見出し画像

毎日ピアノに向かう娘を見て思ったこと

夕食を食べ終わった後に
リビングに鳴り響くピアノの音。

弾いているのは娘だ。

年中になってから保育園で
ピアニカを習っているらしく、
家でも毎日欠かさず練習する。

まだ始めて4か月ほどなのに
多くの曲を何も見ずに正確に
弾けるのはわが娘ながらすごい。

こんな娘は以前ピアノを習っていた。
家で個人でされているピアノ教室である。

毎週水曜日の夕方から約30分のレッスン。

家から少し離れた場所なので
妻か私のどちらかが車で連れて行くのだが、
レッスンに全然集中せずに
好きな事ばかりする娘と、
それを何とか興味を持たせようと
色々工夫してくださる先生を見るのが
とても苦痛で毎回妻とどちらが行くかを
話し合ったほどだった。

その先生はベテランの方で
「最初はこんなものですよ」
などと言ってくださっていたのだが
始めて6か月がたってもあまり状況は
改善しなかった。

毎週家でする宿題が出されるのだが
全くピアノに座ろうとしないし、
私たちがピアノを触り始めると
一瞬興味を示すぐらいで、
すぐに興味を無くしてしまう。

そんなある時、娘と話をしているときに
「ピアノ教室楽しい?」
と聞いてみると、
「ピアノ教室は楽しくないし、行きたくない」
とハッキリ答えたのだ。

このことを妻に伝え、
別の機会に妻からも聞いてみると
答えは同じだったという。

本人が行きたくないというものを
無理やり行かせるわけにはいかないので
娘はピアノ教室を止めることにした。

そんなことがあったので、
娘がこうして毎日自らの意思で
ピアノを弾いているのが
妻や私にとってはなんとなく
不思議であった。

では、ピアノ教室と保育園では
何が違うのだろうか。

それは保育園で演奏するのが
ピアニカなので、皆と合わせる必要が
あるということではないだろうか。

合奏をするとテンポが遅れたり
音階を外したのがすぐにわかってしまう。

娘の通う保育園は年中と年長が
一つのクラスとして一緒に過ごすので
ピアニカの練習も一緒にするのだが、
既に1年間練習してきた先輩と
同じペースで演奏するのは彼らにとって
相当な難易度であろう。

しかし、ピタっと綺麗に合奏が
決まれば子供たちも気持ちいいに違いない。

なので、子供たちの中でしっかりと
合奏を合わせるという明確な目標が
生まれるのであろう。

目標を明確にするということは
自分に足りないものを
明確にすることでもある。

そして足りないものが明確だと
それを補うためにすべきことも
明確になるのだ。

ピアノ教室に通っているときは
自分がどうなりたいのかという
目標がなかったので、
レッスンも楽しくなかったし
宿題もしようという気になれなかったのだ。

しかし、皆と綺麗に合奏を合わせたいいう
明確な目標ができた娘は自らの意思で
ピアノの前に座り、何度も鍵盤を叩き続けている。

この違いは大きなものである。

私たちは親として子供たちに
何かをしてほしいと思うことが
色々あるものである。

何も言わなくても勉強をしてほしいし、
何も言わなくてもゲームや動画閲覧を
止めてほしいと思ってしまう。

しかし、これをするためには
子供たちにもちゃんと目標を
見つけさせてやることが
大切なのではないだろうか。

むしろ、私たちがすべきことは
まさにここに尽きる。

一生懸命勉強を子供に教えても
子供自身に目標がなければ
決して集中することはないだろう。

勉強を楽しむというのも一つの
方法論ではあるが、
いくら楽しむ方法を活用しても
ゲームと同じレベルまで楽しむことは
現実的には難しいものである。

子供に何かをしてほしいならば、
子供に明確な目標を自ら描かせることが
何よりも必要なことなのである。

残念ながら親ができることは
それを続けた結果、どのようになるのか
どんな未来が待ち受けているのかを
教えてやり、見せる機会を作るしかない。

毎日ピアノを弾き、
めきめきと上達していく娘から
私たちが子供たちにできることを
考えさせられたエピソードであった。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?