言語化するときは、まず「主語」を決めよう:会話のデザイン
社会人になりたての頃、よく考えていたことがあります。
「こういう意思決定をすべきだと思う。でも、理由はうまく言えない…。
ただ直感は正しいんだよ。だって、直感は経験の積み重ねで生まれるものだから」
自分が感じた違和感、直感。これらはきっと、おおよそ正しい。今でもそう思っています。
でも、仕事はチームのみんなと一緒に進めるもの。その根拠や妥当性を、個人の感覚に閉じてしまうとチームの納得感は得られません。
それどころか、後から振り返ったときに「どうしてああいう決定をしたんだっけ?」と考えると、根拠がよく分からず学びが得られなくなってしまいます。
当時、僕がすべきだったのは、「直感には妥当性があるんだよ」と訴えることではなく「その直感を言語化すること」でした。
言語化のスキルは、つまり相手に正しく理解してもらう技術なのです。
言語化の鍵は「主語」を決めること
とはいえ、言語化すると言ってもなかなか難しいもの。スキルを学ぶには、明確に意識すべきコツがあります。
【言語化のプロセス】
感じたこと(感覚)→言葉にする(形式知化)
言語化に失敗するということは、この感覚から言葉への「翻訳」に躓いてしまうからです。逆に言えば、その翻訳作業が質高くスムーズに行えれば、どういう出来事についても言語化できるようになるはず。
主語を決めるということは、すなわち着眼点を決めるということ。
「デザイン案、何となくイケてないと思うので修正をお願いします」
→「デザイン案、色使いが独特に見えるので修正をお願いします」
とするとどうでしょうか。はじめて理解できる内容になります。
「ぼくは、あなたと気が合わないと思うんです」
→「ぼくとあなたの関係性が、どこか噛み合っていないように思います」
常にそうとは限りませんが、主語を人間から物事に変えてみると、途端に言語化できる場合が多いと思います。
では、主語とする物事をどう選ぶか。細かく書きませんが、物事の「構造」「経緯」に着目すると、意外とシンプルに見つかります。
どんなときも言語化を諦めずに
言語化が疎かになると、誰もあなたの考えを理解してくれません。
自分の意見をしっかり伝えるスキルを持つことは、相手に想いを伝える手段を確保するということ。同時に、相手に理解してもらう難易度を下げることでもあります。
「先月の営業目標を下回っているね。足で稼ぐか?」
「(なんだかモヤっとする…なんて言ったらいいか…)」
これが積み重なると、言うタイミングを逃してしまい、結局相手に考えを伝えられないまま。どんどん精神的に萎縮してしまう。
「先月の営業目標を下回っているね。足で稼ぐか?」
「今月の数字は大幅に伸びる見込みで、先月分を回収できる見込みです」
「なるほど、先月分が今月分に寄ったのかもしれないね」
このように的確に描写できれば、スムーズに目線合わせができます。
あなたが思っているよりも、周囲の人はあなたの考えていることを知りません。お互いに分かっている気でいるけれど、思っているより通じていません。
だからこそ、言語化スキルを身につけて気軽に思いを伝えられるようにすること。より齟齬なく伝えられるようにすること。この社会で”サバイバルする”ための基礎教養です。
自分の考えを適切に伝える武器を磨きましょう。
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