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句読点

数年振りに学生時代ずっと片思いしていた先輩に再会した。
ずっと、本当に小さな小さな繋がりだけが残っていたような状態で、淡い期待のようなものはあったんだけど。
別にまた会って何かしたいとか付き合いたいとかはなくて、ただもう一度だけ会いたいという気持ちだけは自分の中にずっとあったんだと思う。
僕は顔を見た瞬間に先輩だと気づいた。
でも先輩はどうなんだろうって不安があって、僕のことなんてもう忘れてるんじゃないのかって。
当たり障りのない会話があって、少しして先輩が「同じ部活でしたよね?」と言ってくれた。
あぁ、覚えててくれたんだって素直に嬉しかった。
あの日々にはもう戻れないけど、すごく懐かしく感じた。
ずっとずっと好きだった人だから。
そんな人と何年も経ってまた顔を見て話が出来たことが幸せだった。
先輩はやっぱり綺麗で可愛かった。
でも、お互いに敬語だった。
どこか埋まらない溝があった。
時間が経ち過ぎたんだって思った。
学生時代の子どもの恋だったけど、あの頃の自分は真剣だった。
友情と恋愛の狭間で揺れて。
小さなことで不安になって、嬉しくもなって。
結局あの時の僕は友情を選んだんだけど、今まで別にそれを後悔したこともない。
先輩は卒業して地元を離れたから、もう会えないだろうって思ってた。
僕も卒業して地元を離れた。
どういう経緯だったのかは覚えてないけれど、暫くして突然先輩から連絡があった。
誰かから僕の連絡先を聞いたみたいで、もう会えないと思っていた先輩との間にまた少しだけ接点が出来たことがすごく嬉しかったのを覚えている。
それから僕たちはほぼ毎日メールや電話をしていた。
バイトの話や大学の話、お互いの恋愛観の話もした。
すごくすごく幸せだった。
でもそれから色々あって、だんだんと連絡も少なくなっていった。
そして、いつの間にか全く連絡を取らなくなった。
いつの間にか僕の中で先輩の存在が小さくなっていたのかもしれない。
でも無くなったと感じたことはなかった。
多分きっと、それは自分にとっての初恋だったから。
だから、これからもこの感情は残っていくんだと思う。
大切にしていたいと思う。
時間が経って会えたことも、話せたことも、いい思い出になってくれると思う。
失恋にも似た感情を抱えていたあの頃の自分に数年後また先輩に会えるよって教えてあげたい。
きっとすごく喜ぶだろうなって思う。
だから大丈夫だよって、言ってあげたい。

やっと区切りがついたような気もする。
本当は卒業して会えなくなった時に区切りはついていたんだろうけど。
でも、会えて本当に良かった。
多分きっと、もう会うことはないと思う。
先輩、お互いに幸せになりましょうね。
あなたを好きになって本当に良かった。

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