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私は音楽に何を求めていたのか

昨日仕事帰りに久々に音楽を聴いた。

私はいつもカバンにはMP3プレーヤーを
忍ばせているのだが、
これがなかなかに古いもので、かれこれ10年ほど前に
購入したSONYのウォークマンである。

10年も経つと、何か不具合が出るかと思っていたが
電池の持ちが悪いぐらいで
大した不具合もなく元気に稼働してくれている。
(昔よく言われたSONYタイマーは嘘らしい)

しかし、ここ数年は聞きたい音楽があれば
YouTubeで調べて聞けてしまうので
このウォークマンの活躍の機会はどんどん減り、
私のカバンの奥底に眠っていた。

昨日の仕事帰りもいつもと同じように
バスの中でSNSの対応をしようと思っていたのだが、
私の座る席の後ろに座った親子の
子供がやたらと話すタイプらしく、
それが聞こえてきて全然集中できなかった。

これはどうにも埒が明かないということで
私は久々にウォークマンの電源を入れ、
イヤホンから音楽を流すことで
紛らわせようとした。

しばらくするとその親子は降りて
車内は静かになったのだが、
せっかく久々に電源を入れたので
そのまま聞き続けることにした。

当然ながらこのウォークマンは
オンライン対応ではないので、
私が過去に入れた曲しか聞けないのだが、
何となく久々に聞きたいと思い
テイラースイフトのアルバムをかけることにした。

流れてくる懐かしい曲たち。

私は子供の頃から洋楽というものに
驚くほど興味を惹かれない人だった。

中学生ぐらいになると男子の中で
一定数は「オレ、洋楽しか聞かん」というような
ことを言うヤツがいるものだが、
日本人なのに日本語の曲を聞かずに
カッコつけるために英語の曲を聞くなんて、
どうかしていると当時の私は思っていた。

今でこそ海外と仕事をして
英語を日常的に使わねばならない環境にいるが
当時の私は海外の「か」の字もわからないほど
外国に興味がなかったのである。

ところが、そんな私も大人になり
今の仕事に就いてから自分の英語力を
何とか伸ばさねばならないと思うようになった。

そして、色んな学習をする中で
英語が流ちょうな上司から昔から洋楽を
ずっと聞いていた話を聞いたのをキッカケに
生活の中に洋楽を取り入れることにした。

ところが、いかんせん洋楽に興味がなかった私は
何を聞いたらいいのかわからない。

そんなときによく街中で流れていた
Shake it offをうたっているテイラースイフトなら
聞きやすいのではないかと思い、
TSUTAYAにCDを借りに行った。

そうして私は時々ながら、テイラースイフトを聞き
それをきっかけに色んな洋楽アーティストの曲を
聞くようになった。

しかし、もともとの目的であった英語力の向上には
残念ながら洋楽を聞くことはあまり役立たなかった。

なぜなら、曲を聞いていても
歌詞が全く聞き取れなかったからである。

アコースティックサウンドの曲や
カントリー調の曲ならば、テンポも比較的遅く
伴奏の音も穏やかなのである程度は聞き取れるのだが
メロディアスな曲やスピーディーな曲となると
全く何を言っているのか聞き取れない。

歌詞を見ながら聞いていても
すぐに目線と歌詞がズレてしまうありさまであった。

後から知ったのだが、
テイラースイフトは元々カントリーを主に歌う歌手だったので
比較的歌詞が聞き取りやすい曲が多いのだが
私が当時借りたのは彼女がカントリーテイストを
手放した頃のものだったので、
リズミカルで聞きなじみは良い反面、
歌詞は聞き取りにくいものであった。

しかし、私はそのCDを聞くのが好きだった。

単に楽しみで聞いているのだが、
英語の勉強のために聞いているという
大義名分を得たような気がして
よく仕事帰りに聞きながら電車に揺られていた。

そんな生活を続けるうちに
私は徐々にウォークマンを使わなくなった。

理由は冒頭に述べた通りであるが
私自身SNSやnoteを始めたことにより
そもそも音楽を聴く機会自体が減ったのも
大きな理由である。

それから数年間の月日が経ち、
私は英語が多少は上達した。

テイラーの曲を聞き始めたころに比べれば
格段に外国人と話す機会は増えたし
色んな会話をしてきたので、
もしかすると私は歌詞が聞き取れるように
なっているかもしれないと淡い期待を抱いて
スイッチを押した。

ところが、結局聞き取れたのは
同じようにカントリー調の曲だけであった。

その結果にガッカリしなかったといえば
嘘になるのだが、
私の中で一つの疑問が出てきた。

それは
私は音楽を聴くときに
そもそも歌詞をあまり聞いていないのではないか

というものである。

以前に家族で遠出する際に車の中で
音楽を聴こうと昔買ったCDを引っ張りだしたことがある。

その際にマキシマムザホルモンのCDもあったのだが
彼らの曲をかけると子供たちが
「この曲は英語で歌ってるの?」と聞いてきた。

彼らの曲は日本語の歌詞なのだが、
歌詞の中に時々意味の分からない言葉が並ぶ。

特別ファンというわけではないので
詳しくは知らないが、
恐らくメロディに合わせて歌詞を調整すると
意味の分からないものになるのであろう。

昔流行ったB-DASHの「ちょ」という曲も
全く意味が分からない歌詞であったが、
それと同じようなものである。

https://www.youtube.com/watch?v=eKCYhLA6nxk

しかし、そんな歌詞の意味が分からない
マキシマムザホルモンもB-DASHの曲も
私は好きなのだ。

それはつまり、歌詞ではなく、
メロディを楽しんでいるからである。

では、すべての歌においてそうかと言うと
そういうわけでもない。

小学生の頃から好きで聞いていた
スピッツの曲はメロディもさることながら
歌詞にボーカルの草野マサムネさんの
独特の世界観がにじみ出ていて大好きである。

どちらも同じ音楽であるし、
楽器と歌という構成は同じはずなのだが
これらの2種類は聞き方が違うのかもしれない。

そう言われてみれば、スピッツの曲を聞きたい時には
マキシマムザホルモンの曲は聞きたいと思わないし
その逆も然りである。

ひとくくりに音楽を聴くと考えるよりも
自分の中で求めるものが違うという前提で
聴こうとすれば、
選ぶ曲もそれによる満足度も上がるはずである。

昨日久々に聞いたテイラースイフトの曲に
何だか今まで見えなかった自分を
気づかせてもらった気がした。

そこまで考えたときに
ふと新たな疑問が浮かんできた。

私が青春時代にずっと聞いていたHi-STANDARDは
英語で歌っていたが、
彼らに求めていたのはどちらだったのだろうか。

自分の疑問に答え出していけば
いつまでも記事が終わらなさそうなので
この疑問の答えは私の中に残しておくことにしよう。


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