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余白の管理の重要性 | プロジェクトの炎上確立を劇的に下げる方法

こんにちは!本間です。
本日は、プロジェクト管理Tip!ということで、余白の管理について、解説したいと思います。


はじめに | 筆者の背景

プロジェクトマネジメントにおいて、計画や実行の精度を高めるために必要な点はさまざまりますが、中でもプロジェクトの余白管理は見落とされがちです。

私はこれまで、オフショア開発を行うITスタートアップにて、様々なプロジェクト、そしてPM、エンジニアを見てきました。マネージャーとして働く中で、様々な角度から各メンバーのサポートをしてきました。そんな中で、多くの場合に余白の管理ができていない場面を多く見てきました。この記事では、余白とはなにか、余白の管理とはなにか、プロジェクトマネジメントにおける他の炎上要因を踏まえつつ、プロジェクトマネージャーに認識しておいてほしいことを解説します。
ソフトウェアの開発に限らず、プロジェクトマネジメントの一助になれば幸いです。

プロジェクトの炎上要因

まず前提として、プロジェクトが炎上する要因は多岐に渡ることから触れていきます。ここで言う炎上とは、あらかじめ顧客と合意を取った納期に間に合わないことを主に指しています。それらの要因は、以下のような点があります。

  1. リソース不足: そもそもプロジェクトに必要な人員やスキルが足りない状況。

  2. スコープクリープ: プロジェクトの範囲が次第に広がり、管理の難易度が上がる。

  3. 不十分なコミュニケーション: チーム内や顧客とのコミュニケーション不足が原因で誤解や遅れが生じる。

  4. 技術的課題: 予期せぬ技術的問題が発生し、解決に時間がかかる。

  5. 不適切なスケジュール管理: リアルなスケジュールを立てられず、無理な計画が進行する。

こうして並べると、「そんな当たり前のことなんかわかっている」と思いますよね。私も思います。
ただ、実務においては、毎回のようにどれか1つは発生しているように思います。毎回プロジェクトの前提が変わるので、仮に自社の担当メンバーが一緒だったとしても、顧客が違ったり、システムの要件や使用技術の差などで、予期していない問題が発生するのは稀ではありません。

そこでこれらの要因に対する対策として、プロジェクトの余白管理が重要になります。

余白と余白管理

余白とは、プロジェクト計画において予備的な時間やリソースのことを指します。この余白は、予期せぬ問題や遅延に対するバッファとして機能し、プロジェクトのリスクを低減します。具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 時間的余白: タスクの完了予定日と実際の納期の間に設ける余裕の期間。

  • 人的余白: プロジェクトに割り当てられるメンバーに対して、一定の休暇や他のタスクのための余裕を持たせること。

  • 予算的余白: 予期せぬ出費や追加コストに対する予備予算。

上記のように、一口に余白といっても、様々な余白が存在します。
実務においては、これらの余白は、クライアントさまとの契約内容にも依存して、どのようにどの程度取るべきかは変わってきます。
例えば、最初に予算を確保し、クライアントさまの社内稟議を通したうえで発注いただくような場合は、予算的余白をどのように事前に確保しておくかは、PMの顧客折衝の腕の見せ所でしょう。クライアント企業の担当者とは、実際に運用が始まったあとにどのように追加機能の開発を進めていくのか、あらかじめ大まかな期待値を揃えておくことは、クライアントとの関係性という意味でも、プロジェクトの安定した推進という意味でも重要となるでしょう。

また、時間的余白の取り方にも2種類あると考えています。工数の余白と期間の余白です。
請負の場合、開発工数を見積もり提示すると思いますが、この開発工数に、どれだけの余白をあらかじめ乗せておくか。この点は非常に重要であり、経験値が問われる部分でしょう。
また、期間の余白は、スケジュール上どの程度の余白があるか、つまり初期の計画段階において、何日前倒しで完了する予定か、という点です。

余白管理とは、プロジェクト計画においてこれらの余白を適切に設け、管理し、活用することです。この期間の余白は、初期の計画段階はもちろん、開始後に常に進捗をモニタリングし、発生するリスクがどの程度存在するのかを把握し続けていく必要があります。

  • 計画段階での余白設定: 初期計画の段階で、各タスクに対して余裕を持たせたスケジュールを設定する。

  • 進捗状況のモニタリング: プロジェクトの進捗を常にモニタリングし、問題が発生した際には余白を活用して調整する。

  • リスク管理: プロジェクトのリスクを洗い出し、それに対応するための余白を計画に組み込む。

これらのように、プロジェクトにおいての確保されている余白の種類がどれに当てはまり、各余白がどの程度残っているのかを可視化することが重要といえます。

複数プロジェクトを抱える場合の余白

プロジェクトの特性によっては、PMは、複数プロジェクトを抱えることもあるでしょう。複数プロダクト、と言い換えても良いかもしれません。
複数のプロジェクトを同時に進行する場合、各プロジェクトの余白が重複して無駄にならないようにすることが重要です。

  • プロジェクト間のスケジュール調整: 各プロジェクトのスケジュールを調整し、リソースが適切に分配されるようにする。

  • リソースの共有: 共通の人的リソースを効率的に共有し、無駄を最小限に抑える。

  • リスク分散: 複数のプロジェクトにリスクが集中しないように、リスク管理を行う。

例えば、納品日やリリース日を重複させないようにすることが、一つのリスク分散と言えるでしょう。リリース直前に何かあった場合に、もう片方を一時的に進行を止めることで早急に解決できるのであれば、その選択肢をあらかじめ用意しておくことが重要となります。
担当人員とプロジェクト、プロダクトの特性を踏まえ、あらかじめ何をどのようにすることで、リスク分散させることができるのか、開始段階で整理しておくことが理想です。

問い | すべてを受け入れる余白を用意するべきか

余白の重要性を語ってきましたが、ここで1点。
プロジェクトにおける余白は重要ですが、すべてを受け入れる余白を用意することは現実的ではありません。
重要なのは、適度な余白を確保し、その余白を効果的に管理することであると認識しておくとよいでしょう。

実際問題、余白だけでは力不足な場面も多数あります。
余白の設定だけではプロジェクトの成功は保証されません。以下の点も合わせて考慮する必要があります。
特に個人の能力については、余白を凌駕する場面も多いです。自分自身を含め、不測の事態を如何に迅速に解決できるか、限られたリソースの中で解決するか、という視点は、プロジェクトの進行中は忘れないようにしましょう。

そのためには、プロジェクトメンバーとのコミュニケーションが重要とも言えます。それぞれがどのようなことを得意としていて、どのようなことを苦手としているかを把握したうえで、どのようなリスクに強く、どのようなリスクに弱いチームなのかを踏まえた判断が求められることになります。

おわりに

いかがでしたでしょうか。プロジェクトの余白について理解が深まり、今後のプロジェクトの進行に役立つことがございましたら幸いです。
今後も、プロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメント、組織マネジメントに役立つ記事を投稿して行きますので、是非フォローいただければ励みになります。


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