見出し画像

どうも。
変な麹屋をやっています、本間です。

今日は黒麹をテスト仕込みしました。

という訳で、黒麹の与太話を。


一般的に、黒麹は焼酎や泡盛の仕込みに使われる麹菌です。

普通の味噌や甘酒、日本酒などに使われる黄麹とは性質の違う菌です。

これらの醸造に使われる黄麹は主にオリゼ(A.orizae)という菌※が使われますが、

(※醤油など一部はA.sojae)

黒麹菌や、そこから派生して生まれた白麹菌はルチエンシス(A.luchuensis)という別の名前がある別種の菌です。

元々は黒麹や白麹などでアワモリ(A.awamori)やニガー(A.niger)など、複数の種類に分かれていたものが、ゲノムの解析などを経て、琉球に由来するルチエンシスに2015年に再統合されました。

黒麹菌にはマイコトキシンという毒を産生するものが少なくありませんが、A.luchuensisに分類されたものは遺伝子的に毒素をつくることができない菌であり、明確に区分されることになりました。


そんな黒麹菌ですが、現在も泡盛つくりで主流の菌として活躍をしています。

近年はこの菌をつかって黒い甘酒なども楽しまれています。

この黒麹菌の大きな特徴は、クエン酸をつくることができる点です。

レモンなどの柑橘系の酸であるクエン酸を、麹菌自身がつくることが出来ます。

かなりの酸味をつくることが可能で、沖縄のもろみ酢などは多くの場合、この黒麹菌由来のクエン酸です。

これで甘酒を作った場合も、かなり甘酸っぱいものに仕上がります。


また、つくる酵素にも違いがあり、黒麹菌自身がクエン酸を出すことに由来するためか、酸性の環境でより働く酵素をつくります。

酵素の量自体は黄麹に比べて多くはないとされていますが、
酸性環境下では黄麹の酵素とほぼ同程度働くそうです。

そんな黒麹菌は黄麹に比べると弱い菌です。

増殖が遅く、黄麹と一緒に菌を振りかけると、大抵の場合、黒麹が負けてしまいます。

そのため、温度経過も黄麹の製麹とはことなり、
はじめに高い温度にしたあとに少しずつ温度を下げる、といった経過をとります。

特に、35度前後でクエン酸をつくる力が高まりますので、

増殖が落ち着いた後は、この温度で保持することになります。

黒麹をつくると、すぐに真っ黒くなるようなイメージがあるかもしれませんが、
黒麹菌が黒いのは胞子の部分だけです。

これは種切りから24時間経過程度の黒麹で、ところどころに白い斑点がありますが、
これが黒麹の菌糸です。

黒麹とはいえ、最初は白く、胞子をつくるまで育てることで、黒く色づきます。

ちなみに、黄麹の胞子も黄緑だったり灰色だったりと色がつきます。


そのため、黒い胞子をつくらせない製麹をすれば全く黒くなりません。

ただし、クエン酸をつくる量も少なくなってしまいますので、あまり酸っぱくない黒麹になって、あまり特徴の無い黒麹になってしまうかもしれません笑

また逆に、胞子が出来すぎると、今度は苦味が強くなり、甘酒などに使うには美味しくなくなってしまいます。

僕はそもそも黒みのつよい黒麹が何となく苦手なので、
すこし明るい色で製麹をとめたいな、などと思いながら製麹をしています。

では、夜の管理にいってきます。

サポート頂けると、泣いて喜びます。 たぶん、むせび泣くと思います。 生活に余裕は無いので、頂いたお金は大切に使わせていただきます。