腰部・骨盤帯 第8回 《体幹トレーニング①》
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腰痛になりにくい身体とは、腰部の固定性がある身体だということを、第1回で述べました。
本日は、腰部の固定性がある身体づくりについてお話します。
トレーニング方法を話す前に、筋力強化について少しお話します。
トレーニング開始後の1~4週目は、筋力増強は神経性因子に起因し、6週目以降では筋性因子(筋肥大)に依存する。そして、8週目以降では神経性因子での筋力増強は望めない。
次に、筋持久力強化について
筋に過負荷を与えると、筋線維は肥大しながら、しだいに遅筋化します。
体幹筋などでは筋力とともに持久性が重要なことは、第1回でも述べています。
まとめるとトレーニング開始後、1~4週目は体幹筋のモーターコントロール(運動学習)に比重を置き、4週目以降では過負荷を与えて鍛えていくべきです。
では、まず体幹トレーニングの基礎であるDraw-inから
Draw-inが適切にできるまで、体幹トレーニングの難易度を上げるべきではありません。そのため丁寧に評価・指導すべきです。
超音波エコーで腹横筋の動きを評価できば一番良いですが、ない場合は、呼気に伴って臍が引けるかを必ず確認しましょう。吸気を伴って、Draw-inを行うと代償が生じます。
動きが適切であれば、臍を引ききる前に、臍から8cm(拳一個分)横の腹部を引き込むことで、さらに強力な腹横筋の収縮が得られますので、チャレンジしてみてください。
Draw-inのポイントは『呼気に伴って臍を引き込む』ということです。高齢者や肥満の患者さんでは、臍が引けても数mm程度ですので、注意深く動きを観察しましょう。
数mmでも動きがでていれば、オッケーです。代償が伴わないように、少しづつトレーニングをすすめ、臍を引き込める距離を伸ばしていきましょう。
次に、胸式呼吸にてDraw-inをキープしてみましょう。最初は吸気に伴い腹横筋の収縮が抜けやすいので、抜けたら再度、呼気に合わせてDraw-inをしましょう。
体幹トレーニングの目的は、腰部の固定性を上げることです。その役割は主に下腹部筋が担っています。
そのため、本日からお話する体幹トレーニングとは、『腹横筋を中心とした下腹部筋の筋力強化』のことを示しています。
下腹部筋の作用は骨盤の後傾であるため、Draw-inと一緒に、骨盤の後傾運動ができるかも確認しておきましょう。
できなければ、『急所をご自身の顎に近づけるように骨盤を動かしてください』というキューをだしながら運動学習を促しましょう。
『腹横筋によるDraw-in』と『下腹部筋による骨盤後傾運動』は体幹トレーニングの基礎となります。
必ず評価し、適切にできるまでは、難易度を上げないようにしましょう。
高齢者や運動歴が乏しい方には中々、難しい運動ですが、根気よく丁寧に指導すれば学習できる動きですので、指導者側の腕が試されます。
臨床では体幹トレーニングを80代の高齢者にも実施しており、実際に行うことができていますので、患者さんの秘めたパフォーマンスを信じて訓練をすすめていきます。
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