見出し画像

海外永住者としての日本語

著者: 六甲もこ

先週「ゾーンに入った」わけですが…

先週、ものすごいボリュームの翻訳を3日間で完成させなければならなかったのですが、途中から回りの音も耳に入らず、全身が仕事モードに突入。普段テレテレしている私からは信じられない程の集中力がどこからともなく湧き出してきて、無事に片付ける事ができました。最近の言葉で言うと、「ゾーンに入った!」という状態でしょうか? 

最近日本語のウェブサイトなどでよく見かける言葉ですが、使い方合ってますか?

避けられない浦島状態

ハワイ在住23年にもなると、家庭でも職場でも日本語で会話する機会があまりないため、今の日本の皆様が普段どのように会話しているのかいまいちピンときません。

特に私の場合、実家では父も妹も死亡し、母は認知症で施設に入っているので、家族との会話でアップデートできる訳でもありません。ハワイの家族(夫・義母)は日本語を話しません。休暇で日本に行ったときも、数日ではなかなか体得できないように感じました。

友人とのラインでのやり取りは短い会話とスタンプ多用で、それほど困りませんが、それでもたまに死語を連発しているかも知れません。ハワイ在住の日本人の友人達も、状況は似たりよったりなのではないでしょうか? 

私の上司は日系人で、日本育ちと言うこともあり、日本語も流暢なバイリンガルです。が、ジョークやカジュアルトークは1980年代かそれ以前の香りがします。「ナウい」とか…。私も然り、日本の同世代の方々から見ると、かなりのイタさかと思われます。

インプットだけでは限界が…

このように浦島状態ではありますが、日本のウェブサイトやYouTube はよく見ています。また、最近はNetflix等で日本の番組をたくさん観ることができるため、以前と比べると随分と恵まれているかと思います。

なので、かなりインプットはしているつもりなのですが、アウトプットは全くです。なのでいざ日本語で話そうとすると、色々気を使って国営放送のアナウンサーのような話し方になってしまいます。

私は大阪出身(それもカジュアル度のより強い南大阪)で、日本にいる時はかなりコテコテの喋り方でした。両親は九州人でしたので、家では九州弁寄りでしたが、学校生活の中でしっかりと方言を体得したわけです。

が、ハワイに来て、大阪弁がすんなり出てこなくなりました。私の場合、親が大阪人ではなく、真の底からの大阪弁ではなかったからなのでしょうね。なので、日本語を話すときは、いつのまにか温度があまり感じられない標準語になってしまいました。困ったものです。相手からガンガン大阪弁で来てもらったらすぐに調子を取り戻すことができるんですけどね。

インプットだけでは、その呼吸やライブ感は、なかなか醸し出す事が難しいです。実践が必要なのですが、その機会がなかなか無いんですよね。

ルー語の罠

英語圏に来て日が浅い場合、英語と日本語をミックスしがちなのは、海外在住者「あるある」ではないでしょうか? (「あるある」の使い方合ってます?)

私の場合、最初の頃は「〇〇にアプライする」とか、「XXにアサインされた」とか、「Aさんをドロップオフする」とか、動詞の部分を英語に置き換えがちでした。ちょっと格好つけていたのかな。周りもそんな感じだったので、あまり深くは考えていませんでした。

が、冷静になって考えてみると、日本語と英語を混ぜて話すのは却って難しいんですよね。英語と日本語は何から何まで違いすぎる言語なので、上手く混ぜるのには技術が必要。それぞれの言語は別々のタンスに入れて、必要な会話なり何なりをそれぞれの引き出しから取り出し、必要ない時はタンスを閉めておく方が良いように思えてきます。私は翻訳の仕事をしているわけですが、仕事中は日本語と英語の引き出しを、交互に開けては閉め、閉めては開けしている感じです。

でも今でもどうしても日英混ぜてしまいますけどね。このページでもアップデート、インプット/アウトプットなど使ってますしね。どれもすでに市民権を得ている言葉かな?「更新」、「入力/出力」と言うのも堅すぎるかな?と思い、採用しました。

また、外来語で本来の意味合いとちょっと違うかも…という言葉は、どうしても置き換えてしまいます。日本でよく使われる「グレードアップ」は「アップグレード」と言いたいですし、「マンション」は「コンド」という方が落ち着きます。でも、それをムズムズするからと言って、日本語に置き換えると、「格上げ」や「集合住宅」など、これまた堅いことになってしまいますよね。

なので、たまにはカタカナ語を混ぜつつも、できるだけ堅すぎずリズムも良い日本語を使って表現できたらなあ、と思っております。難しいですね。

と、だらだら長く書いてしまいましたが、大好きな故郷の言葉ですから、これからも大切にしていきたいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?