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ピエトロの冒険 「夜の中の朝 その2」

ピエトロ達は、たくさんの彫刻が無造作に置かれた丘にやってきた。「ピエトロ、これがあのジジイが言ってた場所だ!やっとたどり着いたぜ・・・」ピエトロは辺りを見回すと、一つの彫刻と目が合ってしまった。その彫刻は自分にそっくりだった。

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ピエトロは目を覚ました。むくりと体を起こすと自分の部屋のベッドに寝ていた。なんだか体が重い。目をこすりながら、変な夢でもみていたのかなぁと考えていた。ピエトロは部屋が赤みがかっていることに気づいた。

「夕方まで寝ちゃったのか。お店の手伝いさぼっちゃったな」

ピエトロは、1階のお店に降りて行くと、そこにはカミーユがいた。彼はカウンターの席に座ってじっとしていた。

「おぅ、ピエトロ。目を覚ましたのか。」

カミーユの声は、いつもより小さな声だった。

「あの変なジジイにやられたぜ。魔法使いなんて子供に聞かせるオハナシだと思ってたからよ。ぜんぜん現実って感じがしねぇ」

変なジジイ?ピエトロはカミーユが何を話しているのか全く理解できなかった。ピエトロは瞬きを忘れるくらい混乱していた。そして変な間があいた。

「あ?お前まだ寝ぼけてんのか?まぁな、俺も受け入れるのに時間かかったから。とりあえず外見て見ろよ」

ピエトロはなんだかわからないが言われるままに窓の外を見た。

窓の外は真っ赤になっていた。外を見てるけどカミーユが何を言ってるのかまだわからないでいた。

「誰もいないだろ?それと今はあの時計だと昼の1時だ。」

時計を見ると確かにお昼だった。そういえばおなかがすいていた。お母さんにサンドイッチを頼もうと思った時、ピエトロは視線に気づいた。

時計の下に、もじゃもじゃヒゲのおじいさんがこっちを見ていた。

「フォッフォッフォ。純粋なのか何なのか。ホレ、手伝ってやろう。」

もじゃもじゃヒゲは何かを取り出すと、ヒョイっとあおいだ。

『パンッ」

突然、ピエトロの目の前に小さな花火が上がった。

「わっ!」

ピエトロは驚いてしりもちをついた。おしりに痛みを感じた時、今まで起こった変な事が、頭の中で早送りで再生された。

え?夢じゃない?

声が出なかった。目と口を大きくあけたピエトロは窓の外を見た後、カミーユとサーンスをキョロキョロと交互に見た。

「そういうことだぜ!」

それからピエトロは自分たちが何を見たのか、シャルルがどこにいるのか、自分たちがどこにいるのか、カミーユとサーンスから聞いた。

まず、シャルルやお屋敷の人たちは『ノヴァエ テラエ』に囚われたという事。そして、お屋敷で見た執事のサンおじさんは、『ノヴァエ テラエ』から出てきた「夜の獣」が化けていたという事。そして、ピエトロとカミーユは、その「夜の獣」に気づかれて「朝と夜の間」の世界に閉じ込められたという事を聞いた。

「要するによ、俺たちはシャルルを探しにいったまんま行方不明になってるってことだ。それぞれ別の場所に閉じ込められたってことだな。」

「お前、シャルルの部屋で見つけた手紙まだあるか?」

ピエトロはポケットにまだ入っていた手紙を取り出した。

開くとヒマワリの絵が描いてあった。

「それは本物の執事のサンおじさんが置いたらしい。」

サンおじさんは実はサーンスの弟子で、ノヴァエ テラエの監視役としてこの町に住んでいた。だから夜の獣の異変に気付いていた。だが、夜の獣も気づかれない様に準備をしていたのでサンおじさんが気づいた時にはもう遅かった。そして、「夜の獣が出てきてしまいました。ピエトロとカミーユを探してください。」とサーンスに魔法の手紙を飛ばしていた。

「俺たちがお屋敷の異変に早く気付くだろうと思い、シャルルの部屋にその魔法の手紙の切れ端を置いたんだ。その手紙のにおいを頼りにこのジジイが俺たちを見つけたんだ。」

「だけどこのジジイも魔法だ。本物のジジイは現実の世界にいる。この世界には俺たちしかいない。」

ピエトロは、話を聞いてはいるものの、目の前で起こっている事が現実としてまだ理解できずにいた。

「まぁ難しい事は置いといて、とにかく俺たちはノヴァエ テラエにいってサンおじさんを助けないといけないってことだ」

つづく・・・?

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