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EMDRが紹介されている本

「身体はトラウマを記録する」「真昼の悪魔」の2冊から、EMDRについて言及されていた箇所をまとめました。

EMDR=眼球運動によりPTSDを治療する方法で、最初見たときは怪しいし興味なかったのだけど、最近noteに記事を書くために再読した2冊(どちらもめっちゃ良い)の両方で紹介されていたため興味を持った。

眼球運動だけではなく、ヘッドホンの左右から音を流したり、手にセンサーをつけるなどの方法もあるらしい。


「身体はトラウマを記録する」

第15章(408〜433ページ)がEMDRについての章になっている。

p416
・EMDRは心/脳の中で何かを解きほぐすので、人は緩やかに結びついた過去の記憶とイメージに素早く接触できるようになる。

・人はトラウマについて話さなくても、トラウマから回復することができるのかもしれない。EMDRは、他者と言葉のやりとりをすることなしに、自分の経験を新たなかたちで観察することができるようにしてくれる。

・患者とセラピストの間に信頼関係がなくても、EMDRは手助けになりうる。

p413
マギーはEMDRのセッションをあと数回受けた。その間もグループにとどまったので、私たちは彼女の変わりぶりを目にすることができた。怒りはだいぶ治まったが、私が大好きだったあの冷ややかなユーモアのセンスは持ち続けた。数ヶ月後に彼女は、それまで惹きつけられていた人とはまったく別のタイプの男性と親密になった。

▶️ 国立精神保健所からの資金を得て、PTSD患者への治療実験が行われた(2007年)88人の参加者のうち、30人はEMDRを受け、28人はプロザックを、残りの30人には偽薬を与えた。

▶️ プロザックのグループは偽薬よりも成績が良かったが、その差はわずか。偽薬でもプラシーボによる効果が出るため、研究に参加しただけで30〜42%の改善が見られる。薬が効くと、さらに5〜15%追加される。

▶️ EMDRセッション8回で、4人に1人が完全に回復した。プロザックのグループで回復したのは10人に1人。

▶️ 8ヶ月後の参加者を診察したときには、EMDRを受けた人の6割が、評価得点が完全に回復を示していた。それとは対照的に、プロザックを服用した人は、飲むのをやめると再び症状が悪化した。

(ただし、児童虐待を受けたことのある患者の場合には、プロザックのほうが一貫した効果が認められ、EMDRへの反応は鈍いことが多かった)

p421
PTSDのある戦闘帰還兵にEMDRを使った最初の本格的な科学的研究では、EMDRは効果が非常に薄いと予想されていたために、バイオフィードバックを利用したリラクセーション・セラピーとの比較のための対照条件に含められていた。
ところが、EMDRの十二回のセッションのほうが、治療法として有効であることがわかって、研究者たちは仰天した。EMDRはそれ以来、退役軍人省の承認を得たPTSDの治療法の一つになっている。


「真昼の悪魔」

こちらは第3章のうち、237〜239ページに記載がある。

p238
精神分析のベテランであるデヴィッド・グランドは、現在彼の患者全員にEMDR療法をおこなっている。
「普通の治療では5年かかっても治せない患者を、EMDRは半年から1年で治すことができます。これはたとえ話ではありません。EMDRを用いる前と、実際に用い始めてからの私自身の治療成績を比べていっているのです。

EMDRは、認知療法や精神分析と違って、うつ病の本質に迫る治療法ではありません。一つの道具です。ですから、ただEMDRをおこなうだけではセラピストとはいえない。まず、優秀なセラピストになって、それからEMDRをどのように活用するか考えるべきです。

p237
 EMDRはうつ病の治療にも使われるようになってきた。もともとはトラウマの記憶から抜け出すための方法なので、原因のはっきりしないうつ病よりも、トラウマから始まったうつ病の治療に用いられることが多い。

はじめ、ちょっとおもしろいが、大した治療法ではないだろうと高をくくっていた私は、その結果に驚いた。「頭の回転を速くする」方法だと聞かされていたが、実際に体験すると、それだけではないことがわかった。

うつ病の原因が一つのトラウマだけではない場合にもEMDRがすぐに効果を発揮するかどうかはわからないが、私にはとても刺激的だったし、非常に興味深かったので、個人的に1コース20回の治療を続けることにした。


それぞれの本の記事はこちら↓


追記)
EMDRを開発者したフランシーン・シャピロ氏の本もあるようなので、こちらもそのうち読んでみたい。


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