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偶然の出会いと必然の別れ

6部作 第2話

毎日 暑い中で 作業着を着て
頭にはタオルをハチマキにして
休憩時間には わざわざコンビニまで
車で下り

あれはまだ24の夏だった
多摩ニュータウン都市開発の頃 次から次へ建物が出来 永山から始まり、堀ノ内、南大沢、多摩センターと その中で建築業をやっていた時代

下っ端の(免許持ちでは)使いっ走り コンビニまで
皆の飲み物を買いに行く
現場内の自販機は 飽きていたから

カゴの中に人数分の飲み物を入れ
レジの列に並ぶ
自分の番 提示された金額を払い
飲み物が入った袋を受け取り
レジ前から離れる瞬間
僕の後ろに居た 女の子の可愛さに
釘付けになった

早く戻らないと 怒られる!
女の子を気にしつつ軽トラに乗り込み
現場へと戻った
仕事終わり 毎日行く そのコンビニ
昼間の女の子を思い出し
後輩に話した

翌日も、その翌日も 毎日コンビニまで
行くのは 日課だったけど
あの子には会えなかった
確か?私服の上にエプロンをしていた
この辺りも 随分と店が出来て
何屋なのやら その子が働く店など
全く解らなかった

あの人見た あの子が忘れられず
毎日、昼と夕方にはコンビニへ
通った  もしかしたら また
会えるかも!なんて期待しながら

昼食は現場で頼む弁当か、少し下の
ファミレスが多かった
ある日 良く考えたら コンビニの隣りは
ラーメン屋だった  
飯粒と麺類なら、断然 飯粒だが
たまには、と思い冷やし中華を
目的に入ってみた

そこそこ混んでいる店内
まぁ、これだけ周りが建築現場なら
当たり前の事だけどね
席に座ってメニューを見て 
この夏なのに冷やし中華じゃ無く
店の看板メニュー スタミナラーメンを
頼んだ 

無愛想な店主と奥様がいて
アルバイトの女の子が2人
エプロン姿で
あっ…………あの子だ!
なんて事はないコンビニの隣りに居た

それから毎日昼はラーメンだった
馬鹿なの?と自分でも思う程に
通い続けた!
ある日、夕方にコンビニへ寄ると
バイト帰りの あの子が居た
彼氏のバイクの後ろに乗っていた

まぁ、あれだけ可愛い子なら 彼氏が居て
当たり前だよね ……… 少し安室奈美恵に
似てたかな
それでも飽きずにラーメン屋に通って
徐々に顔見知りから始まり
ハチマキ兄ちゃんと呼ばれ
仲良くはなれた が 彼氏の居る子には
差程 興味はうすれていた

ある日の帰り、いつものコンビニで
またアルバイト帰りに会えた
少し話しをしていて 彼氏の話題に触れた
彼女の反応は 別れた と………
これってチャンス?え 偶然の産物
別れ際 またあしたね と

翌日も、ラーメン屋 いい加減 仲間達は
嫌がっていた 当たり前の事だけど
僕が好きになった女の子に会う為だけの
昼食に 数人巻き込んだのだから!
ただ、1人だけは毎日 一緒に来た
何故なら もう1人のバイトの女の子を
好きになったらしい

いつしか4人で 今度 遊園地デートしない?
って話しになり 本当によく出来た後輩だ!
奴の お陰様で トントン拍子に話しが進み
遊園地デートにこぎ着けた
女の子2人は地元の同級生で17歳
僕は24歳 後輩は19歳もうすぐ二十歳だが

会社から車を借りて 4人で遊園地へ
丸1日 楽しみ ジェットコースターの下
芝生の所で 彼女の膝枕で見上げてた空
喧しいジェットコースターの音
不思議な時間を過ごす中で
彼女の方から 先に切り出した
ね、付き合おうか!って
そう僕は毎回 自分から告白って無い
断られたら立ち直る気がしないから

遊園地デート以降 2人は付き合いだし
お互いの家や  もう1人のバイトの子が
一人暮らしだから集まったりと
だいたい彼女の家には 窓から入って
窓から出て行く 父親が とある国内アパレル
の経営者だったし 両親に会うのが
怖かった 馬鹿な間男みたいにみえただろう

よく4人でのデートが続いた
ラブホテルを探してアッチだコッチだ
そして知った
後輩には本目の彼女が居る事を!
黙っていて欲しい と言われたが
一応 自分の潔白は証明するのに
彼女には話した

やがて後輩の方は別れ 相手の子は
引っ越した  彼女との友達の縁も切り
正直、第三者から見ていて あの2人は
どっちも どっちだった ………
やがて後輩も職場を辞め地元へ帰った

そんな出会いから 付き合って
彼女が18歳になると 僕らは同棲を始めた
毎日が楽しく 毎日が大切な日々
買った車で ドライブが2人の趣味で
色々な場所によく行った ただ
どんなタレントより 女優より
可愛いと思う彼女  やがて
可愛いが故に 心配事も増し 
いつの間にか僕は束縛をしていた

彼女は車の免許を取り 今まで僕の横だったのが
今度は 僕が横に乗る事も しばしば
そして僕は勤め先を3回変わり
より稼ぐ仕事になり 彼女と付き合い出してから
4台乗り換えた  元々が車好きだったから
彼女の免許取得にも 練習で 空き地を使い
僕の車で練習させていた

彼女が19歳になる寸前に
腹痛が酷く 不正出血が続き
病院へ行ったら 子宮外妊娠だった
1日でも遅れていたら 体内出血が
酷く 生命を係わる所だった
そして病院で初めて お母様にお会いした
最悪のバッドタイミングで!

彼女はまともに子供も産めなくて
ごめんね と泣いていた
僕には 謝る必要は無いし
今現状こうなっている事は僕の責任で
ちゃんと結婚したら また違うよ と
その時は思った

色々と在った6年
仕事と車の改造ばかりで結婚の話しなんて
1度もしなかった ………
そう、話しを出さなかった 
長い付き合い 彼女よりも車に夢中だった
車仲間との時間も増えて

本来 自由奔放だった彼女は実家へ戻った
休みの日だけ一緒に過ごす様になり
その休みも徐々に回数が減り
遂に 別れ話しに 発展して
サヨナラを告げた彼女 
そして言われた私の青春を返して
最後に夜の首都高を自慢の車で
お気に入りの曲を流しながら
ナイトドライブをした

半年後 携帯携帯に彼女から
新しい彼氏が 観たいから貸して欲しいと
映画のビデオを貸す為に あのラーメン屋の
駐車場で待ち合わせた
アメリカンの流行りだったワゴンの助手席に
彼女の姿があった  釣り合いの取れている
2人に見えた

彼女は僕を見てビックリしていた
別れてから 日本1速い車に乗っていた僕
車の値段の3倍の改造費
後付けのデジタルメーターは309kmを
出す程  悪いなアメリカンのはやりワゴンの
兄ちゃん 少しだけ 勝った感は否めない

あの電話から3ヶ月
仕事をしている最中に あの彼女からの
電話が鳴った
泣きながら話すから 何を言っているのか
良く解らないが 彼氏の部屋へ予告無しで
行ったら部屋に入れてくれない らしい
ま、あんな流行りのワゴンで
チャラチャラした感じ 答えは解っていた

仕事から帰宅して 夜 僕の方から電話して
今度の日曜日 ドライブ行くか?と
彼女は また泣きながら 数えなれない
うんと言っていた
都内ならナビ無しでも 仕事柄 何処へでも
いける程に道を知っていた
彼女の家に迎えに行き  甲州街道から
都内をアチラ コチラと連れ回し
お台場で夕陽を見て 帰宅した

彼女の家の前  
楽しんだか?と聞いたら 
今にも泣きそうな顔で 楽しかったよ と
また何かあったら電話しろよ だけ残し
サンルーフは無いから
窓から手を出し バイバイと

あれ以来 連絡は無いし
会ってもいない 
あの後、もし やり直したい と
言われても断っただろう
何故なら 二度と彼女の事を
泣かせたくは無いから

        自慢のAE86の中で流れていた曲

                 皆様🤗こんばんは🌟
         フィクションとノンフィクション
             さて何処がフィクションやら

では良き夜を😌🍀
笑顔と感謝を忘れずに
誰しもが母親から産まれます
女性は偉大なんですよ✨

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