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創作

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#エッセイ

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コインランドリーに洗濯物を取りに行った。信号を渡ってランドリーの前に来たところで、前を歩いていた小学校低学年くらいの女の子が小銭をバラバラと落とした。俺は百円玉を一枚拾った。直接、彼女の手に渡そうと思ったが、彼女がビニール袋に小銭を入れながら拾い続けているので、俺もそこに入れた。「すみません」とたどたどしく申し訳なさそうな声で言われた。整然とはしていないアスファルトの凸凹に、まだ小銭があるような気

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「光」を書くときに考えたこと

習作を書くときに考えていたことシリーズ。2作目の「光」について。

まず、この書き出しについて。「告白」で何かを書くという課題が発表された直後くらいに、職場でこのセリフのようなやり取りがあった。言葉尻はもちろん違うが、絵の具と対比して照明は重ねるほど白くなるというやり取りは一緒。新人の子に教える先輩の言葉を聞いていた。これがすごくいいモチーフだから小説のネタになるなとその時は思って、とりあえず少し

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ドトール

ドトール

ドトール。注文をする女性。一度会計を済ませたが、ポイントカードを出し忘れたとかで、やり直しを求めている。カード決済なのでサインが必要になるなど、店員はややめんどくさそうだが女性は引き下がらない。手にはヴィトンのバッグがあった。

ドトールの地下階に席をとり、階段を上がってレジに向かう途中で、コーヒーを持ち階段を降りる老人とすれ違う。何か声をかけてもらっていたが、下を向いていたので気づくのが遅れ、割

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「オートファジー」を書くときに考えたこと

これからの創作の布石とするため、習作を書くときに何をどのように意図していたかをできる限り記録しておこうと思う。ということで、まずは1作目の「オートファジー」について。

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まず、「告白」か「運命」というタイトルで何かを書けという課題が出たときに、「告白」の方が書きにくそうだなと思い、それならば修行のためにそれを書こうと、「告白」を選んだ。

それで、何を書こうかと考えていたときに、頭の中にず

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