嫌な言葉”思考停止”

私はもう3年ほどX(旧Twitter)をしている。

やり始めた頃はインフルエンサー全盛期。
毎日色んな人の投稿に100以上もの返信を書き、
一日5ツイート以上するのをずっと続けたが
思うようにフォロワー数が伸びずに悩んだりもした。

だが、今では朝と昼に一度確認するぐらいで
基本的には1日1ツイートをするのみ。

親しくさせて頂いている方の投稿を確認して
自分が返信したいと思ったものだけに
返信をするようなスタイルになった。

一日忙しい日には自分の投稿だけして
全く一日中触れない日もあるほどである。

そんなTwitterでよく出てくるある言葉がある。
それが”思考停止”である。

この言葉は
「○○を選ぶとき、思考停止でAと選んでいないだろうか」
「思考停止で皆と同じ答えを選ぶな」
このような使われ方をすることが多く、
思考停止することはとても悪いことのような
ニュアンスが漂っている。

だが、私はこの言葉がとても嫌いである。

なぜなら私達人間はいかなる時も
思考など止めていないからである。

思考が止まっているように見えるのは
単に習慣に従っているだけなのだ。

私達は毎日何かを選び、生活をしているが
その8割以上は習慣で構成されていると言われている。

習慣とは何かというと、
同じパターンなら同じ選択を無条件に
するといういわばリピート機能のようなもの。

これを使うことで私たちの脳は
選択するということに使うエネルギーを
温存しながら生活しているのだ。

旅行に行くと特に何もしていなくても
妙に疲れることがあるが、
これはいつもと違う環境に身を置くことで
いつもの習慣が使えない時間が
明らかに長くなるからである。

習慣が使えないとなれば、嫌でも自分で考えて
選択をしないといけないので
旅行の時には移動しかしていなくても
妙に疲れてしまうのである。

なぜだか通勤電車で同じ車両の
同じ席に座りたくなるのは
席を選択するということにエネルギーを
極力使いたくないという脳からの
指令に基づくものなのだ。

そして、Twitterでよく言われる「思考停止」は
何かをする際に習慣に従うのではなく
思考して選択せよということを
指している。

私はこの考え自体は決して否定していない。
むしろ、旅に出た時のように習慣にないことをすることで
これまでの習慣を見直してみることは
常にすべきだと思っている。

だが、「思考停止」という言葉に
とても違和感というか嫌悪感を持ってしまうのである。

Twitter上ではひどい場合、「思考停止」ではなく
「脳死」などと書く人もいる。

全く脳を使わずに選択しているように見えるので
「脳死」などと表現しているのであろうが、
このような発信こそが、それを読む人の気持ちを
1mmも想像することができないのではないかと
私は思ってしまう。

習慣に従って生きているからといって
私たちの脳は止まるわけでもなければ
思考していないわけではない。

少なくとも習慣に基づいて問題ないかを
脳は判断しているからこそ
習慣を使って動いているのだ。

人はボーッとしている時のほうが
脳が活発に動くということを聞いたことが
ある人も多いと思うが、
私たちの脳は私たち自身が認知している
動きとは異なるタイミングで動作している。

ある意味習慣に従い、その動作に
脳のエネルギーを使わないということは
別のことを考えるためにエネルギーを使っているとも
言えるのではないだろうか。

アイデアは散歩している時や風呂に入っているときに
浮かびやすいと一般的に言われるが、
これもまさに習慣化された動作を行い、
血行が促進された状態になることで
脳が思考しているからにほかならない。

ではなぜTwitterの中の人はこのような
思考停止という言葉を好んで使いたがるのか。

それは自分が思考をしている人で
一見して思考していない人に向けて
発信をすることで優越感を得ることができるからである。

だが、何度もいうように
一見して思考していないときこそ
人の脳は働いているものなのである。

自分の優越感を得るために多用される
この”思考停止”という言葉に対して
私は何とも言えない嫌悪感を持ってしまう。

今朝起きて記事を書く前にXを開いて
この言葉に出会ってしまった私は
思わず書こうと思っていた内容を急遽変えて
この言葉について書くことにしてしまった。

習慣に従って記事を書いている私だが
決して思考停止などしていないだろうと、
私にこの記事を書くきっかけをくれた方に
伝えたいぐらいである。

ちなみにこの記事を書き終わって
推敲をしてみたのだが、
ほぼ感情に任せて書いてしまったためか
何となく愚痴めいた感じを受けた。

この記事が読み手の方にとって
どのように映るかを想像できていない
記事になっているのかもしれない。

そういう私はある意味思考停止していたのだろうか。

そんはなずはないさ。
それはわかってる。