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『少女は卒業しない』感想文、序2




 時に、読書感想文とやらの定義から始めるのが本来かもしれない。書いていて一体これは何なんだろうと思う節があるとかないとか。全く無責任にも程がある。程ガール。何でもない。


『寺田の足の甲はキャベツ』

1、 共通設定:舞台は体育館→河原。卒業する同級生カップルの別れ。男性は地元に残り、小学校の先生になることを目指し、女性は東京に出て心理カウンセラーになるのが夢。期限付きでない以上、以後交わることのない未来。
2―①、映画VER
 東京の大学に行くこと、心理学を学び、カウンセラーになるのが夢であると伝えた年末からほとんどコミュニケーションを取っていない男女。そのまま自然消滅するのだけは避けたい女性から、もう一度向き合いたいと話を持ちかける。
「(東京に出て夢を叶えたい)後藤が、どれだけ真剣か伝えた方がいい」とアドバイスする友人に「地元に残って夢を叶えようとする寺田だって真剣で、その夢を傷つけるようなことはしたくない」というやりとりが印象的。
「別れ」というどうしようもない未来に対して、キレイな思い出にしたい女性と、未だ受け入れられずにいる男性。どこか力づくで納得させたような、やるせなさ、温度差の残る関係。
2―②、原作VER
 細い男性の寺田とふくよかな女性の後藤。「はぐき」と「おっぱい」
 キャベツのような寺田の足の甲、レタスのような少女の足の甲。対比。補完関係。
 兄弟のようなふざけ合いから、リミットに近づくにつれて二人だけの世界に色が変わっていく。約束。何気なく言ったことを覚えてくれていた、全て受け入れて赦そうとする寺田に対する感謝。半身をもがれるような思いまでもキレイにシンクロする関係。

3、 これは映像美を除く、圧倒的に原作を読んだ方がいい作品。
 漫才のようなやりとり、二人が完全に噛み合った存在であること、そこからの完全な離別は、テンプレだろうと涙なしには読めない。どうしても腰が重くなりがちな物語の序盤から引き込む力は相変わらずで、よくある学生ノリ。そこからグラデーション状に変わっていく様は、空の色が変わっていくのに近い。
 悲恋を受け止めるのは春の真昼の、世界で一番花火の似合わない空。
 悲しくも、涙を拭いて前を向くための、人生の1ページ。
「離別」「死別」大好きなまま別れを余儀なくされる痛みを描いた、これはあなたの物語。





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