【後編】つくばGKスクール対談『過去から現在、そして未来へ。~活動に込められた想いを繋ぐ~』
2018年秋に企画したつくばGKスクール対談、後編になります!
前編はこちら↓
筑波大学蹴球部・女子サッカー部が展開する地域活動のひとつ、「つくばGKスクール」
2018年の秋、当時のGKスクールの代表と創設者の方の対談を企画しました。
今回はその対談を記事をnoteに転載します。
(元サイトがリニューアルor閉鎖になる可能性があって…)
学生中心の団体にとって不可欠な「想いを繋ぐ」ということ。
当時の僕らはこういった形でも、それを実行しようとしていたんだなあと思います。
【以下、元記事から転載】
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【つくばGKスクール対談 後編】
過去から現在、そして未来へ。~活動に込められた想いを繋ぐ~
「つくばGKスクール」は、つくば市近隣の小中学生を対象に筑波大学蹴球部・女子サッカー部の学生が指導にあたり、「GKの普及」「GK選手のスキルアップ」をめざすGK専門のクリニックです。
その創始者、河野高宏氏(現水戸ホーリーホックGKコーチ)と現在のGKスクールを運営する本多コーチ(筑波大学蹴球部4年生)が活動に込められた「想いを繋ぐ」スペシャル対談を敢行!
後編では、「現在」のつくばGKスクールの取り組みや、スクールの「未来」について語り合いました!!
【スピーカー紹介】(所属など当時)
つくばGKスクールの『現在』
板谷:
では創設当時の話が聞けたところで、次は「現在」のつくばGKスクールがどうなってきているのかを話していきたいなと思います。今年でGKスクールは…
本多:
13年目になりますね。
河野:
すごいなあ。
板谷:
河野さんの立ち上げの頃と違って、今は筑波大学蹴球部のGKの選手は全員関わっています。
河野:
いいんじゃないかな、やった方がいいよ。アウトプットすることって大事だと思う。教えることで自分で整理できることもあるし、より丁寧な言葉で子どもたちに伝えるから、自分の中の感覚をしっかり咀嚼することも必要だし。
それは自分が技術を身につける上でも活きるはず。だから、タダで使っていいよ。(笑)
(一同:(笑))
河野:
さすがに数人は嫌がるだろうけどね。(笑)
板谷:
さらに昨年度から女子サッカー部の選手も手伝ってくれています。自分から「手伝いたいです!」と言ってきてくれたんですよ。
河野:
それは素晴らしいことだね。
▲昨年度よりコーチに加わった野島コーチ(女子サッカー部2年生)(当時)
板谷:
それで本多コーチは大学1年生の頃からこのスクールに関わりはじめたということで、そこから今の立場になるまでに感じてきたことはありますか?
本多:
今は対象を小学校4年生から中学生までにしていて、僕が大学1年生の時は「行ける人が行く」という形式でコーチ派遣をしていました。でもそうなると、毎週担当する学年が違ったり、1期通しての繋がりもあまり無かったりで、1回1回が単発の「サッカー教室」みたいな感じになってましたね。そこには違和感がありました。
本多:
そこで、現在は各学生コーチの「担当学年」をしっかり決めて、なるべく同じ選手を継続して指導するようにしたり、もし指導できない場合もトレーニングの情報共有や引継ぎは確実に行っていこうとしています!
コーチの数が足りないというのは依然課題ですが、その中でもできる限り指導の質を上げていく努力や仕組みづくりをしていきたいと思っていますね。
板谷:
一回の参加人数20~30人くらいに対するコーチの数は課題だと。
本多:
一方で、多くの選手が気軽に参加できるように、参加費は1期分(5回分)まとめてではなく、当日に1回ごとでいただいているのですが、参加数が想定より少なくてコーチが飽和したこともありました。もちろん選手に対してコーチが多いに越したことはないんですが、バランスが悪いとコーチ達への謝礼がかさんでスクールの経営が回らないというジレンマはあります。
河野:
でもやっぱり、参加費は1回ごとの方が参加しやすくていいんだけどね。
ただ選手の数が読めないとトレーニングが組みづらくなっちゃうから、指導の質のためにもある程度人数は把握しておきたいところだよね。
本多:
はい。そこの仕組みは少し考えていこうと思っています。
板谷:
いま参加してくれている選手の様子はどんな印象?
本多:
最近は県西地区(茨城県の西部)からも参加者が増えてきてますね。自分も県西出身なので、素直に嬉しいです。
あとは多くの選手が4年生や5年生ではじめて参加してくれてから、6年生まで、なかには中学3年まで継続して来てくれる選手もいて。なので入口の部分は特に大事だなと思っています。
板谷:
なるほど。入口の部分。
本多:
それで、過去にやっていた「GK体験会」というのも再開しました。
対象を小学1年生から6年生として、導入というか基礎的なプログラムでGKの楽しさを知ってもらうこと狙って開催しています。
▲2018年度第Ⅰ期の体験会。小1~小6を対象に初級レベルのプログラムを実施。
河野:
へえー、1年生からかあ。低学年でも結構いるんだね。
板谷:
最近、小学校1、2年生でもいますね。小さいグローブをつけて「キーパーやりたい!」っていう子が。
本多:
いますねえ。「おれはキーパーだ!」って感じで。(笑)
板谷:
ところで、本多コーチも長く活動に携わっていると、この地域のキーパーやっている子たちのことをかなり覚えていくんじゃない?
それから逆に、この地域のGKの子たちの多くが本多コーチのことを知っているって考えると、それはなかなかすごいよね。とても価値があると思う。
本多:
市の大会やこの連盟のイベントでも声をかけてくれる選手たちがいるので、覚えてくれている感じはしますね。ありがたいし、モチベーションになったりもします。もっと頑張ろうって思います。
板谷:
あと最近、すごく積極的に関わってくれる学生コーチが増えてきている感じがするね。
本多:
確かに全体的にもそうですし、特に大学1、2年生のコーチが今のうちからしっかりやってくれているのはとても頼もしいです。
板谷:
それもそうだし、筑波大でTOPチーム(一軍)の阿部航斗(アルビレックス新潟U-18出身)や大川圭為(浦和レッズU-18出身)なんかも、トレーニングを見ているととても熱心に指導してくれているなあという印象を受けるよ。
河野:
TOPの選手も来ているの?それは本当に素晴らしいね!
▲指導する阿部航斗コーチ、大川圭為コーチ
※卒業後には阿部選手はアルビレックス新潟、大川選手はアルビレックス新潟シンガポールでプロとして活躍しています。
本多:
選手としてのコンディションのこともあるので、難しいところはありますが、来てくれると一生懸命にやってくれるし、子供たちの目も輝きます。
やっぱりTOPの選手は違うな、と思うところでもありますね。
活動への想いとビジョンを『未来』へ繋ぐこと
板谷:
さて、河野さんがつくばGKスクールを立ち上げて10年以上が経つわけですが、ここまで活動が続いてきた理由ってどんなところでしょうか。
本多:
地域から認められている実感はありますね。
河野:
それからニーズがあるっていうのもひとつだけど、やっぱり筑波大学や蹴球部に対する信頼だよね。社会人になってから色々と大学生と接することも増えたけど、やっぱり筑波大の学生ってしっかりしているよ。
ひとりひとりが指導にしても丁寧に、一生懸命に取り組めるパーソナリティーとマンパワーがあって、そういった学生の生真面目さや真摯な取り組みが評価されている。だからきっと「あそこのスクール行っても駄目だよ。」みたいにはなってないと思うのね。
それは「筑波の良さ」だよね。
板谷:
確かに筑波大学蹴球部・女子サッカー部の学生はみんな真面目ですし、子ども達のことを大事にしてくれるコーチが多いですね。それに、自分たちで自分たちの組織をしっかり運営できる能力もある。
河野:
他の大学にこういう活動をお願いしたとして、なかなかうまくいかないと思うんだよ。ちょっと子どもを指導してくれというならできるのかもしれないけど、一から運営して、しっかり組織を作って、お金の管理もしてっていうのができるベースの力がある。それは「自主運営」してきた筑波大学蹴球部ならではの強みだと思う。
その点はやっぱり続けていってほしいし、むしろ続いていくものだと思うから、活動のフレームをきちんと作ってさえおけばきっと今後も大丈夫じゃないかなあと思うね。
河野:
そういえば俺がね、このスクールを立ち上げた時に持っていた最終的なゴールって、多分「大津のGKスクール」なんだよね。
本多:
大津?熊本のですか?(熊本県立)大津高校のGKスクール?
河野:
大津高校というか大津地域だと思うんだけど、いま(当時)ロアッソ熊本GKコーチの澤村公康さんという方が大津でGKスクールを立ち上げて、そこは小・中・高・大まであるらしいのね。
※記事掲載当時は『ゴーリースキーム』という団体で小学生から高校生までを指導されていたようですが、澤村氏の移籍により2019年1月で活動を終了されています。
→Twitter:ゴーリースキーム(@gk_ozu)、Facebook:ゴーリースキーム
本多:
高校生や大学生も。
河野:
定期的に地域のGKが集まって、一緒にトレーニングして、切磋琢磨して。
さらに面白いのが、小学生の指導を中学生がして、中学生の指導を高校生がして、という感じでうまく循環していて。
多分当時、俺はいつかそんなスクールを作りたいと思ってたんじゃないかなあって。
板谷:
なるほど。
河野:
だから自分がつくばを離れる前に、「中学生も対象にしようか」ということで中学生スクールも始めて。高校まではやれなかったんだけど。
でも最終的には、そういったひとつのつながりがあって、それは一貫指導の究極の形だと思うし、小・中・高・大、そしてプロまで行けるようなスクールを、自分が長く代表をやれるのであれば作っていきたかったんだと思う。
それでこういう「未来へ」というテーマで話をする機会をもらって、後輩達に「そんなスクールを作り上げてほしいな」って、いま思った。いま。(笑)
(一同:(笑))
板谷:
いいですね。企画者としてありがたいです。(笑)
河野:
「筑波だからこそできること」になってくると思う。
実際に今だって大学生が指導しているんだから、じゃあ後は高校生だけじゃない?
本多:
なるほど。
河野:
いま水戸ホーリーホック(以下、水戸HH)でもアカデミーのコーチを中心に、まだジュニアしかないけどGKスクールをやっていて。そもそもこのクラブとして俺達には「水戸オリジナルのプロ選手を育てたい」っていう目標があるのね。スクールからユースまで、そして大学を経由するのかもしれないけど、プロ選手としてまたクラブに帰ってきてほしいってね。
もちろんカテゴリーごとにセレクションはあるんだけど、セレクションに落ちたらもう関わりが一切なくなって、場合によってはしっかりした指導を受けられずに中学年代とか高校年代を過ごして競技力も上がってきませんというのではなくて、そういう選手をクラブとして、地域としてフォローアップして、そしてまた次のカテゴリーでチャレンジしてくれるような組織を、俺はこの水戸HHというクラブでも作りたいと思っているのね。
筑波でもさ、いずれは「つくばGKスクール」に来ていた選手が筑波大学蹴球部に入ってくるとかね。
地域と大学がつながっていくってそういうことかもしれないし。そういう子が出てきたら…。
板谷:
とても良いですね。それこそ指導者冥利に尽きるというか。
実際にいま、当連盟の少年団の卒業生で、当時の蹴球部員の学生に指導された経験のある選手が筑波大に入学し、自分が卒業した少年団のコーチをしていることもあります。
河野:
そういう子を大事にしたいよね。
板谷:
それでGKスクールでもそんな風に、「つくばGKスクールに来ていた選手がいずれ大学生としてそこで指導をする」みたいな循環が起きると嬉しいなと思います。
河野:
そういう事だよねえ。たとえばプロになった選手が、「キーパーをはじめたきっかけは『つくばGKスクール』でした。」っていうのもいいなと思うし。
もちろん俺らは指導者として目先の結果にもこだわっていくべきなんだけど、そういう長い時間をかけて表れてくるものも指導者としての成果。
長い目で選手に関わって、その選手に未来になにかしら良い影響を与えられる、そんなスクールにこの「つくばGKスクール」がなっていけばいいなと思うね。
河野:
でもそれって、ちゃんと「繋がって」いかないと無理なことでもあって。
俺もつくばで中学生対象のスクールを立ち上げるところまでは行けたけど、志半ばでつくばを離れることになったし、じゃあ次の人がまた一から考えて何かを始める、というのではなくて、人が変わっても同じモチベーションや熱量、それからビジョンみたいなのを繋いで、次の人は高校生のスクールの土台をつくっていってくれる、とかね。
板谷:
活動の形式やシステムだけでなく、前任者の想いや発想を本当の意味で継承していくのが重要ですね。
やはりGKのクリニックっていろんな地域でニーズがあると思うし、ただどうしても少年団のお父さんコーチしかいない地域なんかでは難しい。そこで水戸HHみたいなクラブや筑波大学蹴球部のような学生組織が地域に出ていき、それを脈々と続けていくというのはとても重要なことのように思います。
河野:
さっきも言ったけど、こう、「循環していく」っていうかね。
おれも必死に色々な事を整理してなんとか小学生のスクールを始められた。そしてなんとか必要性を感じた中学生のスクールもギリギリ始められた。
でも、その後この活動がさらにいいものにであったり広がっていったりするためのバトンタッチをできていないのかな、というところがあって。
自分が始めた頃のビジョンとかを繋げていくことができていれば、今頃さらにもっと上手く「循環していく」形に進んでいたかもしれないし、そんな風にいま活動をしている中で持っているビジョンは、その場の1年だけで考えるんじゃなく、その後2~3年先、もっと先も見据えて活動していければ質のいい継承をやっていけるんだろうね。
本多:
頑張ります…!
河野:
さっき言った大津のGKスクールの影響か、いま熊本出身のキーパーってプロでも多いような気がするし、「つくばGKスクール」をきっかけのひとつにして、つくばからプロ選手や優秀なGKコーチがたくさん出れば、そして何度も言うようにそれが「循環」していくとか「継承」されていけば、それは地域にとても大事だし、素晴らしいことだよね。
それを目指してくれると、立ち上げた身としては嬉しいなと思います!
▼記事に収まりきらないほど、色々なお話をしていただけました!
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いかがだったでしょうか!
『つくばGKスクール』の創設秘話や脈々と続いてきた活動に込められた想いを、皆さんにも感じていただければ幸いです。
※対談の終盤、完全に空気となっていた本多コーチは高校生の頃から憧れの「水戸ホーリーホックの河野さん」を前にこの表情でした。働け、本多。
さあ、GKをもっと上手になりたい選手も、ちょっと興味があるという選手もぜひ筑波大学の学生コーチと一緒にレベルアップしてみませんか!?
ご参加お待ちしております!!
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現在、代表は代替わりしてさらに充実した活動を継続しているつくばGKスクール。
2019年度には参加者が40人を越える大盛況の日もありました。
それに応えるよう、学生コーチ陣は工夫を凝らし地域のニーズに応えて、子どもたちにGKやサッカーの魅力を伝えています。
想いを繋いでくれている後輩たちに感謝しています。
どうぞ、つくばGKスクールへ足をお運びください。
【お問い合わせ先】
つくばGKスクール
LINE ID:biq0920x
Email: tsukuba_gkschool@yahoo.co.jp
※2020年度の活動は未定です。
いつもサポートありがとうございます…! いつかお会いしてお礼を伝えたい! いただいたお金でジュースで乾杯したり、一緒にコーヒーを飲んだり、お酒と一緒に熱く語り合うことを思い浮かべてます。ぜひお付き合いください(笑) そして、コメント付のシェアも最高です!なんと無料です!