可哀なアンジュ

僕は昨日、君が仕掛けた罠に

目的の悪魔ではなく天使がかかっているのを見たよ

お粗末な罠でもはまるものなのだね 

あぁ、哀れなと思って話かけたのさ

あの天使の声は水流みたいにさらさらしていた

どうしたのかと尋ねたら

罰を受けにきたと言われた

どうやら罠だと端から分かっていてかかった様だ

償えたかと聞いたら 分からないと

だろうな 僕はその場を去ったさ

結局あの天使は、罪悪感を少しでも払拭したくて

自ら罠にかかったに過ぎなかった 

なんともつまらない 陳腐だ 興もさめる

己の為だけの自傷行為

理解した途端、話しかけたのをまぁ後悔したさ

考えてみりゃ こんな罠にかかる奴だ

碌でもないに決まっていたんだよ

僕は、あの天使がいつまで粘るのか高みの見物さ

その気になりゃ羽でひとっ飛びだろうに

あれは救いの言葉待ちなのさ

他力本願の許しを待っている

何の苦労もせずぬるま湯に浸かり続けた可哀想な天使

其奴の成れの果て

そう言えば、あの天使片目が木造だったな

あれも何かの戒めなのだろうかね

今となっては知った事じゃないが

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