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スポーツに言語はない

先日タイに旅行に行ったときのこと。

私は事前に家族で楽しめそうなところを
ピックアップしており、
いつどこを回るという大まかなスケジュールを
立てていた。

だが、妻が初めての東南アジアに色々と
不安を感じたらしく、
結局そのスケジュールが大幅に変わることになった。

こればかりは仕方がない。

私の感覚を家族に押し付けるわけにはいかないので
私は改定されたスケジュールを考え、
とある公園に行くことにした。

バンコク市内にあるルンピニー公園という
大きな公園である。

「なぜ旅行に行ってまで公園?」と
思われるかもしれないが、
この公園では野生のミズオオトカゲを見ることが
できることで有名なのだ。

正直、私がマレーシアに住んでいた頃には
野生のオオトカゲが当たり前のように
道に出てきていたので
私自身それほど見たかったわけではないのだが、
息子は数年前、爬虫類に大ハマリした時期があり、
その頃にオオトカゲにずっと憧れていた。

いまでも興味がないわけではないというので
遊具もある公園なら娘も満足するだろうと思い
この公園を訪れることにしたのだ。

実際訪れてみると、入り口から非常に広く
開放的な空間が広がっていた。

バンコク市内は大都会なので
気候こそ東南アジア感はあるものの、
何だか物足りなさを感じていた私にとっても
いかにも東南アジアな感じの植物が並ぶ
公園の景色には何だかホッとするものがあった。

しばらく公園の中を歩くと、
遊具のコーナーを見つけて走り出す娘。

先ほどまで暑くて歩くのが嫌だと言っていたのが
嘘のように、遊具に向かって走る。

まさに水を得た魚とはこのことをいうのだろう。

早速色んな遊具で思いのままに遊びだす娘。

そして、しばらくブランコで遊んでいると
ブランコの横に設置されたバスケットコートで
3on3をしていた年配のおじさんが
私たちのもとに歩いてきた。

そのおじさんはバスケット選手がよくやるように
人差し指の上でバスケットボールをクルクルと回し
娘に見せてくれた。

笑顔を向ける娘。

すると、そのおじさんは「Let's go」と言い、
私達をバスケットコートに誘ったのだ。

一体何をするのかと思いながらも
私と娘は二人で付いていくと、
おじさんは娘にバスケットボールを教えてくれる
つもりだったらしい。

英語でおじさんが娘に言う指示を
私が日本語にして娘に伝え、
突然練習が始まった。

初めて触るバスケットボールを拙いながらも
一生懸命に取り扱おうとする娘。

その日はナイトフライトで帰国する予定日だったので
タイムリミットがほどなくしてやってきた。

「It's time to leave. Thank you for great time!」と
おじさんに告げ、
娘と私はその場を後にした。

すると、その直後には偶然通りかかった欧米系の
若者3人がそのおじさんを含めた3人と
3on3をし始めた。

その様子を見て、改めてスポーツは
国境も言語の違いもないものなのだと
感じさせられた。

娘にとって初めて訪れた外国タイで
全く見ず知らずのおじさんに
バスケットボールを教えてもらったことは
きっといい思い出になったことだろう。

それができたのはやはりスポーツという
共通言語があったからである。

使う言葉は違えど、体を動かすということには
言語などない。

今回の旅で言語の大切さと同じぐらい
私が子供たちに知ってほしかったことは
伝えたい気持ちがあれば言語が異なっても
相手に伝えることはできるということである。

そして、その形の一つが体を動かすということ。

特に予期していたわけではないが
娘はその機会を得て、学んでくれたに違いない。

子供は自ら教えなくても勝手に学んでくれるものだが、
その環境を与えてやるのは親にできる唯一の仕事である。

自分たちが作った機会が彼らの学びになったなら
払ったコストは決して高くないなと思った
タイでの思い出であった。

ちなみにこの機会に私は子供たちに
自分が小学校の頃にバスケットボールを
習っていたことを明かしてしまった。

別に隠していたわけではないが、
思わずそれを知った子供たちは
あれ以降私にバスケットボールを教えろと
何度も言ってくるようになった。

久々にやって体が動くものか
非常に心配ではあるが、
早速今日バスケットボールを買いに行こうと思う。

きっと店員さんには”スラムダンクかぶれ”と
思われるだろう。

しかし、子供たちがバスケットボールに
dan dan心惹かれていくのを止めることは
私にはできない。

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