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今からできる”転倒予防”       ~はじめよう!転ばない体づくり!~

みなさんこんにちは!
今回は”転倒予防”をテーマに記事を書いていこうと思います!

転倒とは?

転倒
歩行や動作時に、意図せずつまずいたり、滑ったりして、床・地面もしくはそれより低い位置にお尻などの身体の一部をついたすべての場合。ケガの有無とは関係ない。

大高 2006年

みなさんは今までに転んだことはありますでしょうか?

おそらく小さい頃は、誰しも一度は転んだ経験があると思います。

ただ、ヒトは成長するにつれて転ぶ回数が減り、大人になるとほとんど転ぶことはなくなります。

しかし、年を重ねて高齢となってくると、加齢性におこる身体の変化によりヒトはまた転びやすい体へと変化していきます。

そして、この”転倒”は時に重大なけがや死亡リスクになることが報告されています。

以下に、65歳以上の高齢者における「転倒・転落・墜落」による年間死亡人数の推移を示しています。

このグラフを見てみると「転倒・転落・墜落」による死亡者はこれまで、減少してきているのではなく、むしろ平成26年と比較して令和2年では増加していることがわかります。

この要因としては、我が国の高齢化や生活様式の変化が影響していることが考えられます。

そして、現在社会問題となっている要介護高齢者の増加に対しても、転倒は大きく影響していると言われています。

令和元年の「国民生活基礎調査」によると、介護が必要となった要因の割合で、「骨折・転倒」は加齢による衰弱に次いで第4位にあたるようです。

要介護高齢者の約1割以上は、病気ではなく、転倒などを起因に要介護状態になってしまっているのです。

これらの、社会統計からもわかるように、高齢者の転倒は現代社会における、死活問題であり、”転倒予防”は我々リハビリテーションに携わる者における早急な課題であると捉えられております。

そして、転倒予防はその後に続発する、転倒⇒臥床⇒身体機能の低下⇒活動範囲の狭小化⇒身体虚弱といった負の連鎖(転倒ドミノ)を阻止するために、有効な一手となると考えます!

では、ここからは転倒予防に向けて取り組むべきことについてまとめていきたいと思います。

”転倒予防”のために気を付けること

まず、一般的にはどんな人が転びやすいと言われているのかについて考えてみましょう。

地域高齢者の転倒リスクに関して、これまで報告されてきた論文をまとめたレビューを見てみますと、転倒のリスクとしては①過去の転倒歴、②バランス障害、③筋力低下、④視力低下、⑤多剤服用、⑥歩行障害、⑦うつ、⑧めまい、⑨機能的制限、年齢80歳以上であることが挙げられるようです。

下の図には、オッズ比 (因子を有さない人に比べて何倍のリスクを有するか)が、最大2.5倍以上の因子にマーカーを引いております。

こちらを見てみますと、身体機能的な要因でいうと、バランス機能や筋力、歩行障害などが影響していることがわかります。

次に、具体的に各種身体機能の評価方法とセルフエクササイズについてまとめていきます。

評価方法+セルフエクササイズ

まず、各種評価を行う前に以下の点に留意しましょう

①健康状態が良好である
②検査を手伝ってくれる介助者がいる

上記条件が揃ったら以下の物を用意して評価をしてみましょう
①ストップウォッチ
②肘掛け付きの椅子(座面の高さ40-50cm程度)

バランス機能 評価

バランス機能は「片足立ち」で評価してみましょう。
評価手順
①手すりにつかまって、片脚を上げます。
②体の揺れが安定したら手すりから手を離します。
③手すりから手を離していられた時間を計ります。

結果:20秒未満であった場合はバランス機能の低下が疑われます

セルフエクササイズ

踵上げ+つま先上げ
①立った状態で踵とつま先を交互に持ち上げます
②それぞれ10回ずつ上げ下げを繰り返してみましょう!


筋力 評価

筋力評価は「5回立ち上がりテスト」で評価してみましょう。
評価手順
①椅子に座って体の前で手を組みます
②椅子から立ち上がって座るをできるだけ早く5回繰り返します。
③5回立ち上がるまでにかかった時間を計りましょう

結果:15秒以上かかる場合は脚の筋力の低下が疑われます。

セルフエクササイズ

立ち上がり訓練
①運動方法は上記のテスト方法と同様です
②椅子に座った状態から反動をつけずに立ち上がります
③座るときはゆっくり座ります
④立ち座り運動を合計10回繰り返してみましょう。
*もし、立ち上がるのが大変な時は”膝に手をつきながら”、”手すりにつかまりながら” でも大丈夫です!


歩行障害 評価

歩行評価は「10m歩行評価」で評価しましょう。
評価手順
①両端に3mの助走路・減速路を含めた16mの歩行路を用意します
②いつも歩いている速さで歩行路を歩きます
③10m間を歩くのにかかった時間を計ります

結果:10秒以上かかる場合は歩行速度の低下が疑われます。

セルフエクササイズ

大股歩き
①いつもよりも少し大股で歩いてみます
②最初はゆっくり歩いて、慣れてきたらだんだん速度を上げてみましょう!



また、転倒予防には俊敏性を高めておくことはとても重要となります。
もしバランスを崩したとき、素早く足を踏み出すことができるかどうかが、転倒を予防するためのカギになるのです。
ですので上記に合わせて俊敏性の評価もしてみましょう!

俊敏性 評価

俊敏性の評価は座位「ステッピングテスト」で評価をしましょう!
評価手順
①椅子に座って椅子の中央を中心にして、30㎝幅にラインを引きます。
②足を閉じた状態からスタートして、ラインまたぐように足の開閉を繰り返します。
③足を20秒間の間に内側に閉じた回数を数えます

注意:ラインを踏んだ場合は回数に数えません。

結果:25回以下であった場合は俊敏性の低下が疑われます。

セルフエクササイズ

サイドステッピング運動
①足を閉じた状態から、片方の脚を横に広げます。
②広げた足を閉じて再度足を揃えます
③左右10回ずつ運動を繰り返しましょう

股関節外転運動
①何かに掴まりながら片脚を横に持ち上げます
②この際、つま先はなるべく前を向けた状態で上げましょう
③運動は各10回程度行いましょう

*バランス感覚に自信がない方は手すりにいつでも掴まれる位置で行いましょう!


以上が転倒予防のために必要な、自己評価とセルフエクササイズに関してでした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
また、次回もよろしくお願い致します!!

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