氏に依頼しました。美意識が伝わる要素が必要と考えていたので、日本がもつ美意識や、家づくりを担う工務店らしさを大切にしつつ、新しいチャレンジを感じさせるデザインを意識しました。

さまざまな角度と量で何案も検証を重ねた結果、工務店らしさを残しつつ、新しさを感じさせる絶妙なバランスの取れたロゴとして現在のデザインが採用されました。(以下はロゴ案の一部抜粋)

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※ Designed by DESIGNNobi

会いに行きたくなる、Webサイト

WebサイトはマルチプルWebサイトをデザイン&実装していただいた、
DESIGN STUDIO Lさんに依頼しました。はじめは、必要要素をなんとなく洗い出した手書きの構成案を作成し、デザイナーのハラさんへご相談しました。イメージをお伝えする中で、リブランディングの象徴であるロゴデザインの印象を強く残しつつ、実績へ違和感なくナビゲートすることで、古谷野工務店の特徴を訴求するトップページ案としました。

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Webを中核とした導線設計では、Webサイトを見ただけでは成約することは少ないと考え、実際に話が聞きたくなる(会いに行きたくなる)きっかけづくりをWebコミュニケーションのコンセプトとしました。

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Webデザインについては、ハラヒロシさんのnoteで触れていただいているので、ハラさんの記事をご覧ください。

カルタ型のパンフレット

パンフレットは、郵送することも考慮してデザインされていますが、直接お会いした際のプレゼンテーションツールとしての使い方を重視しました。そのため、高級感のある厚紙を用いて、一枚づつカルタのように机に広げながら対話できるパンフレットとしました。

また、冊子のように綴じないことで、増刷の際、必要なページだけを印刷することでコスト性に優れていたり、ページの内容や順序を状況にあわせてカスタムすることができるのが、このパンフレット(束)の特徴です。

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ちなみに、こちらのパンフレットは厚紙を束ねただけのシンプルな構造なのですが、留め具にふさわしいものがなかなか見つからず、グラフィックデザイナーの藤本健太郎さんと都内の文房具屋を何件もハシゴしたのは今では良い思い出です。

最終的に、留め具はコスト性にも優れていて、文房具店で容易に手に入りやすいことから、透明のシリコーンバンド(既製品)を採用しました。

以上、古谷野工務店のリブランディングプロジェクトに関して振り返りをしました。ロゴデザインや、Webサイトが完成したり、パンフレットが手元に届いた時に嬉しさを感じれることがこの仕事の魅力のひとつだと感じているのですが、古谷野工務店の魅力を周りに伝えていたら(私が知らないうちに)友人が自宅の設計を依頼していたことが一番の驚きであり、一番嬉しい出来事でした。

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株式会社マルチプルは、創造力で組織を活性化させる、ディレクションカンパニーです。Webディレクター・プランナーに関してTwitterで情報発信しています! 平藤篤|MULTiPLE Inc. @hey2gm




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