『私と彼の痛みと言い訳』エピソード2
「これ僕の連絡先です」
そう言って彼は私に一枚の紙を渡した。
ただ、私はまだ数秒前に彼の口から発せられた言葉を処理しきれずにいた。
「もう聞かれてると思うんですけど」と彼は言いにくそうに言ったけど、私には全く身に覚えがなかった。
その後、彼が言った「好き」という言葉も自分に向けられた言葉じゃないように感じていた。
「返事はいつでもいいです」
「誰かから聞く言葉じゃなくて、自分自身の言葉で直接気持ちを伝えたくて」
そう言って彼は自分の部署に戻って行った。
かろうじて、その言葉に