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本気で理解してもらいたいなら「結論」ではなく「大局」から話す:会話のデザイン

こんにちは。JX通信社で仕事をする細野です。普段はCXOとして、人の認知と行動に着目しながら仕事をしています。

最近は、社内での気づきをベースに働き方に関するnoteを連日書いています。

今回のテーマは「大局から伝える」。人に理解してもらうときのコツを1つだけ挙げるなら、僕は真っ先にこれを選びます。

何かを説明するときの目的は、うまく理解してもらうこと。まず大局的な理解を得ることは、チームや顧客と話すときに理解度を高める重要な技術。

どのように伝えればうまく伝わるのか。セールスに限らず人事やエンジニアなど、苦労した経験がある人にぜひ読んでもらえたら嬉しいです。

「結論から話す」は万能ではない

よく言う「結論から話しましょう」は、常に機能するわけではありません。決して万能ではない。

結論から話すのに適しているのは、報告と連絡だけ。なぜなら、伝える内容がシンプルだからです。一言伝えるだけで「だいたい理解できた!」状態を実現できるため。

問題なのは、クライアントへの提案やプレゼン、プロジェクトの引き継ぎなどの理解コストが高い場合です。

【理解コストが高いパターン】
前提知識のすり合わせが十分でない場合
背景の認識が一致しない場合
文脈の認識合わせが十分でない場合
理解コストが高いものを説明する場合

こういった場合に内容を理解してもらうには、まず最初に「なんとなく」大局的に理解してもらう工夫が大事です。

具体例を交えて考えてみます。

「新宿駅に行くにはどうしたら?」への答え方

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もし、道端で新宿駅の行き方を聞かれたらどう答えますか?

「あの交差点を右折して、そのあと2つ目の交差点を左折し、交番が見えたところで右折してください。しばらく歩くとたどり着けると思います。」

確かに正しいルートですが、これは分かりやすいでしょうか。僕なら覚えていられないし、理解しにくいと感じてしまいます。

こんな時こそ、大局的に理解できる情報をまず提示すべき

「ざっくり言うと、あちらの方向です(指を指す)。ここから歩いて5分くらいで着きます。」
「あの高島屋が見えますか。一旦そこまで歩いてください。そこに行けば、駅が見えると思います。」

このように大局から入り、具体的な情報へと収斂させていく。理解を促すときは、人の認知を構成するように話すのがコツです。

そのほかにも、図書館で本を探す子どもに探し方を教えてあげるときは、

「図書館の棚は、本の分野に合わせて分かれているよ。で、探している本の分野はなに?」

と、まず外形と構造の話から伝えるとあとはスムーズ。整頓ルールが分かると、あとから独力で探すことにも役立ちます。

部下をプロジェクトへアサインするときは

「結論から言うと、今はこの機能開発に注力しています。人手が足りないので手伝ってもらうことにしました。」

と伝えてもあまり納得感が得られないので、

「このプロジェクトはユーザの満足度を向上することを目標に半年前に立ち上がり、道半ばの状態です。開発に人が足りなくなってきて白羽の矢を立てました。」

と、背景ストーリーを重点的に伝えると大局的に掴めます。アサインされた本人も動きやすいでしょう。

大局から入り、あとから具体化する

「結論から話す」論でよく勘違いされるのは、始点⇆終点の終点から話せばいいのでしょう? ということ。

ただ、理解を得てもらいつつ行動してもらうには、大局⇆具体の観点にこそ着目しなければいけません。

深く正しく理解してもらうこと。納得してもらうこと。それが適切な行動へと導きます。

本気で理解してもらいたいなら、まず「なんとなく理解した」状態をいち早く構築するのが大事だと思います。

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